フォト

ウェブページ

無料ブログはココログ

MyList

« 2022年9月 | トップページ | 2022年11月 »

2022年10月

2022年10月31日 (月)

チーズはどこへ消えた?(7)

チーズはどこへ消えた?
著 スペンサー・ジョンソン
訳 門田美鈴
扶桑社

Photo_20221029214701

チーズステーションを出ることを教えてくれた本。

登場人物?は2匹の鼠と2人の小人。
鼠は単純で、本能的、行動的、小人は、複雑で思慮深く保守的。
2匹と2人にとって重要なチーズがあるチーズステーションから、突然チーズが消えた時の、小人の葛藤を描いている。

変化とは、何かを失うことだと思っていたのが、何かを得ることなのだ

は、コロナ禍以降よく聞かれるようになった。
でも、多くの人は信じていないのではないだろうか?
ひょっとしたら、何も失うことなく、何かを得ることができると思っているのだろうか?
おそらく、それは無理だ。

住み慣れたチーズステーションを出ようとすると恐怖を感じる。
「無理して危ないことをしなくても...」という悪魔の囁きも聞こえてくる。

チーズステーションを出ようと決心した時に、その理由を一生懸命考えてそれなりの答えを用意していた。
それは、必ず問われるであろう「なぜチーズステーションをでるの?」という問いに、それなりに答えるためでもあったが、
恐怖心から逃れようとしていたのかもしれない。

この恐怖は自分で乗り越えるしか無いのだと思う。
そして、恐怖を乗り越えると、

ホーは恐怖に捕らわれていたのを悟った。新しい方向に踏み出したことで、解放されたのだ

本当にこのような感覚になる。

経験では、実際に、チーズステーションを出てみたら、路頭に迷うこともなく新しいチーズステーションが見つかった。
コロナ禍以降、社会が変わろうとしている。
変わることへの恐怖を乗り越える経験や、乗り越える方法を知っていれば、たいていの変化には対応できると思う。

Photo_20200313231101

2年前の自分に助言するなら、↑は正しかった。



最近の投稿
Yoshiのよしなしごと】【Yoshiのブログ】【よしなしごと】【雑誌・書籍

2022年10月28日 (金)

自治体を進化させる公務員の新改善力(2)

自治体を進化させる公務員の新改善力 元吉由紀子 公職研

Photo_20221020231901

自治体を進化させる公務員の新改善力」の感想を書いた。
では、年寄りは何をすればよいのだろうか?
もうリタイアしたとか、改善活動の主役ではではないからと、第三者的な立ち位置で良いのだろうかと考えた。

昭和という時代はかなり先の未来まで予測可能可能だった。
そんな時代に働いて、還暦を過ぎたところだ。
戦前、戦後、高度成長時代に働いていた世代も、将来は予測できなかったのではないだろうか。
未来が予測できたのは、成長が右肩上がりから右肩下がりに変わる時代だったのかもしれない。

未来が予測可能であれば、予測からずれた部分を修正する「改善」でよかった。
ところが、予測からのずれが大きくなり、もはや予測できない時代になると「改善」では対応できない。「革新」が必要になる。
「改善」の先に「革新」があるわけではないから、「改善」を積み重ねても「革新」には繋がらないのだ。

コロナ禍で働き方が「革新」された職場もあれば、「改善」も難しい職場もある。
「改善」も難しい職場では、ビデオ会議で表示される画面上の場所にこだわったり、上司より先に接続を切っては失礼とかにこだわって「改善」している。

これまでの「改善」の成功事例は、この先のVUCA時代も有効な手段なのだろうか?
ビデオ会議で役職順に画面に表示するくらいの「改善」ではないのか?

