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2018年8月22日 (水)

孫子&クラウゼビッツ <消化不良だ>

新訳 孫子 「闘いの覚悟」を決めたとき読む最初の古典 兵頭二十八 PHP文庫

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隣の隣国をどう切り伏せるか 超訳クラウゼビッツ『戦争論』 兵頭二十八 PHP文庫

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 戦略とは戦いを略すこと、つまり戦わずして目的を達成することと言われる。

 古代中国や第一次世界大戦までのヨーロッパでは兵卒は農奴だから、死ぬまで戦う決戦を遂行するのは難しい。

 兵卒は、恩も義理も無い領主に脅されて戦場に連れて行かれているわけだから、最大の目的は生きて帰ることだ。 だから、戦闘に勝利しなくても、いかに被害を少なくして有利な状況で停戦するかが重要だ。 戦争に勝っても戦利がなければその戦争は失敗だ。

 フランス革命前の軍隊は貴族+傭兵+農奴であったが、革命後のフランスは民主主義共和国になったことから徴兵制が可能になり大軍が編成できるようになった。 クラウゼビッツはプロイセンがナポレオンに負けた原因は徴兵制だと考えていたようだ。

 そう考えると、かつて日本がロシアに勝った理由が理解できる。

クラウゼヴィッツは

「軍」司令官は、所与の兵数の「軍」で敵「軍」と雌雄を決せねばならない。その際、もしわが「軍」の兵力量が敵「軍」よりも若干少ないという場合には、頼りになるのは、麾下将兵の「士気」、すなわち敵よりもまさった精神力しかない。
さらに、もしもわが「軍」が敵「軍」に比べて、兵力において半分、もしくはそれ以下しかないという場合には、部下の最高度の精神力に加えて、よほどの「奇策」をあえて採用しなければならぬが、それでも勝てるかどうかは、常識的に、危ぶまれる。

という。 兵力に劣る日本軍はこれを実践したわけだ。

 日本は明治以降の教育の普及と徴兵制が功を奏し兵卒の精神力が強かった。 日露戦争でロシアに勝ったが賠償金も取れず領土も拡大してないので大成功というわけではない。 しかし、ロシアの南下を食い止めるという目的は達成したので、勝利と言えるだろう。

 歴史の授業ではこのあたりのことを教えてくれない。 単に年表を追うだけだ。

 クラウゼヴィッツが言うように、戦争は政治の部分集合だとすると、明治の政治家も軍人はそれを理解していたのだろう。 しかし昭和の政治家と軍人はそれを理解していなかったということだろうか。

 孫子はビジネス戦略に参考になるというが、正直ピンとこない。

 孫子もクラウゼヴィッツも、兵を率いる上で根底にあるのは、戦う意思の無い兵士にいかに生死をかけた決戦をさせるかである。 戦術、戦闘において、これは極めて難しいから、なるべく戦わない、なるべく消耗を避けるという戦略を取らざるをえない。 だから、戦略は戦いを略すことだ。

 先の戦争において日本人は、特攻を命じられると、逃げ出すわけでもなく反乱するわけでもなく、空気の力によって従ってしまった。 これは日本人の性質なのだろうか、それとも、戦争を指揮した者が孫子やクラウゼビッツが言う「生死を掛けた決戦を」させることに成功した例なのかは分からない。

 不幸にも、日本は先の戦争で国民に「生死をかけた決戦」を強いることを知ってしまった。 現在も、この考え方が根底にあるから、高度成長期は「企業戦士」、最近は「社畜」が無くならない。 そしてブラック企業で人が死ぬ。

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 ちょっと消化不良っぽいなぁ。


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2018年8月20日 (月)

ビデオ判定 <正直そこまで気にしない>

誤審続きの甲子園に批判殺到! 高野連がそれでもビデオ判定を導入しない理由とは?
 リアルライブ (2018/08/12)

 最近ビデオ判定やITを使用した判定補助機能が導入される競技が増えてきた。

 プロスポーツをやってる人たちにとって競技は金儲けの手段で、一つの判定で賞金や年棒などの報酬が変わるから正確性(自分に有利な判定)を求めるのは分かる。

 サッカーワールドカップのビデオ判定導入で期せずして露わにになったように、ファールを受けていないのに転ぶのは金のためだろう。金のためなら審判をだましても良いと考える競技者がいても不思議ではない。それがプロの世界だ。

 子供にとってスポーツは教育の一環という側面がある。ならば「ファールをもらう」とか「反則も駆け引きのうち」とか「ナイスファール」というスポーツをやらせるのはいかがなものかと思う。

