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2021年4月10日 (土)

教育現場にハラスメントはあってはなりません <役人言葉では伝わらない>

文科省が始めた #教師のバトン が炎上していることを書いた。(2021/04/03)

教師という職業の良いところをtwitterに投稿してもらい、若い人たちに教師という職業を選んでもらおうというプロジェクトだ。
ところが、プロジェクトの思惑に反して、ほとんどの投稿は学校がいかにブラックな職場かという内容だった。
それを受けて、プロジェクトが投稿したのが↓の投稿。

教育現場にハラスメントはあってはなりません note (2021/04/05)

ご意見の中に、妊娠しても休みづらい、職員間でいじめに遭った、などハラスメントに関するものが多く寄せられました。

パワーハラスメント、セクシュアルハラスメント、妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメントはあってはならないものであり、文部科学省としてもハラスメント防止に向けてしっかりと取り組んでいく必要があると想いを新たにしました。
(boldは原文ママ)

↑は冒頭の部分だけど、この投稿を読んで、文科省が何かをしてくれると感じた教師はいるのだろうか?
残念だけど「霞ヶ関語」で書かれているこの投稿は人の心に届かないだろう。

難解な霞ヶ関語の口語訳に挑戦してみよう。

教育現場にハラスメントはあってはなりません

口語訳:
 学校にハラスメントがあるなんて認めない!もしあるなら現場が弛んでるからだ!

解説:
 「ハラスメント」を「いじめ」に置き換えるとわかりやすい。「いじめ」と全く同じ構造なので、教育現場で「いじめ」がなくならないように「ハラスメント」もなくならないだろう。

 「あってはならない」は有効な解決手段がないときに、上位の者が責任を回避する際に、下位の者に責任を押し付ける時に使う言葉だ。
だから、「あってはならない」を聞くと現場は幻滅してしまう。

 

ハラスメントの防止等については、労働施策総合推進法等の改正法が令和2年6月に施行され、各学校を設置する地方公共団体の教育委員会は、ハラスメントを防止するための措置として、ハラスメントを行ってはならない旨の方針の明確化や、相談窓口の整備、ハラスメントがあった場合の事後の迅速かつ適切な対応などを行うこととされています。

口語訳:
 ハラスメントの防止は、教育委員会の責任になるように法律を改正してあるんだ。
だから、ハラスメントをゼロにするための具体的な行動は教育委員会のお仕事なんだ。念のために言っとくけど、文科省の仕事ではないので、そこんとこよろしく。

解説:
 「あってはならない」を上位のものが使うと「ゼロにせよ」という意味になる。しかし、「ハラスメント」も「いじめ」ゼロにならないのは歴史が示している。霞ヶ関の役人は賢いので、それくらいは分かっている。

 文科省が教育委員会に「ハラスメントをゼロにしろ」というと、それ自体ハラスメントだから、法律で決まっていると言っている。日本人は、盲目的にルールに従う人が多いから。
でも、その法律を作ったのは文科省だ。

 

文部科学省としても、ハラスメントは精神的・身体的苦痛を与え、受けた人の人格や尊厳を害するだけではなく、その言動を見聞きしている周囲の同僚にも精神的苦痛を与え、勤務環境を害するものであると考えており、各教育委員会とも協力して、ハラスメントの防止にしっかりと取り組んでまいります。

口語訳:
 そうは言っても、文科省は何もしてないわけじゃないよ。教育委員会に「ちゃんとやれ!」と言っとくよ。

解説:
 「各教育委員会とも協力して」の前提は「責任の範囲内で」ということ。
法律では、具体的な対策を実施するのは教育委員会だから、文科省は何か具体的な対策を実施しない。あくまで立場をわきまえて教育委員会に指示するだけだ。

 「しっかりと取り組んで」役人は公文書でを使うと「具体的には?」とか「数値目標は?」とか詰められることがよくある。形容詞、形容動詞は具体的な行動や数値目標が決まっていないということだ。政治家は「しっかりと」が多い。

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最初の、プロジェクトの志はどこへ行ったのだろう。
役人言葉では志は伝わらないけど、noteの最初の投稿を読んだときには、役人言葉の影に志を見たような気がした。
しかし、この投稿はスキがない。感じるのは自己保身だ。

きっと、原稿はかなりエライ人までハンコを貰ったんだろう。


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