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働き方改革

2020年1月13日 (月)

50歳以上を”使う”しかない <50歳過ぎても働くしかない>

現実、企業は50歳以上を“使う”しかないのだ では、使われる側はどんな努力をなすべきか? 河合 薫 (2017/5/23)

〇時代の転換期

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↑出展:「愛知への提言」(P15) 長谷川俊彦 (http://sugi-zaidan.jp/stydy/pdf/160728_report.pdf) 

 50歳を境にして、50歳以上と50歳以下の割合の経年変化を示したものだ。現在は、50歳以上の割合が20%の19世紀型から60%の21世紀型への転換期だ。

 河合薫氏は、日本は転換期を迎えていて今後50歳以上の人口が増えるから、企業は50歳以上を"使う"しかないとおっしゃる。

 なるほど。働かないオジサンの是非を議論することに生産性は無い。しかし、働かないオジサンが働かなければ労働力が足りなくなる社会がもう来ている。

〇昭和的価値観

 年功序列は昭和的価値観の代表だ。年功序列の組織は勤務経験と給与はほぼ比例している。だから、給料は能力に比例していない。ある年齢を境に能力が無くなるわけではないが、定年を迎えると勤務経験はリセットされ給料は大幅に減る。それまで、能力に比例しない高額な給料をもらっていたのに、定年を境に給料が減るとモチベーションが低下してしまう。人間はそんなものだ。

 モチベーションが保てるオジサンがいても、必要とされる能力が明確ではない。身近でも再雇用が始まって久しいのだが、必要とされる能力を示した募集は無い。オジサンは現場で必要な能力は足りなくなっている。しかし、経験や人脈、リーダーシップ、サポート能力を持っているオジサンも少なからずいる。

〇50歳過ぎたオジサンが働くために

河合薫氏は、

 現状に甘んじている人の「未来の価値」は残念ながら低く、カラダ“だけ”が若いという、厄介な存在に成り下がってしまうのである

 と同時に、企業も「動けば動くほど周りの負担を増やす」やっかいなオッさんを量産しないためには「経験信仰」に頼るのではなく、「認知の予備力」を蓄える働かせ方を模索し、長期的目線で「高齢者(イヤな言葉ですけど)雇用」を捉えることが肝心なのだ。

とおっしゃる。

これから先はオジサンを戦力にするしかない。

 組織は、

  • オジサンの役割を明確にする
  • オジサンに期待する能力を明確にする
  • 能力が足りなければ再教育する

ことが必要だろう。

 オジサンは、定年してからでは遅い。

  • 自分の役割を明確にする
  • 自分に期待される能力を明確にする
  • 能力が足りなければ学習する

定年前から準備が必要だ。



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2019年12月11日 (水)

なぜ残業を減らしたのに、会社が儲かるのか? <働き方改革は改善活動なのか?>

なぜ残業を減らしたのに、会社が儲かるのか? 萩原京二 クロスメディア・パブリッシング

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 東洋経済主催の働き方改革セミナーで萩原京二氏の講演を聞いた。オマケでこの本を貰ったので読んでみた。このセミナーは萩原京二氏の基調講演とDropboxの活用だった。

 最近はなにかにつけ「働き方改革」だ。「働き方改革」にICTは不可欠なのだから、IT関係の展示会でも「働き方改革」関係の展示は多い。このセミナーもDropboxがサービスしているコラボレーションツールの紹介とDropboxを利用した情報共有事例の紹介が多かった。

 講演を聞いて気になったのは「働き方改革」のセミナーなのに内容は「改善」だったこと。間違いかと思ったら、

  働き方改革(制度の導入)=改善活動=助成金の活用

らしいので、間違いではないようだ。

 言葉遊びをしているわけではなく「改革」は現状の否定から始まり、「改善」は現状の肯定から始まる。似ているが、全く違う取り組みだ。

 戦後の焼け野原から世界有数の経済大国にした昭和の働き方を否定して、令和から先の働き方に変えるのが「働き方改革」だろう。もっとも、音頭取りの厚労省の「厚生労働省の業務・組織改革のための緊急提言」も内容は改善の提案だったから、昭和の働き方を否定しようと思っている人は少ないのかもしれない。

 この本の読者は経営層を想定しているようだ。「働き方改革」で困っている経営層(高齢)は、昭和の働き方で成功体験があるから、昭和の働き方を簡単には否定できないだろう。であれば、昭和の働き方を否定しない「改善」の方が受け入れられるということだろう。

 萩原京二氏は社会保険労務士として会社を経営しておられる。
社会保険労務士の仕事は現在の働き方を前提としているから、現在の働き方(昭和の働き方)を否定できないのだろうか。

