無くなる仕事 <技能はイノベーションで淘汰される>
続く道 花の跡 ななせ悠 少年ジャンプ+
日本初のコンピュータFUJICを作った人の助手の女性と、電子計算機によって無くなった職業のおはなし。
AIの普及が目前だら、昔の話とは思えない。
計算手という職業は知らなかった。
レンズの設計に必要な大量の数値計算が必要らしい。
モデルができて、四則演算に分解すれば誰でもできる仕事になる。
計算モデルを作る人は数学の能力を提供し、単純計算をこなす人は労力を提供している。(この構図は今でもよくある)
そこで、大量に動員される単純計算をやる人を計算手と呼ばれていたらしい。
労働時間や技能を提供している職業は、新しい技術の登場によって簡単に淘汰される。
計算手の他に、文書を清書していたタイピストや電話の交換手、コンピュータのプログラムをカードに打刻していたキーパンチャーなども、技術の進歩で職業が無くなってしまった。
技術革新によって職業が無くなることには誰も争うことはできない。
物語中の主人公の計算手が電子計算機の実験装置を壊そうとするシーンは、今AIに対して声高に危機感を煽る人たちとオーバラップする。
技術の進歩に争うことはできないのだ。
蛇足(昔話)
昔、無線通信士という職業があった。
地球レベルで離れた場所との通信に、昔は無線を使っていたが、陸地対陸地は海底ケーブルに取って代わられたが、モールス信号で電報を送受する方式は、船舶との通信で最後まで残った。
無線通信になろうと資格をとって就職しようとしたら、求人がなかった。
その頃、無線通信士は人員整理が進んでいて経験の無い新米はお呼びではないって、知らなかった。
技能は新しい技術に淘汰されることを、職業人生が始まる前に身をもって経験してしまった。
幸い無線の資格で雇ってくれる所があってので、そこに就職した。
無線だけではなく、電話交換や伝送路、情報処理(コンピュータ)まで手広くやっていたが、希望どおり無線の部署に配属された。
その職場では意味不明のラベリングがあった。
無線関係の部署で勤務している者はコンピュータは解らない、プログラミングはできないというものだ。
逆に電話関係の部署で勤務している者は無線がわからないと言われていた。
理系vs文系のようなラベリングだ。
就職してほどなくパーソナル・コンピュータ時代がやってきた。
コンピュータ関係の仕事をしている人たちが、汎用機でCOBOLだったころ、マイコン(昔はパーソナル・コンピュータをこう呼んだ)を自腹で買ってCの勉強を始めた。
無線屋だけどプログラミングはできるようになった。当然だけど。
なぜ、無線系はプログラミングができないと言われていたのだろうか?
おそらく、新しい技術を習得しないための言い訳だったのではないかと思う。
当時、コンピュータは有線系(電話屋)が担当していた。
無線系、有線系というラベリングをして、「無線系はプログラミングができない」ことにすれば、コンピュータやプログラミングの知識や技能を習得しなくて良くなる。
逆に、有線系は無線の知識技能を習得しなくて良くなる。
文系が数学を、理系が歴史を勉強しないのと同じで効率が良い。
ところが、既存の技術は、技術の進歩で淘汰される。
当時、新しい技術に淘汰された人が身近にいたのに、なぜ、新しい技術を習得しないようにしていたのだろうか?
しかも組織的に。
最近の脅威はAIだ。
AIの進歩で淘汰される、職業は現れるだろう。
残念ながら争うことはできない。歴史が示している。
恐れることはない、学習すれば良いのである。
ところが、根拠のない言い訳をして学習しない人は多い。これも、これも歴史が示している。
若い人に唯一アドバイスするならば、歳を取っても学習できるように、若いうちに学び方を身につけておくと良い。
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