若い人たちが、VUCA時代の変化に対応する方法がわからないのは、しかたのないことだろう。
では、年寄りは、VUCA時代の変化に対応する方法を知っているのだろうか?
若い人たちも年寄りも同じようにわからないのではないだろうか?
と思う。

年寄りが持っているものは経験だけだろう。
その[過去の]経験は、そのまま[未来」に適用することはできない。環境が違いすぎるから。
役所の中は変わっていないくても社会の情勢は大きく変わっているのだ。

年寄りがなすべきことは、経験を抽象化、一般化することだろう。
抽象化、一般化すれば、次世代が参考にできる知恵になる。

革新活動の主体は若者だ。
年寄りは、改善活動経験者、第三者ではなく、革新活動の当事者となる気概が必要だと思う。


最近の投稿
Yoshiのよしなしごと】【Yoshiのブログ】【よしなしごと】【雑誌・書籍

2022年10月26日 (水)

システムの「作り逃げ」を許すな

システムの「作り逃げ」を許すな、運用保守を担う技術者の時間が奪われる 沢渡 あまね (2020/03/25)

今に始まった問題ではないだろう。
昔大手ITベンダは、この問題を悪用してベンダロックオンしていたのだから。
一時期、一円入札が問題になった。システム開発を破格の低額で落札する大手ITベンダは多かった。
そして、長期間の保守費で元を取り、「作り逃げ」をちらつかせてリプレースの選考も有利に進める。
その結果、ITベンダはたくさんのIT土方を抱えたITゼネコンになったのが、今の日本のIT業界だ。

つい最近、開発中のとあるシステムで、メールを取得しなければならなくなった。
一部の機能のためにメールサーバーを立てるのは大変だから、運用担当は、Exchangeのメールボックに開発中のアプリでアクセスすれば良いと安易に考えていたようだ。

ところが、ExchageはBASIC認証ではアクセスできなくなっているから、OAuthで認証するコードを書かなければならなくなった。
サンプルは沢山あるからそんなに負担ではないけれど。

OAuthで使うクライアントシークレットはAzureADから取得するのだが、最長2年の期限付きだから、定期的に更新しなければならない。
更新は難しくはない。

クライアントシークレットの期限が切れると、当然だけどメールボックスにアクセスできなくなる。

このシステムの運用がはじまって、メールが取得できなくなった時には、システムの運用者、システムの開発者、M365の管理者が協力しなければ解決できないだろう。
構築に携わった人達がいる間は、運用できるけれど、いなくなったら障害が発生する可能性は高い。

経験では運用前に懸念があることは、必ず発生する。しかも、忘れた頃に。

M365の管理者なので、Exchangeを使わないことを主張したのだが、運用開始を優先する声に押切られてしまった。
クラアンとシークレットの有効期限など覚えていられない。PowerAutomateで通知することはできるけれど、システム開発者の知らないところで動いているPowerAutomに依存するのはいかがなものか。

「ほぼ一人情シス」だから、引き継ぎは結構なリスクなのだが...

技術者は、とりあえず稼働すれば後は関係ないという、易きに流されない良心が必要だと思う。


最近の投稿
Yoshiのよしなしごと】【Yoshiのブログ】【よしなしごと】【ほぼ1人情シス

2022年10月23日 (日)

ルールとフィールドが変わった

「あなたがヒット曲を作ればいい」 松浦勝人、川本真琴のサブスク巡る発言に意見 “地獄に堕ちてほしい”には「時代遅れもはなはだしい」
時代に適合した音楽の売り方があると指摘。 ねとらぼ

川本真琴氏は

とTweetしている。(「地獄に落ちてほしい」Tweetは削除されている)

たしかに、これでは仕事にはできないだろう。
では、CDなどの昔のメディアの場合はどうだろうか?
CDは物理的なメディアを作るための初期投資があるから、レーベルはある程度売れる見込みがなければ、CDにできないだろう。
レーベル関係者に、ある程度売れると思わせるには、それなりのクオリティの楽曲をCDの容量を埋めるくらい創らなければならないだろう。
CDなれば、売れたのだろうか?
もし、CDなら売れたというならば、それはサブスクの問題かもしれない。

