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書籍・雑誌

2018年9月25日 (火)

モモ <時間泥棒の正体は自分自身>

モモ ミヒャエル・エンデ 岩波書店 

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 どこから来たのかわからない不思議な女の子が灰色の男たちに盗まれた時間を取り返すお話。

 作者の後書きには

するとなぞめいた旅行者は、もうひとことつけくわえたのですが、そのことばをわたしは読者にお伝えしなければと思うのです。
「わたしはいまの話を、」とそのひとは言いました。「過去におこったことのように話しましたね。でもそれを将来おこることとしてお話ししてもよかったんですよ。わたしにとっては、どちらでもそう大きなちがいはありません。」

と書かれている。 昔の話ではなく未来の話であることを示唆しているようだ。

 この本の初版は1973年、日本語訳は1976年らしい。 読んでみるとまるで30年後を予言していたかのようだ。 気づかないうちに灰色の男たちに時間を盗まれているのかもしれないと思った。

ところで、

日本マイクロソフト マイクロソフトテクノロジセンター長 澤円氏は 

日本企業は「礼儀正しく時間を奪う」

とおっしゃる。

 現在の「灰色の男たち」とは自分自身のことで互いに他人の時間を奪っているのかもしれない。 物語の中の「灰色の男」と違うのは礼儀正しいことだ。多分悪意もない。

 澤円氏のところにバリバリの日本企業からインターンとして派遣されている人がいるそうだ。 澤円氏曰く、

そして続いて言ったのが「会議でみなさん発言されるんですね」です。なんとなくその辺から雲行きが怪しくなってきますね。次の一言が僕の度肝を抜きました。 「私は会議でなにかが決まるのを初めて見ました」。

「はぁ? じゃあ会議でなにするの?」と聞いたら、「その会議に出ている偉い人が喋っているのを一生懸命に聞いてメモをとるのが会議」だと。本当に会議で発言した記憶がないって、僕に言ったんですよ。

う~ん。笑えない。

 物語の中では灰色の男たちが会議をしている場面があるが、灰色の男たちはちゃんと発言していた。

 我々は、灰色の男たちに時間を盗まれる以前に、どこかに捨てているのかもしれない。


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2018年9月19日 (水)

深く考える力 <「賢明なもう一人の自分」は暗黙知のことか?>

深く考える力 田坂広志 PHP文庫

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 第一部は「深く考える技法」について。

 第二部、第三部はForbes JApanに掲載されたエッセイで、田坂広志氏のメールマガジン「風の便り」でも配信されていたり、他の書籍にも掲載されているので、何度も読んでいる文章が多い。

 田坂広志氏は、深く考えるためには「賢明なもう一人の自分」との対話が必要だとおっしゃる。 そのための技法として、

  1. まず、一度、自分の考えを「文章」にして表してみる。
  2. 異質のアイデアを、敢えて結びつけてみる。
  3. 自分自身に「問い」を投げかける。
  4. 一度、その「問い」を忘れる。
  5. 自分自身を追い詰める。
5つの技法を挙げておられる。
 「賢明なもう一人の自分」は思考を文章にするときだけではなく、他人の文章(エッセイ)を読むときにも現れるから、他人の文章を読むことでも、思考を深めることができるうとおっしゃる。 そのための、例題が第二部、第三部のエッセイということだろう。

 若い頃は技術書しか読まなかったった。
技術書の目的は、知識を得ることだが、知っているだけでは食えないので技術を習得する手引書として使っていた。

 ひと年取って技術書以外の本を読むようになると、それまで気付かないことに気づくことが多く、一生懸命覚えておこうとしていた。 しかし、そのうち覚えておくのは無理だということが分かった。

 本を読むまで考えもしなかったことに気がついて、考えたことは、詳細に覚えていなくても、自分の一部になるになると考えるようにした。 それまで知っていたことと融合して暗黙知になるのだろう。