閑話休題

 アマチュアスポーツは誤審があることは前提だ。人間は機械ではないのでいつも完璧なジャッジはできない。 それを前提に審判のジャッジに従うこと、それがアマチュアスポーツのプレーヤーに求められる最低限の条件だと思う。

 冒頭の記事のライターは、甲子園で誤審が増えているので、ビデオを導入すべきと言う。ビデを判定が導入されないのは、古い考えがはびこっているからだと主張する。 高野連を擁護するつもりはないが、何でも高野連のせいにすればよいものではないと思う。

 素人にとって、スロー再生しなければ判らないような判定はハッキリいってどちらでもよい。 そのような僅かな差にこだわるのは、たいてい金がかかっている人たちだ。

 金をかけてやるのはアマチュアスポーツではなくプロスポーツだ。

 高校野球を商業化して金儲けのネタにしてきたのは新聞屋とマスコミの大人たちだ。 この先、少子化や野球人口減少、高野連の古い体質で今より金儲けが難しくなるかもしれない。 だからと言って、高校野球にプロスポーツの論理を持ち込むのはいかがなものかと思う。

 高校野球はプロスポーツではないのだから。

 外野はテレビ中継でスローVTRを見てあーだこーだ言っていれば良いのではないか。
選手は最善を尽くしてプレーし、審判は最善を尽くしてジャッジすれば良いのではないか。

 それがアマチュアスポーツだと思う。


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2018年8月18日 (土)

7セグLED

7セグメントLED表示器はこんなやつ。

↑(https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/9/97/7-segments_Indicator.gif)

yahoo知恵袋に「TLR308 7セグメントLEDの足のデーターを教えてください。」という質問がある。

TRL308は東芝の赤色、1桁、カソード・コモン7セグLED。ちなみにアノード・コモンはTLR306

データシートは→(https://4donline.ihs.com/images/VipMasterIC/IC/TOSH/TOSHD103/TOSHD103-809.pdf?hkey=EF798316E3902B6ED9A73243A3159BB0)

 TTL(74LS47)でドライブするなら、アノード・コモン、
Anordcommon

CMOS(4511)でドライブするなら、カソード・コモンを使う。
Cathordcommon  

マイコンでドライブするならどちらでもよい。ファームウェアで対応できる。

 昔秋月で7セグLEDが安くなったので買いに行ったことがある。 店のお兄さんに「アノード・コモン?カソード・コモン?」と聞かれて、ハタと困った。 どちらでドライブするか決めていない。(^^;  つい、「両方」と2種類買った覚えがある。

 yahoo知恵袋の解答が間違っているのはおいといて、気になったのは、「TLR308を持っているなら自分で調べたらいいじゃない。わざわざ人に聞くことか?」ということ。

 試しに、若い人に、7セグLEDを渡してデータシートを見ないでピンアサインを調べる方法を聞いてみたら...結構苦労している。 7セグLEDのピンアサインを調べるのは結構大変なことなのね。

どうも
〇LEDを点灯させる方法知らないようだ。
 電流制限用の抵抗なしで電源に接続しようとしている。(45年くらい前に初めてLEDを買ったときやったなぁ)
  Ledcircuit

  ←
電源電圧をE=5V、LEDにI=10mA流すとすると電流制限抵抗Rは
 R = (E-2)/I = (5-2)/10x10-3 = 300Ω → 330Ω
 
〇7セグLED内部の接続を知らないようだ。
 総当たりで調べようとしている。
Anordcommon

 

コモン(5pin,10pin)を見つけると簡単。


〇ピン番号の規則を知らないようだ
 1番ピンから反時計回りに番号を振るという規則を知らないようだ。

 7セグLEDは見たことがあっても、点灯させたことはない人は多い。それに必要な知識、技能が必要な人は限られる。

 仕事柄、マイコンと7セグLED4個を使ってデジタル時計くらい作れるとか、GPIOを使ってI2Cが制御できるくらいの知識と技能を持っておいてもらいたいと思う。 今時はハードウェアとソフトウェアの境界が明確になって、それを超えるのが難しくなっている。

 これまでは、ハードウェアはオヤジ達に任せて、ソフトウェアは若者に任せることができたが、ハードウェア関係の知識・技能を持ったオヤジ達はもうすぐいなくなるんだよね。


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2018年8月16日 (木)

ウドウロク <逆から読むとクロウドウ>

ウドウロク 有働由美子 新潮社

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 有働由美子氏を始めて見たのは、おはよう日本のキャスター交代の告知だったような気がする。(1994年?)

