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書籍・雑誌

2017年7月18日 (火)

伝えることから始めよう <創業者を乗り越えるのはいつの時代も若い人の力>

伝えることから始めよう 高田明 東洋経済新報

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 ジャパネットたかたの創業者 高田明氏の自叙伝。読んでいて、高田明氏のあの声が頭の中に響いているような気がする。

 ジャパネットたかたの社長交代は世間が注目していた。そして、2015年に高田明氏は宣言どおり社長を交代して経営から引退された。

 世間では、社長交代で業績が低下し、高田明氏が再び社長に就任するのではないかという憶測があった。

 テレビショッピングのMCを降板することが最大の営業リスクとまで言われたが、予定どおり2016年にMCを降板された。そして、現在まで復帰することもなく、2017には赤字だったV・ファーレン長崎の社長に就任された。

 多くの創業者が晩節を汚すなか、見事な引き際である。

 社長を交代されたころのインタビュー記事がある

高田明氏はインタビューの最後の中で、

繰り返しになりますが、100年続く会社にすることが私の悲願であり、私の代で終わってはいけないのです。

創業者を乗り越えるのはいつの時代も若い人の力です。

とおっしゃる。

年寄りは若い人の力を信じて、若い人の邪魔をしないようにしなければならない。

 創業者を乗り越えるのはいつの時代も若い人の力だ。


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2017年7月14日 (金)

トランジスタ技術1971年5月

 長い間、富崎新氏が設計したTTLで作ったコンピュータATOM-8の資料を探している。

 CQ出版の「作るシリーズ2 つくるコンピュータ」


↑(https://twitter.com/search?f=tweets&q=%23夢の図書館 つくるシリーズ2&src=typd

 に掲載されているらしいのだが、この本はなかなか手に入らない。

 「つくるコンピュータ」に収録する前にトランジスタ技術1973年5月号、6月号に掲載されていることが分かった。

 ネットで探すと、トランジスタ技術1973年5月号は、ハイファイ堂で古本を1,200円で売っているのを見つけた。もしやと思い、ヤフオクで検索したら300円出品されていたので即決で落札した。

Trgi197105

 ワクワクしながら開いてみたら、ATOM-8の記事がない。 ?_?) よく見ると 1971年5月号ではないか!(表紙だけではわからない)

 トラ技1971年5月号の特集は「実用回路デザイン集」だ。回路図集マニアなので、これはこれで興味がある。

 最近のトラ技と違って、単なる回路図集ではなく、「半導体とは」から「回路設計法」までトランジスタ回路設計の基礎がある。

 実用回路は「オーディオ回路」「高周波回路」「リニアIC回路」「パルス回路」「ロジックIC回路」「定電圧電源回路」が解説付きで掲載されている。

 「製品詳解」にパイオニアの当時ハイエンド機TX-100の紹介記事があって、回路図付きで詳細に解説してある。

1971trgi_tx00

 TX-100のFMフロントエンドは 3SK35-2SK19-2SK19(MIX) のRF2段だ。
初段にデュアルゲートMOS-FETを使用し次段とミキサに接合型の2SK19を使っている。

 デザイン集に掲載されているFMフロントエンドは2SC784-2SC785(MIX) と 2SK19GR-2SK19Y(MIX)の2種類だから、それから比べると贅沢な回路だろう。

 藤商の広告がある。懐かしい!

1971trgi

3SK35と2SK19の値段を調べると、3SK35が570円、2SK16が150円だ。

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 物価を1971年と比べると約4倍だ。(少年ジャンプ比:週刊少年ジャンプの値段の推移) 3SK35は今の値段にすると2,280円くらい。2SK19は600円くらいだろうか。

 高いなあ。始めて買ったデュアルゲートMOS-FETは3SK59だった。1978年頃には3SK35より3SK59が安く、200円くらいで売られていたと記憶している。

 通販広告を見ていて気が付いた。
TTLを扱っているのは1社だけで、TIの74シリーズがない。1975年頃のCQ誌にはたくさん出ていたと記憶しているのだが、「トランジスタ技術」だからトランジスタだけ?