 そう考えると「賢明なもう一人の自分」とは、暗黙知のことかもしれない。

 暗黙知を知覚することは難しいが、深く考えることで、自分の暗黙知に触れて、暗黙知を形式知にできるのかもしてない。

 深く考える技法として書くことは有効だと思う。 また、読むことは、知識を得るという実用な効用の他に、著者の暗黙知に触れるという効用もあるのだろう。

 そして、他人の暗黙知に触れることが触媒になって、自分の暗黙知に触れることができるのではないだろうか。

 知識創造企業(2014/05/13)にあるSECIモデルでは、暗黙知を形式知化する表出化が難しい。 結合化、内面化はITを使って効率化できるが、表出化は個人の能力に頼らざるを得ない。

Seci

深く考える力は暗黙知を形式知にする表出化に有効かもしれない。


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2018年9月15日 (土)

データ分析の力 <因果関係と相関関係は違う>

データ分析の力 因果関係に迫る思考方法 伊藤公一郎 光文社

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 データ分析の基礎を数式を使わないで説明した本。 高校生に理解できるようにと書かれているらしい。

 最初に、相関関係と因果関係は違うことが説明してある。伊藤公一郎氏が指摘するように、ネットには無知か故意か相関関係と因果関係を混同している記事を見かける。

 例えば、大分県庁の過労死問題 (2018/01/13) など。
この分野の専門家ではないのだが、残業時間と健康被害は相関関係はあるが、直接的な因果関係はないと思う。

  • 睡眠時間と健康被害は因果関係がありそうだ。
  • 職場の環境と健康被害も因果関係がありそうだ。

そして、経験則では

  •  残業時間と睡眠時間は因果関係がある。
  •  職場の環境と残業時間も因果関係がある。

 厄介なのは「職場の環境」で、上司、同僚、部下、業務量、責任、など要素が沢山ある。
しかも測定しにくい。 だから、測定しやすい、残業時間で管理しようとするのだろうが、残業時間には直接の因果関係はないので、問題が改善されない危険性がある。 改善されないどころか、益々環境が悪化する危険性がある。

 例えば、残業時間を制限したことによって、目標未達になりその責任を問われたり、目標未達にならないように陰で残業したり(大分県庁の例)だ。

 因果関係があれば原因を変えれば結果は変わる。
 因果関係でなく相関関係の場合は、一方を変えてももう一方は変わらるとは限らない。

 つまり、残業時間を制限しても健康被害が減少するとは限らないということだ。
「残業時間を厳しく管理します」と言って(言わされて)いる人の職場環境も悪いんだろうなと想像する。

閑話休題

 この本は、別の本を買おうとしたら、1,500円以上10%OFFクーポンが使えなくて、合計1,500円にするために買った。 楽天の罠にまんまとハマっている。

 さらに勉強したい人のためにレベルに応じて参考図書が紹介されているので、もう少し詳しい本を読んでみようと思う。


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2018年9月 5日 (水)

日本軍「戦略なき組織」 検証失敗の本質(2)

日本軍「戦略なき組織」 検証失敗の本質 Harvard Business Review 2011/01

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最近、「失敗の本質」(2018/07/11)を読んだので、昔買ったこの本を読んでみた。

失敗の本質」になかった

  • 出身軍隊別:元軍人CEOの適性診断
  • 航空決戦と「航空機産業」の崩壊

について考えてみた。

航空決戦と「航空機産業」の崩壊

 日本海軍が編み出した航空攻撃という戦術は画期的だった。 この戦術を支えているのは、熟練パイロットと零戦をはじめとする航空機だ。

 熟練パイロットの育成には時間がかかるから、戦局が長引くと、熟練パイロットは減る。 また、日本軍の航空機の生産性は低いし、当時の日本は独自に技術革新できるほどの技術的基盤が無かったから、戦局が長引くと、航空機の生産量が少なくなることは予想されたことだ。

 戦局が長期化すると日本の優位性は保てなくなるから、戦局を長期化しない戦略が必要だ。 ところが、停戦という選択肢が無いから戦局は長期化し、熟練パイロットは減り、航空機も減った。