 つまり、昭和の働き方で成功した経営者は昭和の働き方を否定できないから、改革の提案は受け入れられにくいが、改善は受け入れられやすい。昭和の働き方でさんざん「カイゼン」してきたから。

 そして、東洋経済の読者を考えると、ITに疎い経営層が浮かんでくる。あのセミナーも東洋経済が想定したターゲットに対しては現実的な内容だったのかもしれない。

 しかし、ICTに疎い経営者が、クラウドを利用した情報共有と、残業時間管理で「働き方改革」するぞとケツを叩いても、若い人たちは生温かい目で見ているのではないだろうか。



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2019年11月 6日 (水)

働かないオジサン <自分でキャリアをデザインする>

 最近働かないオジサンの話を聞くようになった。つい最近も現場の人から聞いた。アラ定には身につまされる思いだ。

この問題はネットでかなり前から見かけていたが、よそ事では無いようだ。
よく考えると、働かないオジサンは40年前からいた。今時問題になるのは、

  • 働かないオジサンは許容されない時代になったこと
  • それをオジサンが認識していないこと

だろう。 

 若い人達は、働かないオジサンの面倒を見てくれたり、代わりに仕事をしてくれて感謝しかない。でも、もう、働かないオジサンの代わりに働かなくていいと思う。

 若い人達が働かないオジサンになったときには、次の世代は面倒見てくれないだろう。だったら、今のうちに、働かないオジサンにならない努力をした方がよいと思う。

 働かないオジサンは、オジサンになったから働かなくなったわけではなく中年の頃から働かなかったのだろう。

 ゼネラリスト信仰の強い組織では、昇進や転勤でキャリアが中断、分断されることが多い。短い期間でキャリアをリセットされるからいつでも新米状態だ。若い間は、キャリアがリセットされても、新しいキャリアを築くパワーがある。しかし、このパワーは年齢とともに無くなってきて。気がつけば、人に誇れるようなキャリアもなく、自慢できるのは転勤の回数だけでだったりする。そして、ついには、新米状態のまま歳を取ってしまい、働かない中高年の出来上がりだ。

 これまでは、働かないオジサンのためにポストが用意してあって、有効な意思決定を行なっていなくても、働かないオジサンのハンコが無ければ仕事が進まないようにしてあったので、働かない中高年は責められることは少なかった。しかし、成長が停滞して人手が不足すると、働かないオジサンが組織の負担になって、とうとう、働かないオジサンを抱えきれなくなくなっているのだろう。

 若い人達は働かないオジサンになることはできない。昇進や転勤がキャリアアップにつながるのか考えることが必要だろう。つまり、自分のキャリアは自分がデザインすることだ。



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2019年9月 8日 (日)

男性稼ぎ主モデルからの脱却 <意識を変えるべきは40代の中間管理職>

[議論]上野千鶴子「男性稼ぎ主モデルからの脱却急げ」 2019年8月28日

 今年の東大の祝辞で話題になった上野千鶴子氏のインタビュー記事

上野千鶴子氏は

法律もできたけれど、日本の企業社会は根本的に、何も変わっていないというわけですか。

の問いに

上野氏:そうです。この男性稼ぎ主モデルを、日本企業は半世紀以上も続けてきています。男性稼ぎ主モデルは高度成長期の成功モデルで、これを惰性のように今も維持しているわけです。

そして、

トップはもちろんですが、中間管理職の男性たちが今すぐ意識を変えないと、日本企業はますます沈没していくでしょう。

とおっしゃる。

 意識を変えるべき40代の中間管理職は、意識を変えるようと思っても簡単ではない事情があるのではないだろうか。

例えば、住宅ローンという大借金を返済するために長時間労働、長時間通勤、単身赴任していれば男性稼ぎ主モデルから脱却することは難しい。

 今後、長時間労働が規制されると若い世代から男性稼ぎ主モデルは徐々に変わっていくだろう。若い世代は好むと好まざるに関係なく男性稼ぎ主モデルを選択できなくなる。

 ところが、意識を変えるべき40代は、抜き差しならない状況で今の働き方を変えられない。将来に対する危険感を持っていて意識を変えたいと思っても、現状の男性稼ぎ主モデルが破綻しないことを祈って走り続けることを選んでしまう。いや、選んでいるのではなく目をつむっているだけだ。

 働き方を変える判断が遅れると、このモデルが行き詰ったときのリスクはかなり大きい。



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2019年9月 4日 (水)