閑話休題

 1973年5月号は1,200円の古本を買うしかないのか。因みにこの頃のトラ技の値段は280円。


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2017年7月10日 (月)

日経ビジネス 2017/6/26 <アナデバのリニア買収>

日経ビジネス 東芝の"遺言" 2017/06/26

20170626

 ビジネス誌はこぞって東芝を特集している。とうとう"遺言"になってしまった。

 東芝問題より気になった記事は

「日本と共に最も困難な設計課題に挑む新生アナログ・デバイセズ」

 この記事で、アナログデバイセズ(ADI)がリニアテクノロジー(LT)を買収したことを今更知った。

 LTはアナログIC専門のメーカーだ。創業者で会長のロバート・スワンソン氏は、

「リニアテクノロジーはカリスマ経営者による会社ではない。優秀な人たちが動かしている会社である。」

と言っている。

 そのリニアテクノロジーは利益率40%を超える超優良企業だから、なぜ今経営統合なのか気になるところだ。

 気になって調べてみると、アナログIC業界はTexas Instruments(TI)独り勝ちのようだ。

↑(http://news.mynavi.jp/photo/news/2016/06/02/250/images/011l.jpg)

ADIはTIの1/3、LTはADIの1/2くらい。

 半導体業界全体から見れば、TIは業界8位くらいだけれど、上位はみなCPUやメモリなどデジタルICだ。ADIもLTもTOP20には入っていない。(アナログIC専門だからか)


↑(http://news.mynavi.jp/photo/news/2016/08/16/370/images/011l.jpg)

TIといえばICを発明したジャック・キルビー博士がいた会社で、TTLの標準SN74xxシリーズを作った会社だ。デジタルICの老舗だけど最近は、2000年にバーブラウン(BB)を2011年にナショナルセミコンダクタ(NS)を買収している。どちらもアナログICメーカだ。

 IoT社会になるとモノがNetにつながるようになる。そのモノ(エッジ・デバイス)には組み込み用のCPUが必要になる。儲かりそうだ。当然TIも持っているけど、競合他社が多い。

 他にエッジ・デバイスに不可欠な半導体は、A/D、D/A用IC、電源用IC、つまりアナログICだ。

 アナログ技術者はデジタル技術者とくらべて育成に時間がかかるといわれている。最近は新人を確保するのが難しいから、後発メーカは参入しにくい。ブルーオーシャンだ。

 ADIとLTは早くからアナログICを事業の柱にしてきたメーカーだ。高い技術力でデジタルICメーカと差別化を図って高い収益率を上げている。「いい物を正当な価格で買ってもらう」というビジネスモデルだ。 「誰もやめない会社(2013/02/20)

 迅速な経営判断と物量作戦で市場を独占する、メモリなどデジタルICを作っている半導体メーカとはビジネスモデルが違う。

 TIはスマホ用CPUでQualcomに負けて、アナログIC分野に方向転換した。技術者の育成は時間がかかるので、技術力を手に入れようとすると企業買収しかない。そして、アナログIC業界で断トツのシェアを占めるまでになった。

 ADIとLTにしてみれば、TIとは規模が違いすぎるので、このままでは将来TIに飲み込まれかねない。その前に経営統合して規模を確保しておこうという考えたのだろう。

 アナログ技術者はユーザー企業にもいないから、技術の結晶であるアナログICを売るだけでなく、アナログ技術者の知恵を付加価値として提供するメーカが今後生き残るのではないだろうか。

 アナログ技術は廃れない。


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2017年7月 4日 (火)

