反AI <何に反対しているのだろうか?>
消された少女の“反AI”マーク 「無断改変したのは俺です」 毎日新聞 (2023/8/17)
結論
- AIは能動的に創作しない
- 新しい技術を使ったからといって創作物の価値が向上するとは限らない
- 反AIの人と反・反AIの人は何に反対しているのだろうか
芸術分野でのAIの使用に反対するために描いたイラストを、AI使用に賛成する人がAIを使用して変えて、挑発的なメッセージと共に公開したという記事。
反AIの人は、
「芸術は気持ちや伝えたいことを表現するもの。AIは他人の作品を切り刻むだけで、芸術ではない」
と考えて、イラストを投稿したらしい。
これに対して、反・反AIの人が
AI反対のイラストをAIに入力して作成したイラストと、
「元の数千倍可愛くて売れそうな絵‼」「『売れる絵』を出せるAIを否定しているんですか」
のようなメッセージと共にブログに公開したらしい。(伝聞です。確認できませんでした)
考えてみた。
★著作権については考慮していません。
★私は反AIでも、反・反AIでもありません。
AIは能動的に創作しない
引っかかったのは
技術をAIに踏みにじられた
の部分。
反AIの人が踏みにじられたのはAIにではなく反・反AIの人の行為にだと思う。
反AIのイラストを描いた人は、「AI」が能動的にイラストを出力すると考えているのではないだろうか?
アニメや映画では、AIやAIを搭載したロボットに人格があるかのように描かれることが多いから、現在のAIにも意思や人格があって能動的に活動すると思っている人は多い。
プロ棋士と囲碁ソフトとの対局をAI vs 人間のように煽るメディアの影響もあるだろう。
AI vs 人間の対局ではなく、自分の頭で囲碁を打つ人 vs コンピュータを使って囲碁を打つ人の対局だ。
今のところ、AIは意志を持たないし、創作しない。
あくまで、意識を持っているのは人であり、AIは人が与えた入力と指令に従って結果を出力する。
だから、反・反AIの人が投稿したイラストは、人の創造によるものだ。
AIに何らかの指示を与え、AIの出力を選別する作業を、満足する結果が得られるまで、行っているのではないだろうか?
だとすれば、その行為はAIを道具として使った創作活動ではないだろうか?
それは芸術ではないのか?
つまり、この対立構造は、AI vs AIを使わない芸術家ではなく、AIを使う芸術家 vs AIを使わない芸術家との対立だ。
芸術と経済性
芸術は純粋に芸術だけでは存在できず、少なからず経済活動と関係があるので、芸術と経済性を完全に切り離して考えることはできない。
毎日新聞の記事によると反AIの人は、
「長年培ってきた技術をAIに踏みにじられたように感じる」。女性は悔しさをにじませた。
らしい。
この感情は純粋に芸術的な側面ではなく、自身が獲得した、売れる・ウケるイラストを描く技術の価値がAIによって低下することに対する感情ではないだろうか。
また、反・反AIの人は
「元の数千倍可愛くて売れそうな絵‼」「『売れる絵』を出せるAIを否定しているんですか」
らしいので、絵を経済価値で評価しているようだ。
反AIの人も、反・反AIの人も絵の経済価値を重視しているようだ。
技術は新しい技術の前に陳腐化する。それはAIに限らない。
そして新技術を使うと生産効率が向上する。
工業製品のようにアウトプットが一定ならば、生産効率が向上すると経済価値も向上する可能性は高い。
しかし、イラストを工業製品ではなく芸術的な創作物と捉えるとアウトプットは均一ではない。
また、芸術は鑑賞する人がいるから、鑑賞する人によってその評価は様々だ。
つまり、新しい技術を使ったからといって創作物の価値が向上するとは限らない。
AIを使っても使わなくても
AIを使っても使わなくても『売れる絵』が出せるとは限らないし、AIを使っても使わなくても『売れる絵』が出せないとは限らない。
売れる、売れないではないならばどちらも芸術だと思う。
反AIの人と反・反AIの人は何に反対しているのだろうか?
まとめると
- AIは能動的に創作しない
- 新しい技術を使ったからといって創作物の価値が向上するとは限らない
- 反AIの人と反・反AIの人は何に反対しているのだろうか
毎日新聞の記事が見えなくなったときのためのアーカイブへのリンク(https://archive.is/cUDrw)
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