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2022年3月

2022年3月29日 (火)

「草の根DX」はDXでもなんでもない <でも、減らないかも>

「利用部門のわがまま」と書いたことは謝罪する、だが草の根DXは断じてダメだ
 木村 岳史 日経クロステック/日経コンピュータ (2022/02/07)

木村 岳史氏は

日本企業はむしろDXに手を出すべきではないのかもしれない。傷口を広げるだけだからだ。特に利用部門の現場にDXを丸投げするのは絶対にやめてくれ。「草の根DX」などというふざけたネーミングが流行していると聞くが、その実態はローコード開発などによって「現場のお役立ちデジタルツール」をつくることらしい。そんなのDXでも何でもないからな。究極の部分最適を生み出したエンドユーザーコンピューティング(EUC)の悪夢の再来だぞ。

と厳しい。

確かに「現場のお役立ちデジタルツール」を作るのはDXではない。
DXはデジタライゼーションではないから。
言葉遊びでは無く、改革と改善の違いだろう。
改善は現状の肯定するか、改革は現状を肯定しないから、全く違う。

ある作業や業務の目的が妥当だとすると、作業方法を効率化すれば良い。
しかし、現在自分達が置かれた環境を考えて、その作業や業務の目的を考えることから始めると、業務や作業が変わる。
つまり、作業の組み合わせを変えたり、作業を省略したり、作業を自動化したり、他の作業で置き換えたりして、効率的な業務ができるようにする。

改革を説明すると、多くの人は総論賛成だ。
ところが、

  • 省略する作業を担当していた人は、それまでの経験やノウハウが使えなくなる。
  • 作業を組み替えると、経験したことがない作業を覚えなければならなくなる。
  • 業務を効率化すると、業務が増えることもある。

改革を机上で考える経営層は、気軽に改革しようとする。 また、会社のメリットを考えて、改革の痛みは負担すべきと言う。
それは、正論だが...

現場は改革に対応するのは負担が大きいから、個人にメリットが少ないと考えると、影に日向に改革に反対する。

DX以前の業務改革

例えば、窓を背にした席に座っていて、部下が決裁持ってきたら、口頭で説明させ(説明用の資料を別に作らせて)た挙句、合理的な意思決定ではなくハンコの数を見てハンコを押すという作業を担当していた管理職がいたとする。

経営層は、意思決定のスピードを速くしようと電子決済を導入しようとする。
計画段階では多くの人は総論賛成だ。
ところが、導入段階になると、どうしてもハンコが欲しいと言い出す輩が出てくる。

需要あるところに供給はあるもので、陰影を画像として貼り付けるアプリが販売されていたりする。しかもハンコを傾ける機能付きだったりする。

それでも、対面でないと決裁できない人はいて、電子決裁のフローを始める前に口頭で説明する謎ルールができたりする。

明らかに、フローは複雑になっているし、意思決定は速くなっていない。
この例くらい、失敗すればデジタライゼーションだけでは問題は解決しないことがわかる。

「草の根DX」

ところが、謎ルールを改革しようとしなければ、作業レベルで効率化できることは多い。

昔(と行っても15年くらい前)、都内の電車移動でも出張の決済が必要だった。
A4のフォーマットに必要事項を記入して印刷し、関係者がハンコを押すという出張伺いのフローが必要だった。もちろん、フォーマットは一太郎で作ってあって、必要事項を入力したファイルは、ルールに従ってファイル名をつけてNASの特定のフォルダに保存するという謎ルールがあった。

このフローの無駄を挙げるとキリがないけれど、それぞれの担当が深く考えないで、それぞれのの都合をユーザに強いていたのだ。
印刷物にハンコを押すのに、なぜ一太郎でなければならないかというと、担当が一太郎が好き(他のアプリを使おうとしない)という切実な理由からだ。

最も大きな問題は、多くの人が、このフローの省力化・合理化が必要と感じていないことだった。
省力化が必要と思っていない人に、作業フローを省力化・合理化するように説得するのはとても難しい。

へたれなので合理化は諦めて、行き先を選択すると、自動的に、ファイル作成、保存、印刷するスクリプトを作って使っていた。
出張する人の作業だけ省力化したのだ。

これは、木村岳史氏のおっしゃる「草の根DX」だろう。

残念なことに、関係者を説得する労力より、自分作業を省力化する労力の方が遥かに少ないのだ。
フローを合理化・省略化すための仕組みに変えるときに、最も大きな労力は必要性を理解してもらうことだ。

DXで「草の根DX」は減るのか?