東洋経済2017/5/27 <知の探索>

東洋経済2017/5/27

20170527

「日本が弱体化したのは日米半導体協定のせいではない。時代の変化に気がつけなかったためだ」
「サムソンは日本から技術を盗んだが、それが強さの要因ではない。李社長にはDRAMで成功してからも強力な危機感とリーダーシップがあった。」

 日本の半導体が総崩れの原因は、変化できない体質だ。

 今問題になっている東芝半導体の売却は、どこに売るかではなく、今後どう経営するかを考えなければならないが簡単にはいかないようだ。日米韓連合が有力視されているけれど、意思決定が早くなるのか疑問は残る。現在優良企業だがこのまま衰退していくのではないだろうか。

 入山章栄・早稲田大学准教授はインタビューで

イノベーションは知と知の掛け合わせで生まれる。だから、企業はつねに新しい情報を求める。「知の探索」をしなければならない。
同時に企業は、獲得した知を掘り下げ、収益の源泉として改良する必要がある。
知の探索と深化を両立できる企業が、収益の伴った継続的なイノベーションを起こせる。
知の探索は想像以上に難しい。コストも人も時間も必要だし、やっと獲得した知が必ず収益をもたらすとは限らない。つまり、知の探索には失敗が伴うのだ。
だから、企業組織は本質的に、知の深化に偏りがちになる。

という。

 「知の深化」は誰かに命令されなくてもできる。ところが「知の探索」は誰かに命令されてもできない。 「知の深化」は明確な方法論があるが、「知の探索」には方法論が無い。

 入山章栄准教授が言うようにイノベーションは知と知の掛け合わせだ。
「知」のバリエーションが多い方ほど、掛け合わせる組合せが増えるから、イノベーションを起こせる確率は増える。

 「知の探索」に向いている人と「知の深化」に向いている人がいると思う。
「知の探索」に向いていない人は、「知」の対象を自分の専門分野や成果が出そうな分野に限定しているのではないだろうか。逆に言うと「知の探索」に向いている人というのは、自分の専門分野に限らず、損得勘定を度外視して「知」を得ようとする人で、簡単に言うと心のおもむくままに「知」を得ようとする人ではないだろうか。

 周りを見ると「知の探索」に向いている人が少ないと感じる。「知の深化」の方が成果を上げやすいと考えている人が多いのだろう。 また、ほとんどの管理者は「知の深化」しか考えていない。部下も管理者を忖度して「知の深化」を考えるようになる。更に、管理者は「知の深化」に向いている者を集めるようになる。

 そして、「知」について、管理はするがマネジメントしていない。管理者はいるがマネジャはいない状態になる。

 「知の探索」と「知の深化」が両立できるまでどのくらいかかるのだろうか?


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2017年6月28日 (水)

ジェフ・ベゾス 果てしなき野望

ジェフ・ベゾス 果てしなき野望 ブラッド・ストーン

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 電子書籍はKindle 版だけ半額だった。

 この本を読むかぎり、ジェフ・ベゾス氏は一緒に働くにはキツイ性格のようだ。

 現代ビジネスに「楽天がAmazonに勝てない理由は「物流哲学の差」にあった 2017.06.14」という記事があった。

 楽天にとって顧客は「利用者」ではなく「出店者」だから「利用者」の満足度が低くても利益は出る。一方、Amazonの顧客は「利用者」だから、「利用者」の満足度を上げなくては利益が出ない。逆に言えば、楽天よりAmazonの方が利用者のことを考えているという内容。

 ジェフ・ベゾス氏が利用者を優先するエピソードはこの本にたくさん登場する。
利用者としては良いことなのだが、Amazonと取引がある出版社、運送会社、影響を受ける小売りにとってはキツイだろう。

 「物流革命」が言われ始めて久しい。そして、とうとう、Amazonという形でやって来たということだろう。準備をしていた者は生き残れるし、準備をしていなかった者は生き残れない。 チーターは弱ったガゼルに近づき、Amazonは準備をしていないものに近づくのだ。

