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2015年8月25日 (火)

昇格する!論文を書く

昇格する!論文を書く 宮川俊彦 角川書店

M

 10数年前に文章の書き方本を読み漁っていた時に読んだ本。

 一見How To本のようなので躊躇していたのだが、近くの本屋にある書き方本を全て読んでしまったので、しかたなく読んだ。

 ところが、How To本にありがちな採点する人にウケるテクニックが書いてあるわけではない。むしろ、論文を書く人より論文を読んで採点する人に参考になると思う。

 この本は読んだ後に昇任試験を受ける後輩にプレゼントしたので手元にはない。
ふとこの本を思い出し、電子書籍版を探したら、なんと\390だった(売れなかったのか?)のでもう一度読んでみた。

 この本の中で宮川俊彦氏が論文を採点している。僅か600字足らずの論文から人物像が見えてくるというのだ。例えば、教養土壌はあるが自信がないとか、自部署をどのように改革するかなどのビジョンがなく、自己満足度が強いなどだ。

 初めてこの本を読んだときには、わずかな文章からから書いた人の性格や仕事に対する取組みやビジョンまで分かることに驚いた。

 それまで小論文を書く際には、論文の構成と、論理構造が破たんしていないこと、しか気にしていなかったので衝撃的だった。宮川俊彦氏が採点するなら、論文試験の事前対策はできないと思った。

 10数年が経過し、人が書いた昇任試験の論文を読んでみると、宮川俊彦氏のレベルにはほど遠いが、文章の裏から分かる部分があることに気が付いた。

 特に自分が深く考えたことがある分野については、キーワードを散りばめた文章なのか、真剣に思考したことがあるのかが分かる。

 例えば、
「著しく頑張った部下に対しては、賞を与えたり昇任に関して尽力するなど、頑張りに応じた処遇をすることで部下のモチベーションを高める」
という文を読むと、

【部下の評価】
 頑張りと能力・業績の関係、能力・業績と処遇の関係について思考が足りない。
「頑張り」を評価しているが、頑張り=能力・業績ではない、また業績は賞で、能力はポストで報いるべきであるから、将来能力のない部下を昇任さてしまう恐れがある。

【マネジメント】
 部下に成果を上げさせるために行動するというマネジメントの意識がない。
頑張りを業績になるようにするのが上司の役割であり、自分も含めた自部署の成果を上げるというマネジャに必要な意識がない。

【モチベーション】
 モチベーションを高める方法としてインセンティブしか知らない。
外的動機付けの効果は限定的である。自身が内的動機付けでなく外的動機付けで働いているのではないか。

【改革力】
 表彰基準、昇任基準の理想、理想に向けた改革について全体的な観点が無い。
表彰基準、昇任基準に関する中間管理職の裁量は限定的であり、中間管理職の裁量を超える問題について、改革を進めようという意思が感じられない。

【人物像】
 「自分は頑張っているのに評価されていない」と思っており、部下に同じ思いをさせたくないと考えている。しかし、個人や部署の成果、組織の改革に対して主体的に行動しておらず、周囲を批判しているのではないか。

【昇任すると】
 部下に過度な頑張りを強要し、人海戦術で部下を疲弊させるが、上司に対しては主張できない中間管理職になる恐がある。

などが推測できる。

 推測したことは、自分が悩み、本を読み、自分の考え方は正しいかと自問自答してきたことである。ということは、自分が読んだ本の数だけ、自分で考えた時間だけ、小論文を書いた人の人物像が想像できるようになるのではないかと思う。

 一方で、エライ人の中には、体裁がよくウケ狙いの論文を「良くまとまっているね」などと言う人や、誤字脱字しかチェックしない人がいるのも事実なので、運が良ければ、自分に向き合わないで「かきかた」の練習で合格してしまう。

 自分に向き合わないエライ人が自分に向き合わない人を昇任させる。負の連鎖だ。

 まず、論文の採点者には小論文を書かせて、他人を評価するに値する見識を持っているかを見極めるべきだ。

 エライ人ほど影響力が無く、論文の採点者でもない自分に何ができるかと考えた。
先ず、これから試験を受けるであろう人たちに、

「自分に向き合っていない採点者の存在を当てにせず、あえて王道を進もう。」

と言うことだ。

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