音楽を届ける方法は、レコードやCDなど物理媒体から、ネットワークを利用したダウンロードに変わった。
CDの場合CD-ROMの容量を埋める楽曲が必要だが、まとめて売れる。
一方、ダウンロードの場合、ダウンロードされるのは1曲である。
だから、大衆にウケる曲は売れるし、ウケない曲は売れない。
しかし、大衆にはウケないけれど、極一部のウケた人に楽曲を届けることができる。
それが、40回ダウンロードの曲なのだろう。

つまり、音楽業界はゲームのルールが変わったのだ。
音楽業界や出版業界など著作権で守られている業界は、数少ない才能に多くの凡人が群がっている構図だ。
その、群がっている人が、CDを作る人、売る人からAmazonやAppleになっただけで、楽曲を創る才能は昔と変わらず必要だ。

##
システムが新しくなったときに、適応できない人はいるものだ。
その時に、異論を唱えるのは、たいてい、古いシステムで利益を得ていた人たちだ。
新しいシステムが出てきた時に既得権益者は、新しいシステムを否定し、普及を妨害しようとする。
ところが、それは長くは続かない。時代の流れにには抗えないのだ。

時代に適したシステムに変わっていくのが、健全な社会だろう。
もし、新しいシステムの妨害が続いた場合、その社会は衰退する。
日本という社会は、既に30という歳月が失われてしまった。


最近の投稿
Yoshiのよしなしごと】【Yoshiのブログ】【よしなしごと

自治体を進化させる公務員の新改善力

自治体を進化させる公務員の新改善力 元吉由紀子 公職研

Photo_20221020231901

自治体改善マネジメント研究会を主宰される元吉由紀子氏のが上梓されたと伺ったので読んでみた。

書評は書かないことにしている。ただの感想文。

〇 改善と革新

12

「改善活動の12場面」は、変革レベルを「不具合解消」「改善」「革新」に、活動ステージを「個人」「職場」「役所全体」「対住民・地域」に分けて、活動をプロットすることで改善活動が見える化できる。

「改革」という言葉は曖昧に使われている。特に「改善」と「改革」は差が分からない。
この本では、「改善」と「革新」という言葉を使って区別している。

「不具合解消」→「改善」→「革新」にレベルが上がるところで壁がある。
経験では、「改善」→「革新」の壁が大きい。

「改善」と「革新」は大きく異なる。
「改善」は現状を肯定するところから始まり、現在と未来は連続している。
「革新」は現状を肯定するところから始まり、現在と未来は連続していない。
だから、考え方が根本的に異なるし、改善の延長では「革新」はできない。

「改善」と「革新」の差は、極論すれば、自分の仕事、自分の職場がなくなることが有るか無いかの差だろう。
「改善」は成果が上がったとしても、自分の仕事、ましてや自分の職場がなくなることは想定していない。
ところが、「革新」は、あるべき姿に立ち戻り、社会的、技術的な現状を考慮して今後の組織や業務を考えるから、自分の仕事や自分の職場が無くなる可能性がある。
ちょっと前に「AIやロボットで無くなる仕事」が話題になったけれど、あれはAIによる「革新」だ。

「革新」で無くならない仕事をしている人はを推進しやすいけれど、無くなる仕事をしている人とは確執が生まれ、無くなる仕事をしている人は「革新」の抵抗勢力になる。(仕方のないことだ)

革新が起こると、なくなる仕事がある一方で新しい仕事が生まれる。
本当に「革新」に取り組める人は、自分の仕事がなくなっても、新しく生まれる仕事ができる自信と覚悟がある人だろう。

〇 キャリアプラン

役所の人事は個人の希望が聞き入れられないことが多い。
しかも希望通りにになっても、ならなくても、説明(フィードバック)が無いことも多い。
だから、自らキャリアを設計することが難しい。(そして、歳をとって困る)
不確実な時代では、自らキャリア設計ができないのは、泥舟か豪華客船かわからない船に身を任せているようなものだ。
(乗り込んだときは豪華客船だと思ったのに気が付いたら沈みかけているとか...)