売上を 、減らそう <多様な価値観で食っていける>

売上を 、減らそう 。たどりついたのは業績至上主義からの解放 中村朱美 ライツ社

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 2019/6/25のガイアの夜明け佰食屋の特集していたので読んでみた。

 色々な価値観があっても良くて、主流の価値観に従わなくても食っていけるということだろう。

「そんなの 、うまくいくわけがない 」 「アホらしい 」 。
これは 、わたしが佰食屋をはじめる 2か月前に出場したビジネスプランコンテストで 、審査員に言われた言葉です 。
中小企業支援の専門家や大学教授の方々に 、けちょんけちょんに言われました 。

らしい。

 専門家は失敗事例をたくさん見ているから失敗の予測はできるけど、前例のないコンセプトは成功の予測が難しいのではないだろうか。
成功すれば後から成功の理由を考えることはできるけど、成功する理由を先に考えることはできないのだろう。
しかも、成功に必要な理由は1つではない。

 佰食屋の経営は、顧客満足度もさることながら、従業員満足度が高いようだ。
 利益の最大化と従業員満足度は相反する可能性が高い。利益を追わないと決めたからできるのだろう。

 佰食屋は普段1つの店舗を5人で営業していて、誰かの都合が悪くなって1人来れない場合は、

いつもよりも一人少ない四人体制でお店を回すことになるなら 、そのぶん 2 0食少ない 8 0食を目標にします 。

らしい。

 合理的だ。
経営者が宣言しないと従業員は店のアウトプットをクリアしようとする。特に満足度が高い従業員はつい無理をしてしまう。
そして、経営者は無理をするのが当然と思ってしまう。 すると、従業員満足度が下がる。

 前の職場に2時間の時短勤務をしている人がいた。
評価する立場だったので、アウトプットはフルタイムで勤務している人の6/8でよくて、そこを基準に評価することを伝えた。

 どうも、それまでフルタイムと同じ人の基準で評価されていたようだ。
時短勤務している人は他の人より、遅く出勤したり、早く帰ったりするので後ろめたい気持ちになるものだ。
だからと言って、6/6ではなく8/6のアウトプットを求めるのは、搾取というものだろう。

 これまでの働き方は、可能な限り上を目指すという価値観しかなかった。
だから、望まない移動も受け入れて単身赴任する人が多かった。単身赴任しないことと給料や役職が上がることが相反するなら、どちらかを選べば良い。 ところが、価値観の多様性がない場合は選択できなくなるように有形、無形の圧力が働く。職場の風土や空気の怖さだ。

 余談だが、可能な限り上を目指すという価値観の職場はピーターの法則が働くので、無能レベルに達した者ばかりになる。

 佰食屋は1日100食限定だが、更に減らして、1日50食限定の佰食屋1/2のフランチャイズ展開するらしい。2人で朝10時から16時まで働いて50食売れば年収500万だそうだ。

 オヤジの世代はシャカリキになって長時間働いて、縁もゆかりもない土地に転勤して、退職金をもらったけど、今時の若い人達はそんな働き方はできないだろう。だったら多様な働き方があってよい。

 オヤジの世代は有形資産だけを追って、定年前に無形資産の少なさにようやく気が付いたけど、若い世代は有形資産と無形資産のバランスは自分で決めればよいのだと思う。


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2019年9月 2日 (月)

厚労省の若手チームの緊急提言を読んでみた

 あちこちで厚労省の若手チームの緊急提言が取り上げられていたので、「厚生労働省の業務・組織改革のための緊急提言」(90ページの大作)を読んでみた。

 ネットでは自ら明かしたブラックぶりが注目されている。中央省庁が労働環境の悪さを公式サイトで公表するのはこれまでになかったことなので注目されているのかもしれない。公開から1週間経過してこの提言書に関する意見が出てき始めたようだが、「改革の提言」にフォーカスして考えてみた。

 なぜ、「改革の提言」にフォーカスするかというと、ここ何年か個人的に「組織風土改革」に取り組んでいるので「組織改革」、特に改革が必要な問題の真因や課題を解決するための具体的な行動に興味がある。厚労省という組織の性格上、政治や国民とは切り離せないが、その部分には触れず、「組織改革」という観点から考えてみた。

 読んで違和感を感じたのは、

  • 提言する側は悪い労働環境の被害者という位置づけ
  • 「改革」を謳いながら、内容は「改善」であること
  • 他人に行動を求める内容で、自分の行動がないこと

だ。

〇労使問題?

