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書籍・雑誌

2019年9月17日 (火)

Mobility 3.0 <世界はGoogle帝国になってしまうのか?>

Mobility 3.0 ディスラプターは誰だ? アクセンチュア 戦略コンサルティング本部 モビリティチーム 東洋経済新報社

Mobility30

 コネクテッドカーや自動運転に関わることが多くなった。仕事柄技術に偏りがちなので、おさらいで読んでみた。

〇過去の革命的変化

↓この写真は、自動運転やAIのプレゼンでよく使われる。内燃機関を動力にした自動車によって社会が短期間にしかも劇的に変わった例だ。

↓1900年のニューヨーク5番街

↑(https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/4/4e/Ave_5_NY_2_fl.bus.jpg/800px-Ave_5_NY_2_fl.bus.jpg)

↓1913年ののニューヨーク5番街

↑(https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/4/4e/Ave_5_NY_2_fl.bus.jpg/800px-Ave_5_NY_2_fl.bus.jpg)

〇現在の革命的変化(CASE)

 同じような変化が起ころうとしている。

 自動車業界の変化はCASE(Connected、Autonomous、Shared/Service、Electric)といわれるが、この変化は自動車産業だけでなく、通信、ハイテク、金融、エネルギー業界に及ぶという。

 今のところ、Shared/Searvice分野での変化が先行しているようだ。日本の自家用車の稼働率は数%らしいので、個人で所有するのと同じ利便性が得られるなら所有しなくなるだろう。

 車がセンサーになってデータが集まると新しい事業が生まれる。
急減速や信号の情報などのデータを集めて分析して保険料に反映するのは既存の事業の連続だが、今現在存在しないサービスが出現するのだろう。

〇自動車業界

 通信とビッグデータとサービスという観点では、GoogleとSoftbankが先行しているようだ。

 2017年のSoftbank wordで講演を聞いたときに、通信関係の講演の他にAIと自動運転の講演が多かった。AI関係が多いのはわかったが、なぜSoftbankが自動運転と思った記憶がある。

 その後トヨタとSoftbankの業務提携が発表された。業務提携はトヨタからのオファーだったらしい。それより前にトヨタはSoftbankからの業務提携のオファーを断っていて、その後トヨタが業務提携先を探していたらほとんどSoftbankが業務提携・資本提携していたらしく、だったら大元のSoftbankと業務提携しようとなったらしい。

 最近トヨタが事業転換するというメッセージを発信しているが、自動運転業界に疎いせいか、いまいちピンと来ない。Softbankにイニシアチブを握られている感があるなあ。

 これまでトヨタは業界の頂点にに君臨していたわけだが、業界自体が変ろうとしている。T形フォードによって、馬車も馭者も馬も無くなって、線路が無い場所にも手軽な移動手段が生まれたように。

〇エネルギー業界

 エネルギー業界への影響は盲点だった。
 日産リーフに充電された電力で家に供給するのは知っていたが、今後車がEVになれば、巨大な蓄電池が出現することになる。これを安定しない再生可能エネルギーのバッファとして使うアイディアだ。その向こうにはスマートシティがある。

〇規制の足枷

 CASEは社会インフラを変えるから、業界だけでなく、行政の取り組みが重要だろう。
どこの国でも行政は縦割りになりがちだ。変革期に規制は足枷になるから行政の対応は極めて重要だろう。

 物にフォーカスするなら、これまでのようにガラパゴス化して細々と産業を保護することができるかもしれない。しかし、今重要なのは物よりデータだ。この変革期の対応に遅れると、世界はGoogle帝国になってしまう。



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2019年9月12日 (木)

人間+マシン <経営者とIT技術者とAI技術者とのコーディネートができる人材>

人間+マシン ポール・R・ドーアティ、H・ジェームズ・ウィルソン  東洋経済新報社

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 AIは一時の騒ぎは収まった感がある。これから本格的な実用化フェーズに入るのだろう。

 AIに仕事を奪われるとか、AIによって新しい仕事が生まれるとか、色々な観点の議論があったが、いったいどれが正しいのかわからない状態だった。

 この本では、これまで語られなかった、人間とマシンが協力して、ビジネスにおけるパフォーマンスを桁違いに改善する領域を「ミッシング・ミドル(失われた中間領域)」説明している。