元吉由紀子氏は

政策分野に関わらないもう一つのキャリアとして「新しい環境変化に対応して新しい仕事を作り出したり仕事や仕事のやり方を変えていく、政策を推進していく力(進化力)」を設定するのです。それによって、これまでのどの政策分野の仕事であっても、経験が生かされることが多分にあることが見えてくるはずです。

とおっしゃる。これは新しい切り口だ。

でも、「進化力」だけでキャリアを考えるのは難しいような気がする。

https://www.manpowergroup.jp/column/career/140620_01.html

によると、キャリアを構成する要素は

  • 1つ目は、「技術・知識を示す経験」
  • 2つ目は「転職回数や社格など含めた転職履歴」
  • 3つ目は「日本特有の判断基準である年齢」
  • 4つ目は「人となりを表す考え方・人間性」
  • 5つ目は「外的要因である景況感とトレンド」

らしい。

3)年齢、5)外的要因は自分では変えることができないが、1)知識・技術、4)人となりは自分で変えることができる。

1)知識・技術は業種(役所では政策分野)と関連が強い。ところが、役所では自ら選択することできない。
一方、「進化力」に相当する 4)人となりは自分で変えることができるから、「進化力」でキャリアを設計しようということだろうか。

キャリアを構成する5項目全てをハイレベルにすることは難しいから、どの項目に注力するかは人それぞれだ。(昔は押し付けられたけど)
それが、個人に合わせたキャリアプランなのだろう。

最初から公務員になろうと思っていた人は、業種や政策分野にそこまでこだわりがないのかもしれない。
こだわりがなければ、「改善活動の12場面」へのプロットがキャリアプランに使えるかもしれない。

40歳の頃、将来のキャリアを考える中で、ありたい自分を散々考えて辿り着いたのは、
「技術で食っていく。そしてその技術が人様の役に立ったら良いなあ」
だった。
技術者としてのキャリアにこだわってきたので、職種や政策分野を抜きにしてキャリアを考えることはできない。
行政職の技術者はマイノリティだ。しかも、専門性にこだわると生きにくい...

〇 DX
ICT業界のバズワードはDXだ。
「改善活動の12場面」の変革レベルはDXに似ている。
DXはデジタル技術を活用して新しい価値を創造することだから、革新レベルの「革新」に相当する。
ところが、「DX」という言葉が一人歩きしていて、デジタル技術を使った不具合解決もDXと呼ばれている。
不具合解決や改善が改革と呼ばれることに似ている。

DXは、企業にだけではなく、自治体も中央省庁にも共通する経営課題だ。
DXは、デジタル技術の知見があれば実現できるわけではなく、業務改革や風土改革、働き方改革が必要になる。

DXに必要な能力は

  • デジタル技術
  • 業務に関する知識・技能
  • 「進化力」

だろう。

3つの能力を全て兼ね備えた人はいないから、1つでも能力を持ったメンバーを集めてることになる。
そこで、「進化力」とデジタル技術、「進化力」と業務の知識・技能のように2の能力を持っていれば、チームを集めやすくなるだろう。
(集められやすい...)

デジタル技術、業務に関する知識・技能は専門的な能力だけど「進化力」は汎用的な能力だ。
汎用的な能力は重要ということだろうか。


最近の投稿
Yoshiのよしなしごと】【Yoshiのブログ】【よしなしごと】【雑誌・書籍

2022年10月20日 (木)

「最新の建材」を使って「竪穴式住居」を作ってはならない

政治家も経営者も技術者もあなたも「考えない」のはなぜか 日経XTECH (2022/06/30)

 7月1日に公開予定の次回記事はIT勉強宴会副理事長の渡辺幸三氏によるもので「情報システムの世界で技術者たちは最新の建材で竪穴式住居を建てている」という痛烈な指摘が出てくる。クラウドコンピューティングなど「最新の建材」を使っても設計が古いままでは「竪穴式住居」ができるだけだと渡辺氏は批判する。