 ジェフ・ベゾス氏は弱ったガゼルに近づくように指示したらしい。

 しかし、よく考えてみると、Amazonが「物流革命」を起こさなかったとしても、いずれ誰かが起こすだろう。「流通革命」が起きれば、やはり、準備していないかったものは生き残れない。

 時代は必ず変わる。そして変化できる者だけが生き残れるのだろう。


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2017年6月22日 (木)

なぜ今、シュンペーターなのか <イノベーション=技術革新とはかぎらない>

なぜ今、シュンペーターなのか 秋元征紘 クロスメディア・パブリッシング

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 東洋経済の記事にあった「シュンペーターのいう『新結合』」とういう言葉に引っかかったので読んでみた。

ここでシュンペーターの言っている「新結合」とは何だろうか。
『経済発展の理論』では、「経済諸要素を新たに組み合わせて結合させることにより、新しい製品、サービス、事業を創造すること」と説明されているにすぎない。

      :

 「経済諸要素を新たに組み合わせて結合させること」と一貫して論じている。つまり、技術の問題ではない。

 イノベーションは「技術革新」と訳されることが多い。シュンペーターのいう「新結合」とは「イノベーション」のことらしいが、イノベーションは技術にかぎらない広義のイノベーションだ。

 この本では例としてスティーブ・ジョブズを挙げている。
よく言われることだが、iPodには技術的な革新は無かった。シリコン・オーディオプレイヤーはすでにあったし、音楽データの圧縮技術もあった。「音楽を持ち歩く」のはSONYのWALKMANが始めたことだ。

 イノベーションはiPodではなくiTunes Storeだ。SONYが先に始めたbitmusicにできないサービスをiTunes Storeが提供したということだ。

 技術のマネジメントという観点で見ると、技術者や研究者の関心は技術革新に向きがちだ。もっと言えば、既存の技術の寄せ集めなど価値は無いと思っている。 しかし、マネジャは今まで無かったモノを顧客に提供することを考えなければならない。モノは「物」とは限らず「サービス」のこともある。

 ここが、技術者上がりのマネジャにとってはコペテンだったりする。


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2017年6月14日 (水)

ソフトウェア開発で伸びる人、伸びない人

ソフトウェア開発で伸びる人、伸びない人 荒井玲子 技評SE新書

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 ソフトウェア開発だけではなく、技術職一般に言えることではないだろうか。

  • 抽象概念を持っていない技術者は、自分が過去に経験したのとまったく同じ状況まったく同じ現象についてのみ経験を活かすことができるのに対して、抽象概念を持っている技術者は、未知の現象についても経験を活かすことができる
  • 日本語は曖昧な言語ではなく、曖昧なのは自分の思考の方だと考えるべき。
  • 「目標を達成しよう」と行動をおこすと、不思議なことに、自分に適した仕事、やりたい仕事がまわってくる。

は、技術職として働いたことがある人なら経験があるのではないだろうか。

 荒井玲子氏はトレーニングに携わっておられるからだろう。

「教育すればなんとかなる」「教育して使えるようにして」という発言がよく見られますが、教育が効果をあげるのは、本人が向上を望む場合にのみ有効です。「技術の底上げ」というのも、幻想でしかありません。ここは、学校で植えつけられた悪平等の思想がみられます。技術者が流動的に動く時代では、雇用した技術者全員を長期的に企業が教育し続け育てていく、ということが難しくなってきています。企業側が投資損になることがあるからです。

は、経営層やマネジャが感じていても言い出せないことだ。

 本来、学習は自発的なもので、教育は自発的な学習を助けるものだ。
ところが、今の教育は学習を強制するものになっているから効果は上がらない。学習を強制する教育を学校で長年受けているから、皆、効果があると錯覚しているのだ。