 AIにできない、判断、創造、共感、主導の領域、AIに置き換えられる、適応、予測、反復、トランザクションの領域以外にAIを使って人間の能力を拡張する、具現化、相互作用、増幅、人間が機械を補完する、維持、説明、訓練の各領域を、ミッシングミドル領域と呼んでいる。

 将来AIに奪われる仕事、奪われない仕事の他に今までなかった仕事が出現するということだ。

 この分け方は全ての仕事が含まれるので、AIに興味が無くても読んでみると良いと思う。

 経営陣が取るべき5つのステップが示されている。
この中で、ステップ1

①経営者は適切なマインドセットを持たなければならない。そして単なる業務プロセスの改善にとどまるのではなく、業務プロセスと仕事のあり方を根本的に再設計することにフォーカスしなければならない。

そして、

既存の業務プロセスを是としてその自動化をするためにAIを使っていては、既存の延長線上にある改善しか期待できない。

ここが重要だろう。このことは経営者に限らずマネジャも理解する必要がある。

 AIやITに疎い経営者やマネジャが、AIを導入することを目的にすることが考えられる。
AIを導入すれば、プロセスの自動化はできるかもしれない。首尾よく自動化できれば、大なり小なり効果はあるのだろう。しかし、プロセスを検討しなければ効果は原的だろう。

 自動化できるようなプロセスは、現在の環境において最適でないことが多い。そのプロセスが始まった頃には、ITで実現できなかったり関連部署が対応できなかったりという理由で必要だったプロセスがあるだろう。とこが、今現在そのプロセスが必要とは限らない。いや、必要ない可能性は高い。

 今時、昔では考えられない性能のコンピュータは安価に手に入るし、漏れなくネットで接続されている。昔では考えられなかったサービスがITを活用して実現されているから、外注も可能だ。

 プロセスの検討は現場に任せきりにしてはならない。
そのプロセスに精通した人は必要だが、プロセスにフォーカスするあまり、プロセスの必要性まで考えられないことは多い。また、他部門との調整が必要であったり、古い規則に縛られて無駄なプロセスを廃止できないこともある。調整や規則の見直しには権限が必要だから、マネジャや経営者の関与が必要になることもある。

 Interop2019のセミナーで聞いたところでは、IT部門はAIの導入に消極的なのだそうだ。
AI技術が既存のIT技術とは異なる部分が多いことも一因だが、現場に精通しているAI技術者がいないことが影響しているようだ。

 とすると、経営者とIT技術者とAI技術者とのコーディネートができる人材が重要になる。 プロセスの改善に関する経験があれば最強だ。

 新しい仕事になるような気がする。


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2019年9月 4日 (水)

売上を 、減らそう <多様な価値観で食っていける>

売上を 、減らそう 。たどりついたのは業績至上主義からの解放 中村朱美 ライツ社

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 2019/6/25のガイアの夜明け佰食屋の特集していたので読んでみた。

 色々な価値観があっても良くて、主流の価値観に従わなくても食っていけるということだろう。

「そんなの 、うまくいくわけがない 」 「アホらしい 」 。
これは 、わたしが佰食屋をはじめる 2か月前に出場したビジネスプランコンテストで 、審査員に言われた言葉です 。
中小企業支援の専門家や大学教授の方々に 、けちょんけちょんに言われました 。

らしい。

 専門家は失敗事例をたくさん見ているから失敗の予測はできるけど、前例のないコンセプトは成功の予測が難しいのではないだろうか。
成功すれば後から成功の理由を考えることはできるけど、成功する理由を先に考えることはできないのだろう。
しかも、成功に必要な理由は1つではない。

 佰食屋の経営は、顧客満足度もさることながら、従業員満足度が高いようだ。
 利益の最大化と従業員満足度は相反する可能性が高い。利益を追わないと決めたからできるのだろう。

 佰食屋は普段1つの店舗を5人で営業していて、誰かの都合が悪くなって1人来れない場合は、

いつもよりも一人少ない四人体制でお店を回すことになるなら 、そのぶん 2 0食少ない 8 0食を目標にします 。

らしい。

 合理的だ。
経営者が宣言しないと従業員は店のアウトプットをクリアしようとする。特に満足度が高い従業員はつい無理をしてしまう。
そして、経営者は無理をするのが当然と思ってしまう。 すると、従業員満足度が下がる。

 前の職場に2時間の時短勤務をしている人がいた。
評価する立場だったので、アウトプットはフルタイムで勤務している人の6/8でよくて、そこを基準に評価することを伝えた。