 悪い労働で働かされている多くの職員を代表して実情を訴える感が溢れている。いうなれば民間企業の労使問題で労働者側がマスコミを巻き込んでいる構図のようだ。

 国民目線では厚労省職員が労働環境が悪いと言われても困る。厚労省の労働環境を改善するのは国民の責任ではない。それとも、厚労省の行政上の課題が改善されないことの言い訳かと勘ぐってしまう。

 労働者から経営者に対する提言だとすると、厚労省の経営者は誰だろうか?。公式サイトで国民に向けて公開する目的は何なのだろうか?。つまり、この提言書は誰に向けたものか明確でない。

〇「改革」なのか「改善」なのか? 

 この提言書のタイトルは「改革の提言」だが、内容は「改善」だ。「改革」は大見出しだけで、その他は見出しも「改善」になっているから、「改革」と「改善」を勘違いしているわけではさそうだ。おそらくこの提言書は「改善についての提言」だろう。

 言葉の遊びではなく、「改革」と「改善」は似て非なるものだ。「改善」は現状の肯定から始まるが、「改革」は現状を疑うことから始まる。『「厚生労働省分割論」への意見』という項目を設けて、現状の組織体制を変えることに対する反対意見が綴ってあるので、旧厚生省と旧労働省とのシナジー効果の検証はしないで現状の体制を肯定しているようだ。

 つまり、現状を疑うことから始まる「改革」ではないのだろう。

〇誰に向けた提言か?

 誰に向けたのかがわかる部分がある。

・このため、今回の緊急提言については、先日事務次官をチーム長として立
ち上がった「 厚生労働省 改革実行チーム」において、しっかりと受け止めて
もらい たい。 この緊急提言の現場での実行主体である大臣官房と各部局が、
若手チームとも 協力しつつ、 緊急 提言における工程表に沿って、 着実に改革
を実施していく 体制の確保に努めていただきたい と考えている

若手チームは、「 厚生労働省 改革実行チーム」と「大臣官房」、「各部局」に対して提言しているいるようだ。「 厚生労働省 改革実行チーム」は具体的だ。「大臣官房」はまあまあ具体的だが、「各部局」って誰だろう。「各部局」の長のことだろうか、「各部局」を構成する職員だろうか?

 改革も改善も「誰」があいまいな対策案は、実行されない。

〇提言者は何を「改革」するのか?

 若手チームは多くの職員の代表という位置づけのようだ。では、若手チームと若手チームが代表している多くの職員は「改革」について何をするのか?が気になる。若手チームの行動については書いてあった。

・なお、若手チームとして も 、緊急 提言のみで完結することなく、 ここに盛
り込まれた対策 の一つ一つ について、 各部 局 と連携しながら、 その実施状況
を 把握・ 公表したり、改革内容の分かりやすい周知 やより良い方策の検討等
を行ったりするなど、積極的なフォローアップに努めていく

なるほど、若手チームは「改革」のために提言のフォローアップ(実施状況の把握・ 公表、改革内容の周知、方策の検討)をするらしい。つまり、実施主体ではないらしい。

 経験的には、「改革」や「改善」において自分以外に行動を求めた場合、それはうまくいかないことが多い。それはそうだ。口先だけで麗しいことや正論を吐くだけで、自分では行動しない者に、あれこれ指示されたら素直に従う人は少ない。人はそういうものだ。

〇違和感の正体

  • 提言する側は悪い労働環境の被害者という位置づけ
  • 「改革」を謳いながら、現状の肯定から始まる「改善」であること
  • 他人に行動を求める内容で、自分の行動がないこと

 ここ何年か 「職場の風土改革」を考えてきて分かったことがある。

 長く働いていると(生きていると)、改善方策はいろいろ思い付く。簡単に実現できそうなこともあるし、自分の能力や権限では無理なこともある。でも、最も重要なのは「自分は何をするのか?」そして「行動すること」だと思う。

 「厚労省若手チーム」にとって「何をするのか?」が提言をまとめることだったのだろう。では、次に何をするのか?「改革」の道のりは長い。



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2019年8月27日 (火)

転勤廃止 <感情論ではなく考えてみる>

AIGで話題 「転勤廃止」企業に勤める意外な“落とし穴”とは? ITmedia ビジネスオンライン (2019/08/01)

 AIG損保は希望しない転勤を廃止するそうだ。WLBに配慮すると強制的な転勤は見直す必要がある。強制的な転勤を経験した人は、つい感情的なる。冷静に考えてみると、闇雲に廃止すればよいわけではなさそうだ。ピーターの法則から考えてみた。

〇結論

  • 終身雇用制、年功序列制の組織がWLBに配慮して強制転勤を止めたら生産性は低下する。
  • 転勤の金銭的なロスは、終身雇用制、年功序列制が継続すれば補填できる。
  • 若い人は、成長機会が得られる職場に転勤すること。

