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2019年5月23日 (木)

巨大システム 失敗の本質 <立ち止まるために重要なこと>

巨大システム 失敗の本質 「組織の壊滅的失敗」を防ぐたった一つの方法
 著:クリス・クリアフィールド/アンドラーシュ・ティルシック
 訳:櫻井祐子
 東洋経済新報社

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 この本では複雑なシステムで大きな事故が起こることを「メルトダウン」と呼んでいる。
福島第1原発の事故や挫折したプロジェクト、誤った人事採用まで、大きな事故にも日常の事故にも失敗には共通点があるという。

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    ↑出展:「巨大システム 失敗の本質」図表1-1

上の図でシステムの構成要素が複雑で密結合している部分(右上)がデンジャーゾーンでメルトダウンが起こる。図には例として原子力発電所と化学プラントが挙げられているが、コンピュータによって制御されるシステムはこの部分に含まれるようになったという。

 デンジャーゾーンを脱出する方法として、複雑性を減らす、前兆を発見する、少数意見を尊重する、多様性を大切にする、「異人」の客観性、立ち止まることを上げている。

立ち止まることについて著者は

ある海軍下士官が空母による戦闘演習中に、甲板で道具をなくしたことに気が付いた。道具がジェットエンジンに吸い込まれでもしたら大惨事になりかねないことを、彼は知っていた。だがその一方で過失を報告すれば演習が中止になり、処罰される可能性があることもわかっていた。……下士官は過失を報告し、演習は中止になり、飛行中の戦闘機は全て陸上基地に行き先を変更し、莫大な費用がかかった。下士官は過失を犯したことで処罰されるどころか、勇気ある報告をしたとして、正式な式典で部隊長に表彰された。

という例を引いて

 正式な式典で! 信じられないような反応だ。演習を中止にし、巨大な甲板を隅から隅まで探し回らせられる原因をつくった張本人を表彰するのだ! あなたの組織でそんなことが起こるだろうか?

と問う。正直ウチでは無理だと思う。

 積極的に部下の意見を求める上司もいるが、そうした試みは失敗に終わることが多い。よくあるのが匿名で意見をいえるしくみだ。どこにでもある匿名調査や意見箱、匿名ホットラインなどは、匿名の保証があれば従業員が声を上げ、率直な反応を見せるだろうという前提に立っている。だが匿名をウリにするのは、声を上げることのリスクを強調するようなものだ。ディタートとバリスも書いている。「こうしたしくみの背後には、『この組織で思っていることを率直にいうのは危険だ』という言外のメッセージが隠れている」。

 知ってる。

 匿名で意見を言えるしくみが機能すると、大きな失敗の前兆を発見できるが、『この組織で思っていることを率直にいうのは危険だ』という組織風土では、良くて、隠された大きな失敗が明るみに出るくらいだろう。

 前半の、メルトダウンの事例やメカニズムは参考になる。しかし、後半のメルトダウンを防ぐ方法は読むと気が重くなる。何年も改善に挑戦しているけど結果が出ていないことだから。


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