 どうも、それまでフルタイムと同じ人の基準で評価されていたようだ。
時短勤務している人は他の人より、遅く出勤したり、早く帰ったりするので後ろめたい気持ちになるものだ。
だからと言って、6/6ではなく8/6のアウトプットを求めるのは、搾取というものだろう。

 これまでの働き方は、可能な限り上を目指すという価値観しかなかった。
だから、望まない移動も受け入れて単身赴任する人が多かった。単身赴任しないことと給料や役職が上がることが相反するなら、どちらかを選べば良い。 ところが、価値観の多様性がない場合は選択できなくなるように有形、無形の圧力が働く。職場の風土や空気の怖さだ。

 余談だが、可能な限り上を目指すという価値観の職場はピーターの法則が働くので、無能レベルに達した者ばかりになる。

 佰食屋は1日100食限定だが、更に減らして、1日50食限定の佰食屋1/2のフランチャイズ展開するらしい。2人で朝10時から16時まで働いて50食売れば年収500万だそうだ。

 オヤジの世代はシャカリキになって長時間働いて、縁もゆかりもない土地に転勤して、退職金をもらったけど、今時の若い人達はそんな働き方はできないだろう。だったら多様な働き方があってよい。

 オヤジの世代は有形資産だけを追って、定年前に無形資産の少なさにようやく気が付いたけど、若い世代は有形資産と無形資産のバランスは自分で決めればよいのだと思う。


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2019年8月29日 (木)

コミュ障で損しない方法38 <相手と協力して「気まずさ」をやっつける>

コミュ障で損しない方法38 吉田尚記 日本文芸社

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「コミュ障」という言葉をよく聞くようになった。定まった定義があるわけではなく、「一風変わった人」くらいのニュアンスで使われることが多い。

 この本では「コミュ障」は

医学的な理由でコミュ二ケーションを取れない。という深刻な場合を指して言うのと違い、慣れない人と会うときに緊張してしまう、うまく喋れる自信がない、そんな気持ちを抱えた人

のことらしい。多くの人が当てはまるのではないだろうか。

 なかなか会話ができない人は、会話をコミュケーション=ゲームだと思うとよいのだとおっしゃる。

 コミュケーション=ゲームのルールは簡単で

  • 相手と協力して「気まずさ」をやっつける
  • 制限時間まで、気まずさが訪れなければ勝ち

というもの。

 会話の相手と戦うのではなく会話の相手と協力して気まずさが訪れないようにするのがミソだ。

 「コミュ障」の人が一生懸命コミュニケーションを取ろうとするとたいてい一人で空回りするから、相手と協力すると考えると、ちょっと気が楽になる。

 吉田尚記氏はアナウンサーだから、聞き手としてのコミュケーションが必要だ。
仕事で必要になるコミュケーションには、説明や交渉、合意形成などもある。コミュケーションを拒否している相手とのコミュケーションが必要な場合もある。このコミュニケーションははハードルが高いけど、それ以前に肯定的なコミュケーションも苦手という人はコミュケーション=ゲームから初めると良いかもしれない。苦手克服と考えると憂鬱になるから。

 吉田尚記氏は「空気を読む」のではなくテンションを合わせると良いとおしゃるのだが、テンションを合わせることが苦手な人もいるんだよね。


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2019年8月23日 (金)

タニタの働き方革命 <残業削減の先>

タニタの働き方革命 谷田千里+株式会社タニタ 日本経済新聞出版社

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 体脂肪計で有名なタニタの社長、谷田千里氏の新しい働き方の提案。

 常々、働き方改革=残業削減の議論しかないことに疑問を感じていた。また、経営側の意見が少ないのも気になっていたので、この本を読んでみた。

 谷田千里氏は、今流行りの「働き方改革」について、

 これまで「働き方改革」の名の下に議論されてきたのは、残業削減や有給休暇取得の義務化、テレワークの推進など「働きやすい」環境づくりが主だったのではないでしょうか。できれば「働き甲斐」やその方向からの「生産性」についてもっと突っ込んだ議論が欲しかったと思いますが、それらは置き去りにされてしまった感があります。