現状の仕組みを、デジタル技術で置き換えようとするのを見たことがある。

初めにそれを感じたのは、PCとネットワークが導入された時だった。
それまでのコミュニケーションは電話とFAXだったから、PCとネットワークを導入することで、情報がデジタル化されるはずだった。
ところが、FAXをEーmail+添付ファイルに置き換えただけで、電話は残った。
電話は今でも重要なコミュニケーションデバイスだから残るのは当然だけれど、問題は電話を前提にした仕事を変えなかったのだ。
「今、FAX送ったから見て」が「今、一太郎の文書をメールで送ったから見て」という電話はになっただけだった。
当然、送られた一太郎の文書は共有するために印字され、最後はチューブファイルに綴じられていた。

つまり、PCとネットワークという「最新の建材」を使って、電話、紙、チューブファイルという「竪穴式住居」を改装したのだ。

イノベーションが起こった時に、無くなる仕事がある。
たいてい、それまで多くのリソースが必要だった仕事だ。
そして、無くなる仕事より下のレイヤは残り、上のレイヤの仕事が現れる。

紙とFAXがPCとネットワークに変わったときに、自ら下のレイヤのインフラ事業に止まった。
上のレイヤの情報のデジタル化という新しい事業が現れたのにだ。

下のレイヤの仕事は知識も経験もあるから意識することなく仕事を続けられる。
しかし、下のレイヤはコモディティ化しているから、よほど戦略的でなければ消耗戦になること必至だ。

上のレイヤの仕事は新しく現れた仕事だから、知識も経験もゼロからはじめなければならない。
だから、多くの人は、それまでの連続で判断しようとするから、現状に留まろうとして、「竪穴式住居」から出ることができない。

でも、新しい仕事にチャレンジしない組織は衰退する。
「最新の建材」を使って「竪穴式住居」を作ってはならない。


最近の投稿
Yoshiのよしなしごと】【Yoshiのブログ】【よしなしごと

2022年10月17日 (月)

独立思考

組織や前例に縛られず、自分で考えて答えを出す独立思考 山本大平 朝日新聞出版

Photo_20221012225501

ビジネス書オタクだからかもしれないのだけれど、どこかで読んだことがある内容だ。
すぐ使えるように纏めてあると考えれば良いのかもしれない。

山本太平氏は

当たり前ですが、法律や人の道を外れなければ、すでに確立されたやり方に沿う必要はありません。

とおっしゃる。

確立されたやり方は、合理的だったり効率的だったりする。
ただし、今でも合理的・効率的とは限らない。
科学・技術は進歩しているから、昔、合理的・効率的だったやり方は、今もっと合理的、もっと効率的なやり方があるだろう。
それなのに、いつしかそのやり方は変えてはならないものになってしまい、そして、ついには誰も疑わなくなる。
そんな、やり方が今の日本にはたくさんある。

また、山本大平氏は、次のような問題を例に常識を疑うことが重要だとおっしゃる。

次の2つの話のうち、正しいのはどちらの話でしょうか。
  ① 太陽の位置が変われば時間が進む
  ② 時間が経てば太陽の位置が変わる


地球の自転が止まった場合を考えると、2つとも間違っているとおっしゃるのだが、地球は公転しているので、自転が止まったとしても地球から見た太陽の位置は変わる。
太陽の位置が変わらないのは、月のように公転周期と自転周期が同じ場合だ。

本に書いてある答えも疑わなくてはならないということだろう。


最近の投稿
Yoshiのよしなしごと】【Yoshiのブログ】【よしなしごと】【雑誌・書籍

2022年10月14日 (金)

看護師不足 <搾取の対象が足りない?>

看護師免許はあるけれど 机上の70万人「戻りたくない」 日経 (2022/7/17)

2025年には看護師が最大30万人不足するらしい。
国は潜在看護師の現場復帰を当てにしていたけれど、復帰する人はいないようだ。
業務負担が大きく給料が安いことが原因だ。Blackな職場が多いのだろう。

同じような原因で教師も不足している。
文科省はTwitterで#教師にバトンなる企画で教員を増やそうとしたが、逆にBlack職場が際立ってしまった。

看護師も教師も聖職の名の下にやりがい搾取が横行しているのかもしれない。

気がつけば、知識・技能を持った者に正当な対価を支払わない国になってしまった。
看護師も教師も専門教育を受け国家試験で、知識・技能が認定されている、専門家だ。
ところが、専門家の持つ知識・技能は搾取して当然のような風潮が蔓延っている。