 内輪の話だけれど、ウチは無線設備を多く持っているので無線関係の仕事をしている人は多い。
ところが、ずいぶん前から、教育すればなんとかなるだろうと、無線の専門教育を受けた者を採用しなくなった。理工系で高学歴の者を採用して、採用後に無線の教育をすれば良いと考えたのだろう。

 確かに彼らは総じてアタマはいいから無線従事者の資格は取れる。無線通信士以外の無線の資格は過去問を覚えれば取れるので、いわゆるアタマのいい子には簡単だ。 実は、昔も過去問を覚えて資格を取っていた者は多い。

 では、何が変わったかというと、昔は、無線が好きで無線の仕事がやりたいと思っている者がいたが、今はいなくなったということだろう。その結果、無線の専門家と呼べる技術者が育たなくなった。ユーザにとって有線か無線は関係ない。しかし、通信関係の業務では無線の技術者は必要なのに。

 一度失われた技術を取り戻し伝承するには20年必要だといわれているから、今後、無線の専門家と呼べる技術者を育てて、技術やノウハウを伝承することは難しいだろう。

 全ては「教育すればなんとかなる」から始まったことだ。

閑話休題

 もう何年も部内の教育に関わっている。
若い人たちには、技術力=理論+技能+暗黙知 だと言っている。

  • 理論は記憶することができる。
  • 技能の習得には自ら体を動かして経験することが必要だ。
  • 暗黙知を獲得するには実戦経験が必要だ。

 最近の経営層や若い人には、「記憶すればなんとかなる」と考えている人が結構いるように見える。しかし、技能と暗黙知は記憶だけではなんともならない。そして、技能と暗黙知の習得には時間が必要だ。

 技術力の習得について、

 経営層やマネジャは「教育すればなんとかなる」と考えてはいけない。

 技術者を目指す者は「記憶すればなとかなる」と考えてはいけない


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2017年6月 7日 (水)

サボタージュ・マニュアル(2)

 以前ネットで話題になった。サボタージュ・マニュアルの本誤訳

 ハード的な攻撃よりもソフト的な攻撃のほうが厄介だ。

 官僚的な組織は、「官僚組織の逆機能」を攻められると弱い。
攻撃しなくても、放っておくだけで「官僚組織の逆機能」に陥るのだから、ちょっとだけサボタージュ・マニュアルに書かれていることを実行すれば、官僚組織の機能の低下は加速するのだろう。

一例を抜粋すると

(a) 組織ごと会議

  1. 何事をするにも「決められた手順」を踏んでしなければならないと主張せよ。迅速な決断をするための簡略した手続きを認めるな
  2. 通信、議事録、決議の細かい言い回しをめぐって議論せよ。
  3. 以前の会議で決まったことを再び持ち出し、その妥当性をめぐる議論を再開せよ。
  4. あらゆる決断に対する妥当性について懸念を示せ。計画された行動はそのグループの権限内にあるのか、それが上層部の方針と矛盾していないか懸念を投げかけろ。

(b) 管理職、スーパーバイザー(顧問)

  1. 文書による指示を要求せよ。
  2. もっともらしい方法で、ペーパーワークを増大させよ。ファイルを複製することから着手せよ。
  3. 指示小切手などの発行に必要な手続きと許可を増やせ。一人でも十分なことに、3人が許可をしなければならないように取りはからえ。
  4. すべての規則を隅々まで適用せよ。

思い当たることがたくさんありすぎる。
スパイがいるのか?^^)



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2017年6月 2日 (金)

「ひらがな」で話す技術 <大和ことばで話す>

「ひらがな」で話す技術 西任暁子 サンマーク出版

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 とても読みやすい。

 相手が聞きやすく話せる人は、読みやすく、わかりやすい文章が書けるのだろう。 話すときも、文章を書くときも、聞く人や読む人がわかりやすいようにと考えることは同じだ。