ライターの加谷珪一氏は

極論すれば、日本で強制的な転勤が受忍されてきたのは、全て終身雇用制度を維持するためだったといっても過言ではない。

と指摘される。なるほど。

 終身雇用制度の職場では若い間は給料以上に働き、歳をとると働き以上の給料をもらうことで生涯の収支が合うようになっている。

 給料以上の働きには転勤に伴う出費も含まれているし、単身赴任で家族と離れて暮らすことも含まれる。転勤が多い人が出世する職場だ。

 業務面では、異動先の環境に慣れるとか、業務の引継ぎ、カウンターパートとの人間関係の再構築、などの業務上のロスは多い。

 それでも、強制的な転勤が無くならない理由を考えると、
階層型組織では、ピーターの法則どおり各階層は無能レベルに達した者では埋め尽くされる。当然、生産性は低いし、環境の変化に対応することも難しいが、無能レベルに到達していない者が少数いて、ピーターの第3法則どおり多くの業務は彼らが遂行している。

 そして、彼らが業務を遂行しやすくする方法として転勤は有効だ。
年功序列制の組織では年長者を追い抜くことは容易ではないが、転勤を利用して、無能レベルに達していない者が無能レベルに達した者を追い抜くことができる。また、無能レベルに達した者を「強制上座送り」にすることで、無能レベルに達していない者に活躍の場を与えることができる。

 無能レベルに達していない者に仕事をしてもらわなければ、無能レベルに達した年寄りは若いときに給料以上働いた分を回収できなくなるので、大部分の年寄りは終身雇用制度が無くなっては困る。

 だから、ピーターの法則に縛られている組織では、強制的な転勤はなくならないだろう。
一方、ピーターの法則に縛られない組織は、強制的な転勤制度はロスが多くメリットが少ないので、廃止できるのだろう。

〇転勤させる側の観点では

 昔は昇任と転勤はセットで、転勤を希望しないとは言いにくい風潮があったが、最近は大ぴらに言えるようになった。問題は、無能レベルに達していない者が転勤を希望しないと言ったときにどうするかだ。

 彼らが大半の業務を遂行しているから、それでなくても低い生産性が更に低くなる。

〇転勤させられる側の観点では

 若い頃に給料以上に働いて、今は残念ながら無能レベルに達してしまってしまった人は、無理して有能感を出さずに転勤のロスを減らして、若い頃のマイナス分を回収するのが得策だろう。

 リスクは、歳をとってから、終身雇用制度がなくなることだ。何しろ無能レベルに達しているので、能力どおりの給料しか貰えなくなると生涯賃金の収支がマイナスになる。

 このリスクは、終身雇用制度と年功序列制がこの先も続くと思っている若い人も抱えている。しかも、若いほどリスクは大きい。

 終身雇用制度と年功序列制が長くは続かないだろうと考えている若い人は、若い間に給料以上に働いた分は将来回収できなくなると思っているだろう。
このように考える若い人のリスクは、理不尽な転勤による金銭的なロスや成長機会のロスだ。

〇転勤はロスだけか?

 転勤は金銭的にロスになる可能性が高いが、転勤先によっては成長機会を得ることができる。

 例えば、地方で勤務していて、都会で働いてみたいと思っている人は都会に転勤するのも良いだろう。
地方で退職して、都会に再就職するのは大変だから、転勤を利用して都会を経験してみるのも良いだろう。地方と都会の良いところ悪いところが分かる。

 転勤に成長機会を求めるなら、転勤先を選ぶことが重要だ。都会に転勤したは良いが、成長どころかすり減ったり、燃え尽きたりする人はいる。しかし、経験では、転勤ほど思い通りにならないものはない。

 そのためは、押してくれる人と、引いてくれる人を探すと良い。無能レベルに達した年寄りでも人的ネットワークは持っているものだ。

〇結論

  • 終身雇用制、年功序列制の組織がWLBに配慮して強制転勤を止めたら生産性は低下する。
  • 転勤の金銭的なロスは、終身雇用制、年功序列制が継続すれば補填できる。
  • 若い人は、成長機会が得られる職場に転勤すること。 

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2019年8月25日 (日)

専業主婦という働き方 <専業主婦に限らず昭和の価値観はリスクが大きい>

キャリコネに

 「専業主婦になりたいと望むのはダメなこと?」21歳女子大生の悩みに忠告相次ぐ キャリコネ (2019/08/18)

という記事がある。元ネタはYahoo!知恵袋の

 専業主婦になりたいと望むことはダメな事でしょうか?? Yahoo!知恵袋 (2019/7/5)