とおっしゃる。

 政府が「働き甲斐」まで踏み込んだ政策を掲げるとアヤシくなるので、規制強化などの環境整備になるのはある意味しかたないところがある。

 タニタの制度は、すごくざっくり言うと「個人事業主」化を会社が支援する制度。
日経ビジネスのインタビュー記事『タニタ社長「社員の個人事業主化が本当の働き方改革だ」 日経ビジネス (2019/7/18)』に、この制度の概要がある。

 弁護士ドットコムには『タニタの働き方改革「社員の個人事業主化」を労働弁護士が批判「古典的な脱法手法」』という記事がある。

 この本のあとがきにもあるように、この制度がベストではないかもしれないし、今後環境の変化に応じて変わっていくのだろうと思う。

 この制度を利用している人は、3年で27人らしい。 タニタの会社概要を見ると従業員数は1200人なので、この制度を活用している社員は約2%だ。まだまだ、昭和の価値観で働いている人は多いだろう。今後世代交代が進むとこの制度を活用する人も増えるのではないだろうか。

 この制度は、社長の社員に対する「働き方は横並びでなくてよい」という本気のメッセージだろう。

 この制度を利用する人は、タニタでなくても稼げるだけの能力を持っている人だと思う。だから、この制度は人材流出を加速させると考えるのは自然だ。

 この意見に対して谷田千里氏は

 人材流出を本気で心配するのなら、弊社がやるべきことは、「囲い込み」ではないと思っています。他社からも欲しがられる優秀な人材に、「やっぱりタニタで働くと楽しい。やり甲斐があるから、一緒に仕事をしたい」と思ってもらえること。そのためにチャレンジングなプロジェクトを生み出し、継続していくことの方が大事だと思っています。

とおっしゃる。理想的だ。

 研修や訓練に関わっていると、高いスキルを身につけたら、転職する人が増えて人材が流出するのではないかと心配する幹部の意見を耳にすることがある。「そんなのとより、処遇を改善しろよ!」「環境を改善しろよ」思ってしまうのだが...

 この制度を利用すれば、能力を持った人はフリーランスになったり転職しやすくるのは事実だ。人材流出を防ぐために、人事を年功序列にしたり、能力の有無によらず報酬を横並びにしたのは、昭和の働かせ方だ。

 この制度を運用するなら、能力が高いが働きたくなるような職場環境を作ることが不可欠だろう。報酬よりも能力を活かせる仕事がない方が辛いと感じる者はいる。

 この挑戦的な制度の行方に注目しておこう。



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2019年8月15日 (木)

モチベーション3・0 <もうアメもニンジンも要らない>

モチベーション3・0 ──持続する「やる気!」をいかに引き出すか
著:ダニエル・ピンク 訳:大前研一 講談社

  
↑(https://shop.r10s.jp/rakutenkobo-ebooks/cabinet/6130/2000003826130.jpg)

 MITのダグラス・マグレガー教授が、マネジメントの考え方をⅩ理論からY理論へと移行させる必要があると説いたのは1960だから60年も前だ。 そして、この本が出たのが10年前だ。

 しかし、周りを見るとX理論が廃れる様子はない。
やる気の話しになると、アメとムチが登場するし、年寄りは信賞必罰という。

行動科学者は、仕事と勉強を、「アルゴリズム」(段階的手法またはルーチンワーク)と「ヒューリスティック」(発見的方法)の二つに分類することが多い。

らしい。

 外発的動機付け(アメとムチ)はアルゴリズム的な仕事には効果があるがヒューリスティック的な仕事には効果がないらしい。

 20世紀は工業化、標準化の時代でアルゴリズム的な仕事で成長した時代だから、外発的動機付けが有効だった。 皆アメとニンジンで働いていたのだ。

 将来は、アルゴリズム的な仕事はAIとロボットの仕事になるからアメは必要なくなり、人間がやるヒューリスティック的な仕事は、内発的動機付けでなければモチベートできなくなるのかもしれない。

 まず自分自身をモチベートしようとすると、内発的動機付けの方が断然簡単だ。


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2019年8月 5日 (月)

囲碁とAI(3) <なんとなくわかったこと>

 将来AIに仕事を奪われるのような議論が多くなってきた。囲碁の世界では「AIに仕事を奪われる」が現実になってきているわけだ。ならば、プロ棋士の対応や何を考えているのかを知れば、将来AIに仕事を奪われない方法がわかるのではないかと、囲碁とAIについて考えている。

21世紀政策研究所が開催した座談会の議事録を見付けた

プロ棋士から見た AIと人 ―これからの経営・社会への示唆― (2017/10/31)