 IT業界で使われることば、特に専門的なことばを大和ことばで説明するのは難しい。
ついつい、IT用語事典に書いてあるような説明文をそのまま話してしまう。 説明文はIT専門的なことばだけでなく漢語もたくさん使ってあるから文章は短くても理解しにくい。

 若い人たちには「君んちのおじいちゃん、おばあちゃんがわかるように説明してみるといいよ」と言ってる。 大抵おじいちゃんやおばあちゃんは「よく分からんけど、うちの孫は難しいことを、よく知ってる」と言うだろう。

 物事が分かったからといっても、それを他の人に伝えることは難しいものだ。
学校では先生が、道理が分かるように教えてくれるし、勤め先では先輩や上役が、仕事が出来るように鍛えてくれる。 しかし、他の人に「分かりやすく伝える術」は誰も教えてくれない。 なぜなら、先生も先輩や上役も、「分かりやすく伝える術」を分かりやすく伝えることができないのだ。

 分かりやすく伝えられないのは、分かっていることが言葉や絵図にできないか、話し方や絵図が下手か、あるいは両方かだろう。 

 話し方や絵図が下手なのは、自分で工夫すれば何とかなる。教えることもできるだろう。しかし、分かっていることが言葉や絵図表にできないのは何ともならない。 いわゆる「暗黙知」というものだから。 「言葉や絵図」はいわゆる「形式知」だ。

 だから、分かっていることが言葉や絵図にできる人は、「暗黙知の形式知化」ができるということだ。

 分かっていることを言葉や絵図表にするためには

  • とりあえず絵に描いてみる。
  • とりあえず考えを書いてみる。
  • とりあえず言葉にしてみる。

そして、できれば素人に話してみて、分かり難いところを教えてもらうとよい。素人は、「分からないことが分からない」ことがあるので物分かりの良い素人の方が良いだろう。

 智慧を後々まで伝えていくためには、「暗黙知の形式知化」をしなくてはならない。
そのためには、皆が、分かっていることを言葉や絵図表にするように心がける。そして、教える立場にある者は、道理を教えるだけでなく、分かったことを言葉や絵図表にさせてみることが大切だろう。

 う~ん。知ってる大和ことばの数が足りない。(^^ゞ


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2017年5月24日 (水)

上司は思いつきでものを言う

上司は思いつきでものを言う 橋本治 集英社新書

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本をブックオフに売りに行ったついでに買ってきた。

 一度読んだ気がする。前回に読んだときは、思いつきでものを言われる部下の立場だったが、今回は思いつきでものを言う立場になったからだろう。

 最近、精神的に疲れることが多い。

 ずいぶん前に現場で直接手を動かす仕事から離れた。その時も精神的に疲れたのだが、現場の近くにいたので、疲れたら現場に逃げ帰っていたのだろう。

 最近疲れるのは、相変わらずピラミッドの作法に戸惑っているのと、疲れても現場に逃げ帰ることができないことが原因だろう。

 ウチも上司のピラミッドが大きい。上司のピラミッドは大きくなることはあっても小さくなることはない。それでいて人員削減だから、現場が痩せてくる。

 ピラミッドに住んでいる上司が現場に行くことは無い。そして、皆上ばかり見ている。目の前に退職時期が迫っているのに上ばかり見ている。

 「下から上への風」もない。最近始まったことではない。それでもなんとかやってこれたのは、橋本治氏が指摘するように組織が拡大していたからだろう。

 縮小基調の時代になって、現場と上司のピラミッドとの乖離による弊害が顕在化してきた。

現場は、「上司はいつかわかってくれる」と、どこにもいない白馬の王子を待っている人や現実から目をそらして上司を非難する人さまざまだ。しかし、橋本治氏が言うように、ものわかりの良い上司などいない。「上司のピラミッド」に属したら、下を見ることは許されないのである。

 今度、「思いつきでものを言う上司」に出会ったら「あきれる」技を使ってみよう。

 あきれられたら「思いつきでものを言う上司」になっているということか。


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