ぐぐってみるとこのネタは結構多い。
東洋経済にもあった。

 「夢は専業主婦」と語るのはダメなことですか 無邪気な発言で職場で大ひんしゅく 堂薗 稚子 (2015/08/25)

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 ざっと読んでみると、専業主婦は経済的に難しいことは、皆承知しているらしい。

 実は、娘も専業主婦志望だったけど、無理じゃないかと助言したことがある。

 アラ定のオヤジが「専業主夫という働き方」という観点で考えてみた。

〇結論は

  • 専業主婦という働き方は、終身雇用や勤務先の安定という昭和の価値観に依存している。
  • 専業主婦と言う働き方を選ぶと、配偶者は家にいないから家庭団欒が実現できない可能性が高い。
  • いつの時代も、若い世代に適切なアドバイスをくれる年寄りはいない。
  • この先、専業主婦に限らず昭和の価値観はリスクが大きい。

 最初に断っておくけど、専業主婦という働き方が悪いわけではない。
働き方は人それぞれだから、他人にとやかく言われる筋合いではない。ただし、専業主婦という働き方は一人では決められないので配偶者と合意する必要があるだろう。

〇専業主婦とは

 昔、農家や自営業では専業主婦ではなかった。裕福な家は専業主婦だったが女中を雇うなど、ワンオペではなかった。

 専業主婦という働き方を簡単にいうと、現金収入と家事、育児の分業だが、高度成長期に家電製品が普及したので家事労働の負担は減っていったのでワンオペが可能になったのだろう。

 オヤジが若かった頃には「寿退社」という言葉があった。女性は結婚すると専業主婦主婦になる人が多かったのだ。しかし、専業主婦になることを望んでいる人ばかりではなかった。社会が受け止められなかったのだ。

 家事ワンオペの専業主婦は、昭和の高度成長期に誕生した都会の核家族に適した働き方だったのではないだろうか。そして、ちょっと前まで多くの人がこの働き方を選んでいたのは、専業主婦の方が合理的だったからではなく、雇用する側の都合ではないだろうか。

〇なぜ専業主婦?

 日本の社会は高度成長期以来、長時間労働に頼っていた。従業員が家事、育児を分担していると長時間労働させにくい。家庭内で、家事、育児と会社での労働を分業してくれたら、雇用側は従業員に長時間労働させることができるので、都合が良いのだ。

 従業員(多くは男性)は、家事、育児を分担している専業主婦の賃金まで稼ぐ必要があるのだが、多くの従業員は基本給ではなく、扶養手当や残業手当という基本給以外の賃金で賄っていた。

 このモデルが存続できるのは、残業するほど仕事があることが前提だ。つまり、会社や社会全体が成長していることが前提だ。

 また、日本人は持ち家信仰が強いので、借金をして家を買う人が多いから、現金収入を担当している男性は、専業主婦の賃金に加えて借金の返済分も稼がなくてはならない。しかし、社会が成長している間は、毎年給料が増えるから繰り上げ返済が可能で借金は負担ではなかったのだ。しかも土地価格は上昇基調だった。

 ここまでは、若い人の祖父母の時代。

 その後成長が鈍ってきが、残業を増やしたり理不尽な転勤を受け入れてなんとか分業を維持していた。その結果が、長時間通勤、長時間労働、休日出勤、単身赴任だ。

 このモデルはもう維持できないと思い始めた頃にバブルがあって、続けることができてしまった。

 このあたりは、若い人の父母の時代。

 今時は、成長しなくなって久しく、さらに残業が法律で規制されるようになって、残業手当が減った今、基本給で専業主婦の賃金分の収入が得られる男性は少ない。

 つまり、専業主婦は昭和の高度成長期だから可能で、現在では多くの人は経済的に難しい。

〇昭和の価値観

 政府が、働き方改革の旗を振ってもなかなか働き方が変わらないのは、おじいちゃん世代、オヤジ世代が高度成長期の古き良き時代の価値観変えようとしないからだと思う。

 合理的に考えて、若い世代が、昭和の高度成長期のように行動するのはリスクがかなり大きい。
例えば、

  • 専業主婦
  • 終身雇用
  • 公務員、大企業などの安定志向

などだ。

 専業主婦、長時間通勤、長時間労働という働き方を選択して、長期ローンを組んで、定年間近になってわかったことは、この選択はリスクが大きかったこと。リスクが顕在化しなくて、本当にラッキーだったと思う。この30年間、経済や技術などの環境は大きく変化したけれど、昭和の価値観をだましだまし保ってきた感がある。