木村岳史氏は「草の根DX」はDXではないとおっしゃる。それは正しい。
DXで最も労力が必要なのは、仕組みを作ることではなく、業務と業務フローの見直し、関係者への説明だ。
今時のノーコード、ローコード開発で仕組みを作る労力は少なくなる。
しかし、最難関の関係者に説明し理解を得る労力は減らない。

だから、「草の根DX」は減らないと思う。

もっと憂慮すべきは、
業務も業務フローも変えたくない、一太郎以外使いたくないという人たちが、コンサルに感化されたり、経営層の圧力に屈してDXが必要と言い始めることだ。(AIを導入しようというのも同じかも)

電子決裁の例のように、労力が増える。


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2022年3月26日 (土)

「俺はだいじょうぶだったから、あなたも」 <他人の辛さはわからない>

「俺はだいじょうぶだったから、あなたも大丈夫だよ」という言葉は、全く慰めになってない。 Books&Apps (2022/3/14)

しんざき氏は

他の誰かの悩みを聞いた時、「自分はその状況でそれ程辛くないから」「相手も大丈夫」という論法を「慰め」として使う人がいるが、痛みは決して相対化出来るものではなく、誰かの痛みの度合はその人だけにしか分からない

とおっしゃる。

経験がある。つい、悪気なく言ってしまう。
「その辛さ、分かるよ。自分も経験があるから」も同じようにわかっていない。

相手の、辛さ、寂しさ、悲しさなどの感情は、他人には分からないのだと思う。
でも、弱音を吐いている相手を前に、「分からない」とは言えないから、つい自分の経験で慰めてしまう。

マネージャになると、メンバーから辛さの解決や軽減を期待されていることは多い。
辛さの要因になっている環境を変える権限も持っていることも多いから、限界が迫っているメンバーの辛さを軽減できるように環境を変えると、贔屓していると感じるメンバーもいる。

自分は辛さを我慢しているのに、なぜ我慢できないのかと思ってしまうのだろうか。

自分が、これ以上辛くなって限界に達したときに、誰か助けくれるのだろうか?という不安感があるのだろうか。

そういう職場は辛い。

人は大なり小なり辛さを抱えているものだ、しかし、多くの人は辛さを我慢して、表面化しないことが多い。

マネージャをやっていたとき、年1回メンタルヘルスチェックのフィードバックがあった。
個人情報は開示されないのだけれど、辛さ、は傾向として現れる。

辛いと感じているメンバーはいないか、辛くなったときに誰かが助けてくれるという安心感があるのか、考える機会だった。


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2022年3月23日 (水)

非同期コミュニケーション

「リモートワーク禁止」を独断する管理職、組織としてどう対処すべきか 沢渡 あまね 日経XTECH (2021/12/24)

Slackを使おうとせず、電話によるコミュニケーションしかできない新部長が、ついにはリモートワークを禁止したというお話。
なんとも、トホホな管理職だが、結構生き残っていたりする。

文字によるコミニュケーションvs音声によるコミュニケーションと捉えがちだが、重要なポイントは、非同期コミュニケーションvs同期コミュニケーションだろう。

非同期コミュニケーションvs同期コミュニケーション

音声による同期コミュニケーション(電話)しかできない人はいるし、そのコミニュケーション方法しか認めない組織もある。
昔は、電話によるコミュニケーションが効率が良かった、文字による非同期コミュニケーションは手紙か電報だったから。
E-mailが普及すると、電話より効率が良くなった。 20年以上前のことだ。
更に、最近はE-mailよりSlackなどの チャットの方が効率が良くなった。

モデムでBBSに繋いでいたころからパソコンを使っているけれど、非同期コミュニケーションが苦手な人がたくさんいた。
E-mailが普及して使わざるを得なくなったとき、彼らはE-mailをファイルを送るための手段として使い、本文には「詳細は電話します」と書いていた。

「今度メシでもいこうよ」や噂話が重要な人は、電話でなければならないのだろう。
そして、「今度メシでもいこうよ」や噂話のネットワークを駆使している人が多いと、非同期コミュニケーションは推奨されない風土になる。

長く、
ICT部門で働いていた。
思い返してみると、ネットワーク環境を導入したときに、コミュニケーションの本質を考える管理職がいなかったのだろう。
だから、それまでの電話(同期・音声)と文書(非同期・紙)によるコミュニケーションを、変える提案ができなかった。いや、変えることすら思いつかなかったのかもしれない。
だから、主なコミュニケーション方法は電話で、非同期コミュニケーションはE-mailで文書を添付する方法になったのだろう。

リモートワーク
には非同期コミュニケーションが不可欠だ。
リモートワークに必要なネットワーク環境やコンピュータは金を払えば買える。
しかし、非同期コミュニケーションができない人は、どうにもならない。