 NHK初の女性理事か?などずいぶん去就が取りざたされたが、そのことについては、文庫版あとがきに書いてある。

私の場合は、容姿やアナウンス力では勝負できない。
となると、さあ、なにをよりどころに個性をかんがえればいいのか。

など「容姿」に関する記述がある。

 自身の「容姿」に対するコンプレックスなのか、コンプレックスを克服した誇りなのかは分からない。 何といっても、第14回好きな女性アナウンサーランキングでは堂々2位だ。

 50歳を目前にして、NHKという大きな組織から離れて独立するのは大きな決断だったと想像する。 しかし、有働由美子氏くらいのビッグネームになると、ちゃんと仕事はあるようだ。

 「容姿」など天賦の才に頼らず仕事をしてきた証なのだろう。


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2018年8月14日 (火)

昇任試験 <自分に向き合う>

 今年も昇任試験の季節がやってきた。

 空気を読んだ「こと」にして昇任試験を受ける人がいる。 昇任の希望を聞くと昇任に前向きでないようだ。 昇任すると技術的な仕事に携われなくなる可能性が高いことが理由だ。技術志向の人に多い。 そういうキャリアパスが無いという事情はある。かつて自分もそうだった。

 受験が任意だった頃から、受験しなくてはならないという空気があって、受験しないことを選択すると面倒なことになりそうな雰囲気があった。 しかし、ちゃんと理由を説明して受験しないと言えばそれ以上追及されることもなかった。 (当然だ。自分の希望は自分が決める)

 結局、空気を作り出しているのは、受験圧力ではなく、空気を読んだ「こと」にしている人たちなのだ。

 そして、彼らは受験しない決心、あえて昇任しない決心ができない。

 問題は、本当は昇任の意欲が無いのに試験に合格してしまう人だ。
生真面目な人は答案用紙を前にして「始め」と言われると、つい全力を出してしまう。 そして、不本意ながら試験に合格してしまう。

 彼らは、昇任しない決心をしていないし、昇任する決心もしていない。 そして、大事な場面で嘯く。 

 「本当は合格するつもりはなかったんだけど、合格してしまった」と

 以前に、論文試験(2015/08/19)で、昇任試験を受けるなら自分に向き合うことが必要だと書いた。 もちろん、昇任するかしないかは本人の自由だ。 しかし、昇任しないとしても、受験しなくても、自分に向き合うべきだ。

 空気を読んだ「こと」にして受験するのではなく、受験しない理由を説明するべきだ。
その理由が却下され、受験を命じられるなら受験すればよい。

 自分に向き合っていれば、意にそぐわず昇任したときに、逃げないで仕事に向き合うことができる。

 なにより、周りを不幸にしなくて済む。



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2018年8月12日 (日)

乾いた木から火を着ける <不燃性の人にはアプローチしない>

乾いた木から火を着ける 公務員 島田正樹 〜仕事と私事と志事と〜 (2018/08/07)

 稲森和夫氏によると、物には自燃性のもの、可燃性のもの、不燃性のものがあるように、人にも自然性の人、可燃性の人、不燃性の人がいるらしい。

 経験則では、周りの人に火を付けようとすると、思ったように火が付かない。 戦略が必要だ。 

 自燃性の人でもエネルギーには限りがあるから、不燃性の人より、可燃性の人にアプローチした方が効率が良い。 迂闊に超不燃性の人にアプローチすると自分の火が消えてしまう。

 全員に火を付ける必要はない。可燃性の人にアプローチして全体の20%くらいに火を付ければ消えなくなる。

 人は集団になると難燃化するような気がする。 不燃性の人に引っ張られているのか、自ら難燃化しているのか?。 かといって個別にアプローチできない場合も多い。

 集団を相手にするときには、不燃性の人がいても気にしないで、集団の中で難燃化している自燃性、可燃性の人にアプローチするのが良いと思う。

 不燃性の人は「なに絵空事を言っているんだよ」と言うだろうけれど気にしない。

2018年8月10日 (金)

再免許申請

 アマチュア無線局の再免許申請時期がきた。

 前回は、半年前くらいに総通局からお知らせが来た。
スプリアス規格が変わって変更の猶予期間が迫ってきたので調べていたら、免許の有効期間の1年前が近づいていることに気が付いた。

 ここ何回かの再免許申請は、電子申請・届出システムLiteをで申請して、手数料をネットバンキングで支払っているので簡単に終わる。

 H17年12月にスプリアス規格が変わっていて、経過措置期間がH34年11月で終了するので、古い無線機はH34年12月以降使えなくなるらしい。

 今回再免許を受けると免許の有効期間はH36年になるので、H34年12月からH36年まではむ無線機が使えなくなる。 再免許のとき、これまでは、「工事設計内容に変更が無かった」と書いておけば工事設計書を書く必要はなかった。 しかし、送信設備を変更しなくてはならないだろう。