 Yahoo!知恵袋の相談者は家庭団らんに憧れているようだが、専業主婦という働き方を選択しても、家族団らんが実現できるわけではない。専業主婦という働き方を維持しようとすると男性は家にはいれないのだ。朝早く出勤して、子供が寝てから帰宅する。土日は疲れていて子供と遊べない。単身赴任するからそもそも家にいないのだ。

 なぜ、そのような働き方を選択したかというと、適切なアドバイスをくれる人がいなかったからだ。多くの人は昭和の価値観でアドバイスするから、昭和の価値観に縛られてしまったのだ。

〇終身雇用

 この先終身雇用を維持するのは難しいだろう。終身雇用は、若い間に給料以上に働いて、不足分は歳を取って受け取る仕組みだ。簡単にいうと、若い間のサービス残業分を、窓際になる歳になってから受け取る仕組みで、生涯賃金はペイする。

 しかし、今時、「若い間は安月給だけど、30年先に仕事に比べて給料が良くなるから」と言われたら信じるのだろうか?

〇公務員、大企業などの安定志向

 最近、大企業が大量リストラしたり、買収されたり、倒産している。日産やシャープ、東芝など、オヤジたちが40年近く前に大企業に抱いていた安定感は今はもう無い。では、googleが30年後もトップ企業であり続けると断言できる人はいるだろうか?

 つまり、これから先は重要なことは、安定より環境変化への対応だろう。

〇専業主婦

 終身雇用という働き方が維持できなくなった場合や、安定していると思っていたのに、リストラされたり、倒産したら、転職を余儀なくされるが、転職しても収入は増え続ける保証はない。収入を増やすためには学びなおす必要があるが、収入のすべてを配偶者に依存している専業主婦という働き方の場合、配偶者が学びなおしている間は無収入になる。

 つまり、専業主婦という働き方は安定した収入があることが前提だ。ところが、昭和の価値観では安定収入の条件だった終身雇用や公務員、大企業での勤務に長期間の安定を求めるにはリスクが大きい。

〇まとめ

 最初に書いたたように、専業主婦が悪いわけではないし、配偶者と合意すれば可能だ。
昭和を30年、平成を30年生きてきた経験では、これから先の時代を昭和の価値観で生きるのはリスクが大きいと思う。では、どのような価値観が良いのかと尋ねられたら。

 ハッキリ言って、先のことは分らない。歳を取っているから先のことが分かるわけではない。

  • 10年先は10年前と同じではない。
  • 10年先は10年前からの変化の先にある。

と考えれば、昭和の価値観に捉われた年寄りのアドバイスをあてにしなくてよくなる。

〇結論

  • 専業主婦という働き方は、終身雇用や勤務先の安定という昭和の価値観に依存している。
  • 専業主婦と言う働き方を選ぶと、配偶者は家にいないから家庭団欒が実現できない可能性が高い。
  • いつの時代も、若い世代に適切なアドバイスをくれる年寄りはいない。
  • この先、専業主婦と言う働き方に限らず、昭和の価値観はリスクが大きい。

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2019年8月23日 (金)

タニタの働き方革命 <残業削減の先>

タニタの働き方革命 谷田千里+株式会社タニタ 日本経済新聞出版社

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 体脂肪計で有名なタニタの社長、谷田千里氏の新しい働き方の提案。

 常々、働き方改革=残業削減の議論しかないことに疑問を感じていた。また、経営側の意見が少ないのも気になっていたので、この本を読んでみた。

 谷田千里氏は、今流行りの「働き方改革」について、

 これまで「働き方改革」の名の下に議論されてきたのは、残業削減や有給休暇取得の義務化、テレワークの推進など「働きやすい」環境づくりが主だったのではないでしょうか。できれば「働き甲斐」やその方向からの「生産性」についてもっと突っ込んだ議論が欲しかったと思いますが、それらは置き去りにされてしまった感があります。

とおっしゃる。

 政府が「働き甲斐」まで踏み込んだ政策を掲げるとアヤシくなるので、規制強化などの環境整備になるのはある意味しかたないところがある。

 タニタの制度は、すごくざっくり言うと「個人事業主」化を会社が支援する制度。
日経ビジネスのインタビュー記事『タニタ社長「社員の個人事業主化が本当の働き方改革だ」 日経ビジネス (2019/7/18)』に、この制度の概要がある。

 弁護士ドットコムには『タニタの働き方改革「社員の個人事業主化」を労働弁護士が批判「古典的な脱法手法」』という記事がある。

 この本のあとがきにもあるように、この制度がベストではないかもしれないし、今後環境の変化に応じて変わっていくのだろうと思う。

 この制度を利用している人は、3年で27人らしい。 タニタの会社概要を見ると従業員数は1200人なので、この制度を活用している社員は約2%だ。まだまだ、昭和の価値観で働いている人は多いだろう。今後世代交代が進むとこの制度を活用する人も増えるのではないだろうか。