 熟練パイロットの減少は米軍でも同じように問題だが、米国は航空機の生産性を上げ、日本の戦闘機1機に対して複数で戦闘する戦術をとることで未熟なパイロットでも戦闘できるようにした。 一方日本軍は、未熟なパイロットに低性能の機体を与え特攻という戦術を選んだ。 「戦略なきと」言われる所以だ。

 ここから学ぶとすると、

  • 熟練技能者の育成には時間がかかるから、熟練技能者の存在で優位性があるのは短期間であること。
  • 優位性がある間に、新たな戦術を編み出こと。
  • 戦略を変えるために、高性能な装備を配置すること。

を前提に戦略を考えなければならないだろう。

 サイバー・セキュリティ分野では技術者が不足しているから、高度な技術力を持っている技術者(高度技術者)の存在は大きな優位性だといえる。

 サイバー・セキュリティ分野は一時的に優位性があったとしても、技術の移り変わりが速いからいつまでも優位性が保てない。 しかし、サイバーセキュリティ技術者の育成には時間がかかるから、高度技術者の供給は間に合わない。

 今時、高性能な装備は金で解決できるから、装備による優位性は期待できない。

と考えると、もう戦略を変える時期が来ているのだろう。



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2018年8月28日 (火)

日本軍「戦略なき組織」 検証失敗の本質

日本軍「戦略なき組織」 検証失敗の本質 Harvard Business Review 2011/01

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最近、「失敗の本質」(2018/07/11)を読んだので、昔買ったこの本を読んでみた。

失敗の本質」になかった

  • 出身軍隊別:元軍人CEOの適性診断
  • 航空決戦と「航空機産業」の崩壊

について考えてみた。

出身軍隊別:元軍人CEOの適性診断

 アメリカは今でも世界中で戦争しているから軍隊出身者は多い。軍隊での経験はビジネスでも有効らしく軍隊出身のCEOも多い。 軍隊出身と一括りにはできず、出身軍によって適性が違うという内容。

 海軍、空軍出身者は大企業のCEOに多く、陸軍、海兵隊出身者はベンチャーや中小企業のCEOに多いらしい。 海軍、空軍は艦船や航空機を運用するにはシステムが必要で、手順の標準化や規則、規則の順守が重要である。

 一方、陸軍、海兵隊は白兵戦を行うから、局地的な戦況に応じて臨機応変な対応が重要である。

 海軍、空軍は組織指向、陸軍、海兵隊は目的志向だから、前者は官僚的な大企業に向き、後者は中小企業に向いているという分析だ。

 「アメリカ陸軍リーダーシップ」(2018/07/17)で、

このマネジメント手法は合理的な思考を尊重する風土があったり、小規模で意思決定が速い組織ならなら有効だろう。

と書いた。 この見立てはあながち間違っていなようだ。

閑話休題

 ウチの仕事はICTでその範囲は広い。 最近感じるのは、インフラ部門とサイバー・セキュリティ部門の意識の差だ。

 インフラ(CT)部門はプロトコルとオーダーが重要だ。プロトコルが定められているから異なるメーカが造った装置間で通信できる。 回線を提供しようとすると、複数の場所で、複数の人が作業をしなければならないから、管理部門のオーダーに従って忠実に作業することも重要だ。 そのせいなのか、インフラ部門出身の管理者は総じて官僚的だ。

 サイバー・セキュリティ部門は現在進行形の現場で仕事をしているから、自らの判断で作業することが求められる。とくにインシデント・レスポンスでは、いちいち管理部門にお伺いを立てていたのでは被害が拡大してしまう。

 米陸軍や米海兵隊のリーダーシップはサイバーセキュリティ部門には有効だが、インフラ部門には有効ではない。

 インフラ部門が長い人と話すときには、意識の差に気を付けよう。



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2018年8月22日 (水)

孫子&クラウゼビッツ <消化不良だ>

新訳 孫子 「闘いの覚悟」を決めたとき読む最初の古典 兵頭二十八 PHP文庫

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隣の隣国をどう切り伏せるか 超訳クラウゼビッツ『戦争論』 兵頭二十八 PHP文庫