日本は貧しくなっているのは事実だが、同時に賤しくなっているののかもしれない。

思い返すと、バブル期が契機かもしれない。
バブルが崩壊して以来30年右肩下がりの国を支えたのは、搾取されてきた人達ではないだろうか、本来なら30年も持たず国の危機が訪れていたところを、専門家の持つ知識・技能の価値を認めず、リスペクトせず、搾取した結果ではないのか。

そして、とうとう国家レベルで耐えきれなくなっている。

ICT業界も同じように、専門家の持つ知識・技能の価値の搾取が横行している。
過去に経産省は、IT技術者が〇〇万人不足する、AI技術者が××万人不足するなどと発表したが、特定の業界に補助金を引っ張ってくる口実のようだった。
そこで働く技術者の、待遇が向上したり、リスペクトされるようにはならなかった。
つまり、「IT人材、AIが不足する」は「搾取の対象が足りない」という意味だ。

同じように、看護師が不足問題も、「搾取の対象が足りない」という意識を変えない限り、問題は解決しないと思う。


最近の投稿
Yoshiのよしなしごと】【Yoshiのブログ】【よしなしごと

2022年10月11日 (火)

ABUロボコン <技術で社会の問題を解決する>

NHKでABUロボコンを放送していた。 (NHK+見逃し配信11/17まで)


日本代表は豊橋技術科学大学で、惜しくも予選敗退
日本代表が予選敗退したからだろうか、涙のストーリー演出は無かった。

番組の最後でインド、インドネシア、カンボジアの学生のインタビューが紹介されていた。
共通していたのは「技術で社会問題を解決したい」という目標だった。
日本の参加者のインタビューが無かったのはちょっと残念。

技術には社会を変えるだけの力がある。
今時は、ロボットに関する情報も制作に必要な部品調達も、インターネット(googleとamazon)のおかげでどこでも手に入るようになった。
だから、知識と技能を身に付けてモノを創り、社会に提供することで、「技術で社会問題を解決する」ことはどこの国でも可能だ。

ところが、日本では知識と技能があっても、社会に提供するには大きな壁がある。
子供のときに、「技術で社会問題を解決したい」と思っていても、大人になるにしたがって壁を認識するようになり、能力を試験に合格すること、大手の会社に就職すること、給料を上げることに使うようになる。

インタビューに答え学生は、技術での社会問題の解決に関わることが日本より容易なのだろう。


最近の投稿
Yoshiのよしなしごと】【Yoshiのブログ】【よしなしごと

2022年10月 8日 (土)

デジタルカイゼン

SharePointのリストとPowerAutomateで簡単な承認システムを作ってみた。
テンプレートがあるのでプロトタイプは半日くらい、
ユーザの要望に応えるために手直しして3日くらいでできた。
入力画面や印刷画面をPowe Appsで作りこむと見栄えは良くなるけど、なるべく標準機能を使って、作り込まないようにした。

減ったのは、ハンコが3個と、Excelの様式くらい。最後は物理的にファイリングするらしく、紙は減らない。
紙を減らしたり無くすには。業務の全体見直しが必要で、承認システムやアプリを導入したから紙が減るわけではない。

デジタル・カイゼンの域を出ないのだが、ユーザの立場ではハンコとExcelが減ったら良しとしよう。

ところで、
「DX」「内製化」は旬な話題だけど、内製でDXはかなり難しいのではないかと思う。
内製化すると、業務の細部もわかっているから言語化し難いノウハウも取り込むこともできるかもしれない。

重要なことは、
社会DXチームに権限が与えられていることだ。
業務を改革しようととすれば、総論賛成、各論反対になる。
改革は利害の調整ではなくて、目的を実現するための合理的な方法だから、大多数が抵抗勢力になる可能性もある。
そのような状況下で改革を進めるためには、権限がなければならない。