 この制度は、社長の社員に対する「働き方は横並びでなくてよい」という本気のメッセージだろう。

 この制度を利用する人は、タニタでなくても稼げるだけの能力を持っている人だと思う。だから、この制度は人材流出を加速させると考えるのは自然だ。

 この意見に対して谷田千里氏は

 人材流出を本気で心配するのなら、弊社がやるべきことは、「囲い込み」ではないと思っています。他社からも欲しがられる優秀な人材に、「やっぱりタニタで働くと楽しい。やり甲斐があるから、一緒に仕事をしたい」と思ってもらえること。そのためにチャレンジングなプロジェクトを生み出し、継続していくことの方が大事だと思っています。

とおっしゃる。理想的だ。

 研修や訓練に関わっていると、高いスキルを身につけたら、転職する人が増えて人材が流出するのではないかと心配する幹部の意見を耳にすることがある。「そんなのとより、処遇を改善しろよ!」「環境を改善しろよ」思ってしまうのだが...

 この制度を利用すれば、能力を持った人はフリーランスになったり転職しやすくるのは事実だ。人材流出を防ぐために、人事を年功序列にしたり、能力の有無によらず報酬を横並びにしたのは、昭和の働かせ方だ。

 この制度を運用するなら、能力が高いが働きたくなるような職場環境を作ることが不可欠だろう。報酬よりも能力を活かせる仕事がない方が辛いと感じる者はいる。

 この挑戦的な制度の行方に注目しておこう。



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2019年7月23日 (火)

働き方改革(5) <管理職には期待できない>

Yoshi品質研究所 770回

【働き方の強制】

 Yoshi品質研究所さんは、

有給休暇を取りましょう!就業時間を短くしましょう!大いに結構なことですが、強制してやらせなければならないのでしょうかねえ。

とおっしゃる。

 働き方改革が、残業時間縮減だったり、有給休暇の強制取得だったりするのは安直だ。
多くの日本人はこれまで、明に暗に仕事が無くても残業したり、有給休暇が自由に取れない働き方を強制されてきた。
そして、最近は、残業を禁止されたり、有給休暇の取得を義務付けられたりするようになった。

 強制されていることに変わりはない。

 高度成長期やバブル期は強制されても給料の多さや未来への希望があったので、強制された働き方への不満は相殺されていたのだろう。
では、給料が増えない、将来に希望が持てない時代になっても、働き方を自ら変えられないのはなぜか?

 それは、周りと同じようにしなければ、同じ価値観を持たなければ、組織から排除されるからだろう。特に若い世代はそのような環境で育っている。

 強制されなければ働き方を変えられないならば、強制することが直ちに悪いとは言えないのではないだろうか。 最善策ではなく次善策かもしれないとしても、小手先の対策だとしても。

【やりがい】

 自分の中でやりがいがあれば、仕事をしている時間などは問題ではないのです。やらされ仕事とか、終わりの見えない仕事などを与える側が何とかしないと、働き方などは改革できません。

は賛成だ。

 経験では、仕事に「やりがい」を感じているときは時間を感じなくなってしまう。

 管理者的には、部下に「やりがい」を与えることはできない。「やりがい」は本人が感じるもので他人から与えられるものではないから。

 管理職が「やりがい」を言うと途端に胡散臭くなる。それは、都合のいい「やりがい」を押し付けようとしているか、対価を支払わない口実しているからだ。つまり、「やりがい」の搾取だ。

 じゃあどうするかと言うと、Yoshi品質研究所さんのおっしゃる通り、やらされ仕事とか、終わりの見えない仕事などを与えないことは重要だ。

 しかし、これまで、やらされ仕事とか、終わりの見えない仕事で評価されて管理職になり、未だ「やりがい」を持たず、やらされ仕事をしている管理職が考え方を変えるのは、そんなに簡単なことではない。

【結論】

 残業時間縮減だったり、有給休暇の強制取得は、「やりがい」を持って長時間働いている人にとっては効果は無いが、「やりがい」の無いやらされ仕事をしている人にとっては一定の効果はある。 しかし、これは改革ではない。せいぜい改善だろう。

 働き方改革は、小手先の対応ではなく、変えることが必要だが、管理職には難しい。

 経営層は働き方改革を管理職に丸投げしてはいけないと思う。
残業時間縮減や、有給休暇の強制取得のような小手先の対応に頼るだけで改革とは程遠くジリ貧になるのがオチだ。



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