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 戦略とは戦いを略すこと、つまり戦わずして目的を達成することと言われる。

 古代中国や第一次世界大戦までのヨーロッパでは兵卒は農奴だから、死ぬまで戦う決戦を遂行するのは難しい。

 兵卒は、恩も義理も無い領主に脅されて戦場に連れて行かれているわけだから、最大の目的は生きて帰ることだ。 だから、戦闘に勝利しなくても、いかに被害を少なくして有利な状況で停戦するかが重要だ。 戦争に勝っても戦利がなければその戦争は失敗だ。

 フランス革命前の軍隊は貴族+傭兵+農奴であったが、革命後のフランスは民主主義共和国になったことから徴兵制が可能になり大軍が編成できるようになった。 クラウゼビッツはプロイセンがナポレオンに負けた原因は徴兵制だと考えていたようだ。

 そう考えると、かつて日本がロシアに勝った理由が理解できる。

クラウゼヴィッツは

「軍」司令官は、所与の兵数の「軍」で敵「軍」と雌雄を決せねばならない。その際、もしわが「軍」の兵力量が敵「軍」よりも若干少ないという場合には、頼りになるのは、麾下将兵の「士気」、すなわち敵よりもまさった精神力しかない。
さらに、もしもわが「軍」が敵「軍」に比べて、兵力において半分、もしくはそれ以下しかないという場合には、部下の最高度の精神力に加えて、よほどの「奇策」をあえて採用しなければならぬが、それでも勝てるかどうかは、常識的に、危ぶまれる。

という。 兵力に劣る日本軍はこれを実践したわけだ。

 日本は明治以降の教育の普及と徴兵制が功を奏し兵卒の精神力が強かった。 日露戦争でロシアに勝ったが賠償金も取れず領土も拡大してないので大成功というわけではない。 しかし、ロシアの南下を食い止めるという目的は達成したので、勝利と言えるだろう。

 歴史の授業ではこのあたりのことを教えてくれない。 単に年表を追うだけだ。

 クラウゼヴィッツが言うように、戦争は政治の部分集合だとすると、明治の政治家も軍人はそれを理解していたのだろう。 しかし昭和の政治家と軍人はそれを理解していなかったということだろうか。

 孫子はビジネス戦略に参考になるというが、正直ピンとこない。

 孫子もクラウゼヴィッツも、兵を率いる上で根底にあるのは、戦う意思の無い兵士にいかに生死をかけた決戦をさせるかである。 戦術、戦闘において、これは極めて難しいから、なるべく戦わない、なるべく消耗を避けるという戦略を取らざるをえない。 だから、戦略は戦いを略すことだ。

 先の戦争において日本人は、特攻を命じられると、逃げ出すわけでもなく反乱するわけでもなく、空気の力によって従ってしまった。 これは日本人の性質なのだろうか、それとも、戦争を指揮した者が孫子やクラウゼビッツが言う「生死を掛けた決戦を」させることに成功した例なのかは分からない。

 不幸にも、日本は先の戦争で国民に「生死をかけた決戦」を強いることを知ってしまった。 現在も、この考え方が根底にあるから、高度成長期は「企業戦士」、最近は「社畜」が無くならない。 そしてブラック企業で人が死ぬ。

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 ちょっと消化不良っぽいなぁ。


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2018年8月16日 (木)

ウドウロク <逆から読むとクロウドウ>

ウドウロク 有働由美子 新潮社

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 有働由美子氏を始めて見たのは、おはよう日本のキャスター交代の告知だったような気がする。(1994年?)