 H34年11月以降も使おうとすると、

  1. 免許されている送信設備が新スプリアス規格に適合していることを認定してもらい、再免許申請する。
  2. 変更申請(届け)して新スプリアス規格適合の送信設備に変更した後に、再免許申請する。

違うのは、前者は手数料が必要で後者は無料。

 よく考えたら、前回の再免許から5年間電波は出していないので廃局する選択肢もある。(廃局届は無料) しかし、コールサインは持っておきたいし、今後電波法が改悪されて、開局申請が困難になったら、老後の楽しみがなくなってしまう。

 じゃあ、とりあえず変更申請しようかと。 

 変更申請(届け)は無料で、しかも指定事項の変更が無い軽微な変更なら届け出だけでよい。 指定事項の変更がある場合は変更申請して審査に合格すれば免許状が送られて来たら使える。

 つまり、免許状に記載されている指定事項が変わらないようにするのが最も簡単そうだ。

 HF機と50Mオールモード機、144M,430Mオールモード機の3台で申請しているけど、30年以上も前に申請しているからどれも10W。 この条件で、新スプリアス規格の技適登録された無線機を探す。

 分かったことは、VHF帯オールモードで10W出力で技適の機種が無い。

 結局、指定事項の変更なく送信設備を取り換えることはできないようなので、変更届ではなく変更申請が必要なようだ。

↓2度目に開局した時の認定書。当時はJARLが保証認定していた。

Jarl

 とりあえず電波申請・届出システムLiteのパスワードの再交付から。



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2018年8月 8日 (水)

平和祈念式典の放送 <黙祷する日は8/6でなくてよい>

山根会長は「原爆投下より大事」なのか J-CASTニュース (2018/8/6)

 民放は8月6日の広島平和記念式典を放送せず、アマチュアボクシング界のスキャンダルを放送していたという話題。

 18才のときにはじめて広島を離れ名古屋で2年間暮らして分かったことは、広島以外では8月6日に黙祷しないということ。

 その後、千葉に移り住んだ。 江戸東京博物館の東京大空襲の展示をみると、ここでは、戦争の悲惨な記憶は東京大空襲なのだと思った。 名古屋も大空襲を受けているから、名古屋の人の悲惨な記憶は名古屋大空襲なのだろう。

 東京のキー局で番組を作っている人にとっては、広島は悲惨な記憶ではないということだろう。

 それを責めるつもりはない、自分も8月9日に黙祷していない。 身内に体験した人がいたり、身近に歴史の痕跡が残っていなければ、自分にとって悲惨な記憶にはならないということだろう。

 戦争で亡くなった方の冥福を祈り、平和について考える機会は8月6日だけである必要はない。 それぞれの身近な慰霊祭で良いと思う。

 できれば、政治色を除いてほしいと思う。

2018年8月 7日 (火)

資生堂で学んだまごころ仕事術 <キャリアパスとロールモデル>

資生堂で学んだ まごころ仕事術 関根近子 朝日新聞社

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 資生堂初の女性執行役員を務められた関根近子氏の講演を聴いたので、著書を読んでみた。
公演の演題は、セクハラ、ワークライフバランス、女性活用という今時のテーマだったが、この本には、今時の話題はなく、関根近子が自身のキャリアから得た仕事や人生に向かう姿勢が書いてある。 

 ネットには関根近子氏インタビュー記事や公演を聞いた人のブログなどがたくさんある。  関根近子氏のプロフィールを見ると、「高卒」「美容部員」「女性初」というキーワードが必ず入っているようだ。

 会社としては、女性活用、ダイバーシティ、という簡単からアピールしておききたいところだろう。 関根近子氏の講演でも自己紹介の中で「高卒」「美容部員」「女性初」であることを話しておられた。

 資生堂は女性社員が80%だが昔の男社会だったらしい。 美容部員は資生堂の企業理念を顧客に提供する上で欠くことのできない存在でありながら、少数の高学歴の男性によって経営されていたらしい。

 つまり、関根近子氏のキャリアは傍流でしかもポジション的にも稀な存在なのだろう。 もっとも、傍流で稀なキャリアでなければ、あえて紹介したりしないだろう。

 疑問は、

 傍流で稀なキャリアを登っている人や、登りつめて成功した人は、ロールモデルになるのであろうか?

