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2013年2月20日 (水)

誰もやめない会社

誰もやめない会社 片瀬京子 蓬田宏樹 日経BP
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SUDOTECKさんのブログに書評があったので読んでみた。

 以前からリニアテクノロジーのLTSpiceを使っているのだが、この本の中でジム・ウイリアム氏はシミュレータについて、

シミュレーション・ソフトウェアは、昔に比べて機能が豊富になり、強力な設計ツールになったのは確かだが、評価ボードを使った検証を忘れてはならない。百戦錬磨のアナログ技術者になるためには、評価ボードは今でも貴重な道具といえる。
P130-P132

と言っている。

 シミュレーションすると動いたような気になるが、実物で動かしてみることが重要ということであろう。実際に物を作ったことが無い人は物理量(例えば、1A、1W、1μF、1mH)の実感がないように感じる。

 経営的には、コンシューマー向け製品が好調な時期に

「会社として伸びていくためには何をすべきか」「それは次の成功分野にチャレンジすることであって、テクノロジーの進化が緩やかになっている分野を、売り上げがあるからといって続けていくことではない。」

とコンシューマーに注力しないことを決断できたのは、カリスマ経営者ロバート・スワンソン氏だから可能であったのだろう。
 この決断でイノベーションのジレンマに陥ることを避けることができたわけだが、合議制ではこの決断はできないのではないだろうか。

自社の強みと、経営上の資産(アナログ・グル)を活用して、高付加価値の製品で高い利益率を確保する経営は理想的に見えるが、つまるところカリスマ経営者とアナログ・グルあっての会社とも取れる。

 創業者で会長のロバート・スワンソン氏が引退したあとのLTについては経営方針や社風を維持できるのか皆が注目しているようだ。

 ロバート・スワンソン氏は、

「リニアテクノロジーはカリスマ経営者による会社ではない。優秀な人たちが動かしている会社である。」
「会社というのはバスに例えられる。正しい席に正しい人が座っていれば、正しい方向へ進んでいく。仮にすばらしいドライバーがいても意味がない。」

と言っているらしい。

 バスの例えは、LTがいたずらに規模を求めないから可能なのであろう。
 バスが大きくなると、間違ってはいないが正しいとはいえない人が、間違ってはいないが正しいとは言えない席に座ってしまい、知らず知らずのうちに組織を蝕んでしまう。

 技術者の育成についての記述は多くなかったが、正しい席に座る正しい経営者とアナログ・グルを育成することができるか、アナログ・グルに興味ある仕事を与えられるかが課題なのだろう。そうしなければ、ロバート・スワンソン氏が「面白くない」とナショナル・セミコンダクタをスピンアウトしたように、アナログ・グル達がスピンアウトするのではないだろうか。

 注目しておこうと思う。

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LTは「いい物を正当な価格で買ってもらう会社」だそうだ。
SONYも昔はこういう商売をしていたのにね。

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