 NHK初の女性理事か?などずいぶん去就が取りざたされたが、そのことについては、文庫版あとがきに書いてある。

私の場合は、容姿やアナウンス力では勝負できない。
となると、さあ、なにをよりどころに個性をかんがえればいいのか。

など「容姿」に関する記述がある。

 自身の「容姿」に対するコンプレックスなのか、コンプレックスを克服した誇りなのかは分からない。 何といっても、第14回好きな女性アナウンサーランキングでは堂々2位だ。

 50歳を目前にして、NHKという大きな組織から離れて独立するのは大きな決断だったと想像する。 しかし、有働由美子氏くらいのビッグネームになると、ちゃんと仕事はあるようだ。

 「容姿」など天賦の才に頼らず仕事をしてきた証なのだろう。


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2018年8月 7日 (火)

資生堂で学んだまごころ仕事術 <キャリアパスとロールモデル>

資生堂で学んだ まごころ仕事術 関根近子 朝日新聞社

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 資生堂初の女性執行役員を務められた関根近子氏の講演を聴いたので、著書を読んでみた。
公演の演題は、セクハラ、ワークライフバランス、女性活用という今時のテーマだったが、この本には、今時の話題はなく、関根近子が自身のキャリアから得た仕事や人生に向かう姿勢が書いてある。 

 ネットには関根近子氏インタビュー記事や公演を聞いた人のブログなどがたくさんある。  関根近子氏のプロフィールを見ると、「高卒」「美容部員」「女性初」というキーワードが必ず入っているようだ。

 会社としては、女性活用、ダイバーシティ、という簡単からアピールしておききたいところだろう。 関根近子氏の講演でも自己紹介の中で「高卒」「美容部員」「女性初」であることを話しておられた。

 資生堂は女性社員が80%だが昔の男社会だったらしい。 美容部員は資生堂の企業理念を顧客に提供する上で欠くことのできない存在でありながら、少数の高学歴の男性によって経営されていたらしい。

 つまり、関根近子氏のキャリアは傍流でしかもポジション的にも稀な存在なのだろう。 もっとも、傍流で稀なキャリアでなければ、あえて紹介したりしないだろう。

 疑問は、

 傍流で稀なキャリアを登っている人や、登りつめて成功した人は、ロールモデルになるのであろうか?

とういことだ。

 支店長に抜擢された人なら、関根近子氏はロールモデルになるかもしれないが、これからキャリアを始めようとしている高卒美容部員がロールモデルにするには遠すぎると思う。

 本流のキャリア・パスならば、そのキャリアを登っている人が多いから、ロールモデルを見るけることができるだろう。しかも、高いところまで登ってもなおロールモデルにできる人がいるだろう。 しかし、傍流のキャリア・パスは登っている人の数が少ないから、ロールモデルが見つからない。

 問題なのは、企業の価値を支えている多数のキャリア・パスが傍流であることだろう。 しかも、この問題は、いたるところにあるのではないだろうか。

 「美容部員」を「技術者」に変えれば身近にもある。 違うのは、関根近子氏のように傍流のキャリア・パスを高くまで登りつめた人はいないということ。

 人材育成においてロールモデルは重要だが、キャリア・パスが考えられていないためにロールモデルが簡単に見つからないことがある。 

 誰かのロールモデルになることは人生の目的ではない。 せめて選択できるくらいのキャリア・パスが必要だと思う。

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 資生堂や関根近子氏に恨みはないし、否定しているわけでない。念のため。


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2018年7月31日 (火)

未来の年表2 人口減少日本であなたに起きること <逃げ切りと言わないようにしよう>

未来の年表2 人口減少日本であなたに起きること 河合雅司 講談社

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 おじさんたちは、『おわりに 「豊かな日本」をつくりあげてきた〝大人たち〟へ』から読むと良いのではないかと思う。

河合雅司氏は、「逃げ切り」世代に対して

 皆さんの力をほんの少しだけお貸し頂きたい──そんな思いを込めてリタイア世代を含め、「終身雇用」「年功序列」が当たり前だった時代の〝大人たち〟に、お願いのメッセージを届けたいと思います。

そして、

 次代に「豊かな日本」を引き渡していくために、ほんの少しの勇気と覚悟をもって、一緒に行動を起こしていきましょう。

とおっしゃる。

 いつの世も世代間の確執はあるものだ。
「逃げ切り世代」は「団塊の世代」に対して「逃げ切られた」感を持っている。
その、「逃げ切り世代」は次の世代から同じように恨みを買っているのだろう。

