「最新の建材」を使って「竪穴式住居」を作ってはならない
政治家も経営者も技術者もあなたも「考えない」のはなぜか 日経XTECH (2022/06/30)
7月1日に公開予定の次回記事はIT勉強宴会副理事長の渡辺幸三氏によるもので「情報システムの世界で技術者たちは最新の建材で竪穴式住居を建てている」という痛烈な指摘が出てくる。クラウドコンピューティングなど「最新の建材」を使っても設計が古いままでは「竪穴式住居」ができるだけだと渡辺氏は批判する。
現状の仕組みを、デジタル技術で置き換えようとするのを見たことがある。
初めにそれを感じたのは、PCとネットワークが導入された時だった。
それまでのコミュニケーションは電話とFAXだったから、PCとネットワークを導入することで、情報がデジタル化されるはずだった。
ところが、FAXをEーmail+添付ファイルに置き換えただけで、電話は残った。
電話は今でも重要なコミュニケーションデバイスだから残るのは当然だけれど、問題は電話を前提にした仕事を変えなかったのだ。
「今、FAX送ったから見て」が「今、一太郎の文書をメールで送ったから見て」という電話はになっただけだった。
当然、送られた一太郎の文書は共有するために印字され、最後はチューブファイルに綴じられていた。
つまり、PCとネットワークという「最新の建材」を使って、電話、紙、チューブファイルという「竪穴式住居」を改装したのだ。
イノベーションが起こった時に、無くなる仕事がある。
たいてい、それまで多くのリソースが必要だった仕事だ。
そして、無くなる仕事より下のレイヤは残り、上のレイヤの仕事が現れる。
紙とFAXがPCとネットワークに変わったときに、自ら下のレイヤのインフラ事業に止まった。
上のレイヤの情報のデジタル化という新しい事業が現れたのにだ。
下のレイヤの仕事は知識も経験もあるから意識することなく仕事を続けられる。
しかし、下のレイヤはコモディティ化しているから、よほど戦略的でなければ消耗戦になること必至だ。
上のレイヤの仕事は新しく現れた仕事だから、知識も経験もゼロからはじめなければならない。
だから、多くの人は、それまでの連続で判断しようとするから、現状に留まろうとして、「竪穴式住居」から出ることができない。
でも、新しい仕事にチャレンジしない組織は衰退する。
「最新の建材」を使って「竪穴式住居」を作ってはならない。
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