リモートワークができなかったり、定着しない職場は、環境ではなく、非同期コミュニケーションができないことではないだろうか。


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2022年3月15日 (火)

SIerは死滅するか <大口需要者がいる>

改訂「SIerは5年で死滅する」、下請けからユーザー企業への技術者大移動が始まる
木村 岳史 日経クロステック/日経コンピュータ (2021/10/25)

木村岳史氏は今度こそ後5年で、人月商売のSIerは死滅するとおっしゃる。

昔は開発・導入時に技術者を多量に動員するが、運用が始まると次のリプレースまで仕事がなくなっていた。
今時は、Cloudとローコード開発で内製化のハードルは下がっているし、アジャイルで運用しつつ改修するから、技術者の仕事は継続的にある。

開発・導入コストが下がり、運用、改修コストが増えたているから、人月商売のSIerに依存せず、技術者を自社で雇用した方がメリットがある。うまくいけばノウハウと技術が継承、蓄積できる。はずだ....

では、人月商売のSIerは死滅するのか?
おそらく、大手の人月商売のSIerは残るような気がする。

官公庁は自前で技術者を雇用できないからの大手SIerに頼らざるを得ない。
しかも単年度会計ではアジャイル開発は難しく従来の開発方法が残るのではないだろうか。

デジタル庁は調達方法を変えたいのだろうが、茨の道だ。
官公庁の調達はユーザの利便性やIT担当部門の都合よりも、省庁の会計部門とその上にいる財務省がを見ている。

だから人月商売のSIerは死滅せず、省庁関係の仕事で生き残るのではないだろうか。


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2022年3月 8日 (火)

「やめる」という選択 <「やる・やらない」なら「やる」方を選ぶ>

「やめる」という選択 人生の「埋没コスト」 澤 円 日経BP

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澤円氏は、

「やる・やらない」という選択肢があるときは、必ず「やる」ほうの選択肢を選び続けたことは、ひとつの効果的な行動方針としてみなさんにおすすめできます。

とおっしゃる。

1年前誘いを受けて転職した。
そのときに、転職するか結構迷った。そして、迷った結果「現状維持でない方を選ぶ」ことにして、転職することにした。

結果が良かったか悪かったかはまだ分からないが、悪くはないと思う。
もし、よくなかったら、戻るか、違う選択肢を選べば良いだけのことだ。

今考えると、なぜ迷っていたのだろうかと思う。

無意識に続けていることを、考えてみてメリットが無いなら「やめる」。
そうすると「やる、やらない」の選択肢が現れたときに、「やる」方を選びやすくなるようだ。


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2022年3月 5日 (土)

ジョブ型雇用

つい最近、勤務先で立て続けに「来年もいるんですよね?」と訊かれた。
気がつけば、今年度も残すところ1月たらずだ。
前々職では、異動の辞令が出はじめて、皆ソワソワする頃だ。

この1年は技術的に学ぶことが多く楽しかった。

70歳まで働くとすると、
10年後に役に立つようなことは使わずじまいになる可能性は高いから、習得したことは早いサイクルでアウトプしなければならないと思う。
また、10年後には処遇が改善されることを期待して今我慢すると、不渡になる可能性は高い。

報酬分はアウトプットする。
報酬以上のアウトプットは回収できない。
という働き方に変わった。

これから、どの方向に向かうか?
それは、楽しそうな方向だろう。

閑話休題

「ジョブ型雇用」という言葉をよく聞くようになった。
「ジョブ型雇用」は、職務内容をあらかじめ明確に規定して雇用する形態のこと。職務内容が明確に規定してあるから、給料の増減も無い。
「メンバーシップ型雇用」は、会社のメンバーになる雇用形態のこと。職務内容は明確に規定されていない。ジョブローテーションと称して多くの業務を経験する。

前々職は階層型官僚組織で「メンバーシップ型雇用」だった。
技術職だったが専門職としてのキャリアと組織の序列は相反していた。

専門家としてキャリアを築こうとすると、「メンバーシップ型雇用」の終身雇用、年功序列はいかにも窮屈だから、「ジョブ型雇用」はよさそうに思える。

前職は契約社員で「ジョブ型雇用」だった。
高い能力を持った人がいたが、要求される仕事以上の能力を持っていても給料は同じだった。
「ジョブ型雇用」は職務内容を超える能力については評価されない。

つまり、「日本型雇用」のように何もしなくても毎年給料が増えたり序列が上がるわけではないから、自分の能力に見合う仕事を見つけなくてはならない。

経営側が「ジョブ型雇用」と言った場合、
ジェネラリストよりスペシャリストが優遇されるわけではない。
「日本型雇用」で負担になっている高齢者の給料を減らしたいだけのことがある。


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