Ai


 松尾豊教授他の研究者と将棋界から羽生善治三冠(当時)、囲碁界から王銘琬九段、大橋拓文六段が参加している。

 AIが導いた回答について思考過程や判断基準が分からないこと、AIソフトが打った手の意味が分からないことについて、王銘琬九段は

意味は分からないですけれども、その手が数値によって判断されたということは分かる。それに対して相手がどう応じてくるかも示して、その後、自分はどうするべきか、ということも示してくれます。そうすると、これはやはり人間との比較になるのですが、個人的な感覚として、そこまで正確に示してくれる人間はいないと思います。そういう意味では、AIとなら、それなりに検討が成り立っていると感じています。

とおっしゃる。

 画像データの中からから猫を見付けるような認識ではなく、囲碁AIのように過去の状態に影響される判断は、判断の候補の履歴を見ると判断基準が分かってくるのだろう。

 囲碁AIは感想戦ができないと言われるが、王銘琬九段は詳細なログがあると検討できるとおっしゃる。囲碁AIは人間より強くなっているから、素人が見ても分からないだろう。王銘琬九段はトッププロの棋力があるから囲碁AIのログが検討の参考になるのだと思う。
 
 仕事を奪うようなAIが現れたら、AIの判断を解説したり、判断理由を合理的に推測するような仕事も新たに必要になるのだろう。そのときに必要なことはAIを適用した分野の専門的な知見ではないだろうか。

 囲碁AIは100%か0%かのような二元的な判断ではなく確率で判断している。AIに判断を委ねることが不安な人はこのことを指摘するわけだが、人間も100%か0%かで判断していることは少ない。

 自分が意思決定するときのことを考えてみると、切羽詰まると丁半で決めているが、冷静なときほど複数の方法を考えて成功する確率が高い方法を選んでいる。

 人間が言う「○○だと思います。」の妥当性を他の人間が判断するときは、なんとなく信用できそうだからとか、堂々としていたからとか、到底論理的でもなく、数値化できない要素で判断している。

 であれば、AIが導き出した確率が数値で示される方が、第三者的には理解しやすいのではないだろうか。

結論

  • 仕事を奪うAIが現れても、専門家には新たな仕事が生れる。
  • AIの判断基準は人間より分かりやすい。


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2019年8月 2日 (金)

囲碁とAI (2) <何冊か本を読んでみた>

 囲碁や将棋の政界ではAIを活用したソフトが人間より強くなってきて、AIが人間を超えた!のようなニュースも目にすることが多くなってきた。

 昔から将棋ソフト、囲碁ソフトに興味があったのでこの分野に注目していた。将棋ソフトは着実に、囲碁ソフトはあっという間にプロ棋士に勝つまで強くなってしまった。

 一方で、囲碁・将棋以外では将来AIに仕事を奪われるのような議論が多くなってきた。囲碁の世界では「AIに仕事を奪われる」が現実になってきているわけだ。そこで、プロ棋士の対応や何を考えているのかを知れば、将来AIに仕事を奪われない方法がわかるのではないだろうか。

 知り合いにプロ棋士はいないので、手始めに本を読んでみた。

 まずはAIの研究者の観点。 著者の斉藤康己氏は長くAIを研究されている方。

アルファ碁はなぜ人間に勝てたのか 斉藤康己 KKベストセラーズ

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 AlphaGoはGoogleが買収したDeepMind社が開発した囲碁ソフトで、トッププロのイ・セドル九段との5番勝負で4勝1負と圧勝したことで有名だ。

 斉藤康己はAlpherGoがイ・セドル九段に圧勝した理由は

  1. 深層畳み込みニューラルネットとモンテカルロ木探索の組み合わせ。
  2. 圧倒的なマシンパワー。
  3. 二つのニューラルネットの精度の良さ。

で、唯一勝利した4試合目での一手について、

イ・セドル九段の一手(白78の割り込み)を「神の一手」と評するものも現れたほどでした。囲碁プログラムの専門家の目には、後ほど説明する「モンテカルロ木探索」という手法の、悪いところが露呈した対局に見えました。

と分析されている。水平線効果と言うらしい。

 次にプロ棋士の観点。

囲碁AI新時代 王銘琬 マイナビ出版

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 この本は、囲碁ソフトと人間との棋譜の解説が多いので、碁を打つ人向け。