 河合雅司氏の指摘にあるように「逃げ切り」という言葉は今後使わないようにしよう。

 上の世代に恨み言を言っていても始まらない。 親の世代や団塊の世代が豊かな日本を作ってくれたのは事実だ。 しかし、我々の世代は子供たちに残せるものがあるどころか、迷惑をかける存在だ。

 幸か不幸か定年しても晴耕雨読、悠々自適とはいかないようで、もう少し働かなくてはならない。

 ワガママにならずに次の世代に何か残せるようにしたい。


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2018年7月25日 (水)

「AIで仕事がなくなる」論のウソ この先15年の現実的な雇用シフト

「AIで仕事がなくなる」論のウソ この先15年の現実的な雇用シフト 海老原嗣生 イースト・プレス

Ai

「AIが仕事を奪う」はウソかもしれない (2018/07/23)で釣られたかもしれないと書いた。 釣られたついでに海老原嗣生氏の本を読んでみた。

 海老原嗣生氏は、 オックスフォード大学や野村総研のレポートは、AI技術面しか考慮されていない。 今後仕事が無くなるかどうかは、雇用の情勢を考慮しなければならないとおっしゃる。

 海老原嗣生氏の見立ては、
これから先の雇用を考えると、AI技術の普及より、少子化による労働人口の減少のほうが、影響は大きい。 労働人口が減少する分をAI技術の普及により相殺できるので、仕事が無くなって路頭に迷うことはない。

 日本は欧米ほどITによる合理化が進んでいないので、まずIT化により定型的な業務が自動化され、事務職の労働人口が減る。 その後で、AI技術の普及により、簡単な判断はAIが行い、簡単な作業はパソコンとロボットが行うようになる。 しかし、事務職の業務で、人の判断が必要な業務と、ITで自動化するための手作業(機械に使われる仕事)が残るので仕事がすべてなくなるわけではない。
ということらしい。

 人間は高度な判断が必要な業務、人の感情を扱う業務、創造的な業務、人間でなければできない仕事と、逆に、ITやAI、ロボットを効率的に稼働させるための単純作業に二極化するから、AIに取って代わられないスキルを獲得しなければならない。 これは多くの識者が指摘するところだ。

 ところが、海老原嗣生氏は、特別なスキルを持たない者でもAI技術を使うことで、高度なスキルを持った者と同じような仕事ができる。 そして、特別なスキルが無くてもできる、AIを使う(使われる)仕事は、労働人口の減少により賃金は高くなるとおっしゃる。

 つまり、AIが普及すると、特別なスキルが無くても高賃金の仕事があるのだと。

 この予想が、「AI vs. 教科書が読めない子どもたち」での新井紀子氏の主張と異なるところだ。

 新井紀子氏はの予想は、AIで削減したコストは特定の企業に集中する。企業はコスト削減を迫られるから利潤率は低下し、労働者の賃金も低下する。 その結果、消費が減りAIで置き換えられない職業まで無くなる。

 海老原嗣生氏は、AIを使用することで素人だらけの店が銀座の名店並みの「うまさ」を誇るようになるとおっしゃる。 たしかに、そのとおりかもしれない。しかし、例えば回転寿司がAIを導入して銀座の名店並みのうまい店になっても、客単価が上がるとは思えない。 競合する他店より客単価は上がるだろうが、銀座の名店並みににはならないだろう。 やはり回転寿司の相場というものがある。

 とすれば、スキルもなくAIを使う(使われる)だけの仕事が高賃金になるというのはにわかには信じられない。

 AIが普及して仕事が無くなっても、AIを使う(使われる)仕事が残るため、路頭に迷うことはないという海老原嗣生氏の見立ては正しいのかもしれない。

 ただし、それは短期的でしかも業種によって事情は異なる。 AIを使う(使われる)仕事がいつまで残るかはAIの技術的な進歩だけでなく、産業構造の変化にも左右される。

 長期的には、AIを使う(使われる)仕事の存在を前提にした人生設計はリスクが大きいと思う。


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