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2022年7月25日 (月)

はやぶさ2のプロジェクトマネジャーは なぜ「無駄」を大切にしたのか

はやぶさ2のプロジェクトマネジャーは なぜ「無駄」を大切にしたのか? 津田雄一 朝日新聞出版

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成長とマネジメント

〇メンバーの成長

メンバーを成長させるために、トレーニングは不可欠だ、

仕事を離れて学ぶ機会(Off-JT)は貴重だ。失敗が許されるから、初心者や技能が足ない者が経験を積むことができる。

一方実業務では致命的な失敗は許されないし、小さな失敗も無くそうと考えるのが自然だ。だから、失敗が少ない人が担当する。
そうすると、失敗が少なくなるが、他の人は失敗が多いまま成長しない。
そして、1人に負荷が集中し、熟練者の代わりがいなくなり、大きなリスクを抱えることになる。

実業務を通して学ぶ(On-JT)を行う場合は、失敗を想定して、失敗の許容範囲を広げることが必要になる。失敗を想定していれば予めリカバーの準備ができる。
負荷は分散し、担当者が何かの要因でいなくなったとしてもカバーできる。


〇マネジメント

欧米発のマネジメント論を読むと、システマティックでわかり良い。
日本のマネジメント論は、忖度、気合いと根性、高邁なリーダーで分かりにくい。

欧米のマネジメントはレシピだから、レシピどおりに実行すればそこそこの成果が上げられる。
メンバーの能力をどこまで引き出せるかはマネジャーの能力次第だが、100%以上引き出すのはかなり難しい。

能力の高いメンバーを集めることが重要だ。そして、能力の評価、成果の評価を標準化して、低評価者を入れ替えて、メンバーの能力を維持する。
メンバーを選ぶときに多くの候補者から選択できることが重要だから、流動的な労働市場があって、自由に労働力を調達できる環境が前提だ。
ところが、メンバーの選択肢がなかったり、簡単に入れ替えることができない場合はこのマネジメント手法は使えない。

日本のように、労働市場の流動性が低かったり、ようやくメンバーを集めたような社内プロジェクトなどでは、メンバーが100%以上の能力を発揮するマネジメントが必要になってくる。
100%以上の成果を残す簡単な方法は、長時間労働だけど、恒常的になるようだとマネジメントが崩壊している。

〇再びメンバーの成長

メンバーが成長すれば、当初の能力の100%を超えることができる。

能力を獲得したり向上するする時期(インプット)と、その能力を発揮して成果を上げる時期(アウトプット)がある。
マネジャーがインプットに関与しないマネジメントでは、メンバーはなかなか成長しない。

当初の能力を超える能力を発揮できるためには、マネジャーがインプットまで関与するマネジメントが必要だ。
短期的には、成果に直結しないけれど、メンバーは成長できる。
これがこの本でいう「無駄」だろう。

〇無駄

「無駄」を許容するマネジメントは、結構勇気が必要だ。それができたのは、津田雄一氏の資質によるところが大きいのだろう。
そして、それを見守る年寄りも相応の覚悟があったのではないだろうか。JAXAが津田雄一氏を育てようとしているのかもしれない。

年寄りは、出しゃばらず次の世代に任せること。


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