 著者の王銘琬九段は

人間がコンピュータから着手のヒントを得たとしても、伸びる余地は少ない。NDA改造でもしない限り、人間にディープラーニングのような改良はできないのです。
 いまは「どっちが強い?」という時期を脱しつつあり、AIのパフォーマンスを楽しみながら自分との関係を考える時期に入ったのではないでしょうか。

とおっしゃる。

 王銘琬九段は、囲碁ソフトTOTRENDの開発チームに参加されていたらしく、AIや囲碁ソフトに造詣が深いようなので、もう一冊読んでみた

棋士とAI ──アルファ碁から始まった未来 王銘琬 岩波書店

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この本は、碁を打たない人向けに書いてある。

 昔は囲碁ソフトの開発には棋力が必要だったが、今は棋力は必要ないらしく、中国の最強囲碁ソフト「絶芸」の開発チーム13名は全員碁が打てないらしい。 つまり、自ら学習し強くなるソフトが造れるようになったということだ。

 必要なのは大量のデータ(棋譜)だが、囲碁ソフトの場合対局データも囲碁ソフトだけで作ることができる。これが、囲碁ソフトが急激に強くなった一因だろう。

 王銘琬九段は

いまのAIは汎用型AIではないから怖くないとも言われていますが、棋士から見れば、いまの特化型AIでも十分怖いと思います。人間がアルファ碁に負けたことは、すなわち人間の敗北であるとは思っていないし、「AIも人間が作ったものですから、やはり人間の勝利です」という言い方にも納得いっていません。人間が人間らしさという価値を捨て、効率のみを追求するAIの答えに合わせると決めた時こそ、人間の敗北だと思っています。

とおっしゃる。

 AIの奴隷(言いなり)になってはいけないということだろう。

 自分で考えないで言われたことだけやっている人は、言うことを聞く相手が、上司からAIに変わるだけで、あまり変わらないのかもしれない。


*王銘琬(エン)九段の「琬(エン)」は王ヘンに宛



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2019年7月31日 (水)

10年後の仕事図鑑

10年後の仕事図鑑 落合陽一・堀江貴文 SBクリエイティブ株式会社

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 落合陽一氏は、経営者の仕事は「組織にビジョンを語ること」と「組織を管理すること」で、AIはビジョンを語ることはできないけど管理は人間より得意とおっしゃる。

 成果には目もくれず管理にしか興味のない管理職はいる。管理しかやっていない経営者や管理職はAIに淘汰されるということだ。

もっとも、堀江貴文氏がおっしゃるには

はっきりいうが、「AIによる職の代替=不幸」のロジックを持つ人間は、自分の価値をAIと同じレベルに下落させてしまっている点で、ダサい。

のだそうだ。

落合陽一氏は

「AIに職を奪われる」と悲観する人は多いが、そもそも悲観的になっている人の職業自体、本来は人の認知能力に対して十分な仕事ではないということである。

なるほど、そもそも管理は人間らしい仕事ではないということか。


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2019年7月29日 (月)

本屋の新井

本屋の新井 新井見枝香 講談社

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 元三省堂書店のカリスマ店員にして、文学賞の新井賞を主宰しておられる新井見枝香氏のエッセイ。

 新井見枝香氏は、スーパーで値引きシールが貼ってあるもやしを、ついつい買ってしまってことを引き合いにして、

もし新刊書店で値引きシールを貼った本が紛れ込んでいたら、私は本当に読みたい本を選ぶことができるだろうか。たまたま買おうと思った本にシールが貼ってあっただけだ、とどうして言い切れる?

とおっしゃる。そして、「値引きシールを本に貼ってもいい日が来ないことを祈っております。」らしい。

 これって、電子書籍では、期間限定で値引きされたり、無料だったりする「値引きシール」が貼られたものがある。そして、特に読みたいと思わなくてもついポチってしまう。根が貧乏人だから。中には読まなきゃ良かったと思う本もあって、俺の時間を返せ!と言いたくなるが、自業自得、自分が卑しいからだ。(^^ゞ

 芥川賞、直木賞発表後に、候補作品を棚から片付けるのが嫌で新井賞を始めた人だから、紙媒体の書籍にこだわっているのかと思ったら、そこまでこだわりはないようだ。

 まえがきでは、

苦境に立たたされつつも本を愛する健気な書店員をお求めなら、それは人違いである、

とある。



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