とういことだ。

 支店長に抜擢された人なら、関根近子氏はロールモデルになるかもしれないが、これからキャリアを始めようとしている高卒美容部員がロールモデルにするには遠すぎると思う。

 本流のキャリア・パスならば、そのキャリアを登っている人が多いから、ロールモデルを見るけることができるだろう。しかも、高いところまで登ってもなおロールモデルにできる人がいるだろう。 しかし、傍流のキャリア・パスは登っている人の数が少ないから、ロールモデルが見つからない。

 問題なのは、企業の価値を支えている多数のキャリア・パスが傍流であることだろう。 しかも、この問題は、いたるところにあるのではないだろうか。

 「美容部員」を「技術者」に変えれば身近にもある。 違うのは、関根近子氏のように傍流のキャリア・パスを高くまで登りつめた人はいないということ。

 人材育成においてロールモデルは重要だが、キャリア・パスが考えられていないためにロールモデルが簡単に見つからないことがある。 

 誰かのロールモデルになることは人生の目的ではない。 せめて選択できるくらいのキャリア・パスが必要だと思う。

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 資生堂や関根近子氏に恨みはないし、否定しているわけでない。念のため。


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2018年8月 5日 (日)

セクハラ、ワークライフバランス講演

 資生堂初の女性執行役員を務められた関根近子氏の講演を聴いた。

 講演の演題は、セクハラ、ワークライフバランス、女性活用という今時のテーマだ。これらのテーマは互いに関連しているので切り分けて考えることは難しい。

 関根近子氏はセクハラとかワークライフバランスなんて言葉が無かった頃から働いておられるから、ご自身の体験に基づいた指摘は説得力がある。 男性の比率が多い職場だから、女性の観点は非常に参考になった。

 資生堂は80%が女性社員らしく、育児支援の制度は充実しているようだ。 それでもこの制度を利用して勤務時間を短縮した人と、その職場の人との間に軋轢が生じるそうだ。

 勤務時間の短縮(時短勤務)や早出・遅番、土日出勤などのシフトなどで、育児制度を取得した人の仕事は他の人がカバーしなければならない。 ところが、取得している人は当然の権利と思っていて、周りの人に対する感謝が感じられないというもの。

 この問題は、資生堂だけでなく、男女に関係なく、育児休業に限らずどこの職場にもある。 たとえば、男性が育児参加するために定時に帰ることを、好ましく思わない年寄りがいたりする。

 関根近子氏はセクハラとかワークライフバランスなんて言葉が無かった頃から働いておられる。当然育児支援制度も十分ではなかった頃に努力して、高いパフォーマンスを発揮され、この功績を評価されて執行役員に抜擢されたのだろう。

 関根近子氏は、制度を取得している者は同僚に感謝しなければならないとおっしゃる。 さらに、効率的に仕事をすれば制度を取得していても高いパフォーマンスが発揮できると。

 制度取得者に求められるのは感謝と頑張りということだろうか?

 坂東眞理子氏の「女性の品格」を読んとき、シェリル・サンドバーグ氏のTEDでのプレゼン「なぜ女性のリーダーはすくないのか」を聞いたときと同じような感じがした。 「学校教育は何が問題か」(2) (2012/10/28)

 「自分は不利な状況でも努力して成果を挙げた。だから、あなたたちも努力すべきだ。」という感じだ。 この点だけ違和感を感じた。

 「働き方改革<時短勤務>(2018/02/14)」に書いたように、今時この問題は女性だけの問題ではない。時短勤務制度がない職場はブラックだが、頑張れる人しか時短勤務できない職場もかなりブラックだ。

 何度も言うが、この問題は女性だけの問題ではない。 これまで男性は生産性の低さを長時間労働で補ってきた。方法に問題はあるけれど既に頑張っているわけだ。この状況で更に頑張れる人がどれだけいるのだろうか。

 女性が育児支援制度を使用取得する際に、頑張りが求められるようでは、到底、男性は取得できないだろう。

 関根近子氏は、現代女性のキャリア志向は、バリキャリ:20%、ゆるキャリ:20%、ジュンノウキャリ:60%であり、多くのジュンノウキャリの意識を変えることが重要だとおっしゃる。 資生堂は80%が女性社員だから、女性の意識を変えることが重要なのだろう。

 しかし、それは、男性社会のように頑張り至上主義を強制しようとしているのではないだろうか。

 少なくとも、育児期間、介護期間、は頑張らなくても良い仕組みにする必要があるのではないだろうか。

 そのためには、男性社会の頑張り至上主義を改めなければならないと思う。(男性社会に順応した女性も?)

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 関根近子氏の講演を批判しているわけではありません。多くの気づきを得ることができました。 それだけに、育児支援制度取得者に対する要求に違和感を感じたのだろうと思います。


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