「ローコード・ノーコード」も旬な話題だ。
今時、システムを作るために、何年もかかっていたのでは、DXは難しい。
ローコード・ノーコードで開発すると、開発→運用→改修 のサイクルを短くできる可能性はある。

ローコード・ノーコードでの開発は、高いコーディングスキルは必要なくなるが、プログラミング技術が不要になるわけではない。
しかし、プログラミングとコーディングの区別ができない人は多いような気がする。

RPAなどの売り方を見ていると、
ローコード・ノーコードで開発すると、プログラミング技術も不要で簡単に内製化できるようにミスリードしていると感じることがある。


最近の投稿
Yoshiのよしなしごと】【Yoshiのブログ】【よしなしごと】【ほぼ1人情シス

2022年10月 5日 (水)

SlackもTeamsもダメ

「SlackもTeamsもダメ」、そんな企業にオープンイノベーションは100年早い 沢渡 あまね あまねキャリア工房 (2021.05.26)

非同期コミュニケーションができない人達や会社は結構あるようだが、それは置として、
違う会社に属する人たちが参加するプロジェクトでは、ビジネスチャット使用の可否、どの製品を使うか、誰が招待するのか(どの会社のシステムを使うか)が問題になる。
E-mailしか使えないという会社・組織もまだあって、今流行りのオープンイノベーションの障害になっている。

沢渡氏はE-mailしか使用を許可していない会社を非難するのだけれど、
本質はセキュリティポリシーの不整合だろう。
世の中の会社がSlackやTeamsを使うようになってもこの問題は残る。

冒頭の記事に登場する、フリーランスE氏のセキュリティポリシーは自分自身が決めて自分がコントロールすれば良いから、Slackでだれに招待されても対応できる。

Teamsしか使えないB氏は会社でM365を導入しているのだろう。
M356で完結すればセキュリティポリシーをクリアしやすい。
ところが、招待するのと招待されるのは、セキュリティ上大きな差がある。

招待すれば、チャットの投稿や添付ファイルは、自社のスペースにあるから、コントロールは容易だ。
ところが、招待されると情報が相手のスペーに保存されるから、コントロールできない。
もし機密性が高い情報が投稿された場合、招待していれば、管理者権限で削除することができるが、招待されていると完全に削除できない。

セキュリティがしっかりしている組織はたいてい、他組織のTeamsに参加を禁止しているようだ。
Teamsしか使えないという会社は招待すれば使えるということだ。しかし、ちゃんとした組織同士だとどちらかが参加できない。

E-mailしか使えないC社は、サンプルを真似てセキュリティポリシーを作り、情勢に合わせて改訂していない会社・組織だろう。
セキュリティポリシーを決めた時にビジネスチャットは想定していない。

コロナ禍でビジネスチャットを使わなければならなくなっても、セキュリティポリシーに規定が無いと(当たり前)使用を禁止したままなのだろう。

余談だけど、ビジネスチャットを禁止して、コロナが流行していてもリアル出社の会社・組織もあるようだ。改革、改善、イノベーションを全て否定する潔さはある・・・

社外の人とビジネスチャットのでコミュニケーションする際に招待するかされるかを気にする人は少ない。気にしているのはセキュリティ担当くらいだ。
普通のユーザは忖度して、「お手間でしょうからウチが招待しますよ」となるのだが、セキュリティの甘い会社・組織には招待されたくないよね。

今は、コロナ禍で急激に変わったから、問題の本質が見えていないユーザが多いのだと思う。
TeamsはよくてSlackはダメとか、逆にSlackはよくてTeamsはダメという話を聞くことがあるのだが、禁止されている行為、許可されている行為は伝わってなくて、禁止されたツール、許可されたツールにすり替わっているのだろう。

システム担当としては、SlackでもTeamsでもいいから招待してほしい。


最近の投稿
Yoshiのよしなしごと】【Yoshiのブログ】【よしなしごと】【働き方改革

« 2022年9月 | トップページ | 2022年11月 »