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2012年3月 3日 (土)

空気の教育

空気
「空気の教育」外川滋比古 PHP
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 人を育てるのは空気である。
 空気とは、しきたりや習慣、暗黙の常識のようなもので、その環境独自のものである。
 この空気によって、家風や校風、社風が生まれる、職人気質もこの空気によるものであろう。
 人は、明示的、直接的にうけた教えの他は、この空気で薫陶をうけ育つことになり、
直接的に受ける教育より、空気による教育の方が大きい。

技術の伝承における空気ついて考えた。
 技術を次世代に伝えることはとても重要であり、最近は社会的な大問題である。
技術を伝承するためには、伝える側と伝えられる側が能動的でなくてはならない。
つまり、技術を伝えようと思い、一方は技術を習得しようと思って行動することが必要である。

 技術の伝承が困難な原因として、最近の若者の気質が取り上げられることが多い。
曰く、最近の若者は受け身である。
曰く、最近の若者は覚えることは得意だが考えない。等々
しかし、この類の小言は我々の世代(新人類)でも言われていたことで、ゆとり君に限ったことではなく個人の資質だと思う。

 では、我々が若かった頃となにが変わったか?
それは、空気ではないだろうか

 昔の年寄りは、「技術は見て盗め」と言いながら後輩に自分の技術を伝え、若年者は先輩の仕事を見よう見まねで覚え、自分で考えることによって技術を修得していたし、それが当然だと思っていた。この方法は、徒弟制度にも似た一見非効率な方法なので、技術を習得できる者とできない者とでは明確な差がついていたように思う。
 身近に手本となる先輩がいないという人事的な問題や、まねるだけで自分で考えなければ技術として身につかないという個人の資質の問題、また技術の伝承に長い期間が必要という問題があったが、今ほど時間的制約が厳しくなかったのでそれなりに機能していたのだろう。

 一方今時の年寄り(伝える側やマネージャー)には、「人材育成はマネージャーの責任」とか「人材の即戦力化」など何かと圧力がかかるが、そもそも若い頃に自分で考えていなかった年寄りには伝えるものがないし、人材育成が成果につながることは希なので適当にお茶を濁しておこうという姿勢が垣間見える。
 伝えられる側は、マークシート方式受験戦争の影響で正解を覚えることは得意だが自ら考えることは苦手であるという指摘があるが、あながち的外れではないようである。 実際に、課題を与えると及第点以上の仕事をするが、自分で課題と解決策を考えて行動するように言うと困っている。できないわけではなく固まってしまうようだ。

 今も昔も伝えられる側が能動的であることを求めていることに違いはない。
昔の伝えられる側の人たちはそれを受け入れていたが、今の伝えられる側の人たちは受け入れられないのか、能動的であることを求められていなようだ。

 畑村洋太郎先生によると、技術は「伝える」ものではなく「伝わる」ものだそうだ。(「組織を強くする技術の伝え方」 講談社新書)
つまり、空気ができている組織では技術は伝わるし、空気ができていない組織では技術は伝わらないのである。

 技術が伝わる空気の醸成においてマネージャーの役割は重大である。
職場の良い空気を作るのも、台無しにするのもマネージャーであるから。日本人は影響力の大きな人が発する気から順に読むので、実際に見たことのないトップより身近にいるマネージャーの方が影響力が大きく、結果的に空気を作る・壊すのは現場のマネージャーであることが多い。

 年寄りや、マネージャーにできることは、
「技術者は、常に新しい技術を習得し続けなければならない。通常業務が忙しいことは理由にならない。」
という空気(共通の認識)を作ることではないだろうか。
マネージャー自身が若いころに業務多忙を言い訳にしていたとしてもである。

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