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2024年7月

2024年7月29日 (月)

AIは短歌をどう詠むか <正解のない問題への適用>

AIは短歌をどう詠むか 浦川 通 講談社

Ai_20240706224901

LLM(大規模言語モデル)+ファインチューニングの実装例として読んだ。

短歌AIが持つ
・正解がない問題への活用
・芸術分野への使用
について考えた。

〇正解のない解答

短歌AIは、将棋や囲碁のように正解(最善手)を求めることが困難な課題だ。
早くから実用化された将棋や囲碁のAIは、勝敗という客観的な評価基準があるので強化学習が使えて急速に強くなった。

短歌の場合、何を持って良いと評価するかは読み手の主観だ。
著名な歌人の評価といえども、やはり歌人個人の主観だ。
歌人はおそらく多くの人が良いと感じる評価ができ、それを言語化できる技能を持っているのだろう。

正解がないから、教師データを用意することができないし、評価基準が曖昧だから将棋や囲碁のAIのように強化学習を使うことができない。
短歌AIは大規模言語モデルに適した用途なのだろう。

人より効率的に最善手を見つけられる将棋や囲碁のAIは、問題解決の手段として使うことができて、人の代替になるかもしれない。
しかし、短歌AIは「最善」を見つけることはできないから、問題解決の補助として使うことはできるが人の代替にはなれない。

実社会での問題のほとんどは唯一の正解はなく、最後は人間が決断しなければならない。
今後、よりより選択肢を効率良く見つけるためにAIは必須になるのだろう。

〇短歌AIは短歌を創作すべきではないのか?

浦川 通氏はAIによる短歌の作成について

現在は短歌はある一人の人間の手によってのみつくられたという前提のもと鑑賞されるのが普通ですから、例えばAIの利用について明示するなど(あえてしない、といった選択肢もありえるでしょう)、どのようにして発表するか、ということについては意識的でありたいものです。

とおっしゃる。

短歌には疎く短歌を詠むこともできないから専ら鑑賞するだけだけれど、「短歌は人が作るべき」とは思わない。
AIを含めて誰が作った歌であっても、自分が良いと感じる歌は良いと思う。

創ることに拘って生きてきて来たので、短歌ではないが、創る悦びも知っているけれど、「手作りであるべき」は作り手の都合(エゴ)だと思う。
人による創作を否定しているわけではないし、趣味や道楽ならばそれでよいのだけれど、鑑賞する側にとってはどうでも良いことだ。
創る側と鑑賞する側では価値観が異なる。

〇創作する人と鑑賞する人

短歌は創る人と鑑賞する人が分離していないように感じる。
芸術には、伝統的で様式が決まった伝統的な分野もあるし、大衆的で様式にとらわれない流行や前衛的な分野がある。
短歌は前者だ。俵万智氏の登場で随分大衆的になった感があるが、創作はもとより鑑賞の壁も高い。

短歌AIを使用することで短歌を詠むことの壁が低くなれば、鑑賞する人が増えて、歌謡曲やポップスのように多くの人が鑑賞できる短歌が増えるのではないだろうか。

そして、さらに大衆的な芸術に生まれ変わることができるのではないかと思う


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2024年7月22日 (月)

生成AIは賢くなったのか <教科書は読めるようになっている>

2023年3月頃にChat-GPTで遊んでいた。

あれから1年たってどれだけ賢くなっているのか試した。

〇結論

  • 文章理解の精度は向上して、読めばわかる問題は正しく答えられる。
  • 思考していないので、解答例のない問題は誤った答えを出力する。


Micorosoft CopoilotはChat-GTP4ベースらしいのでCopilotに同じ質問をしてみた。
まず「AI vs. 教科書が読めない子どもたち」に、取り上げられていた問題

〇ポルトガル人問題

問題:
・幕府は、1639年、ポルトガル人を追放し、大名には沿岸の警備を命じた。
1639年、ポルトガル人は追放され、幕府は大名から沿岸の警備を命じられた。
以上の2文は同じ意味でしょうか。

2023/3 Chat-GTPに同じ質問をしたら、

はい、両方の文は同じ意味です。

と答えた。
2024/7のCopilotは

この2文は同じ意味ではありません。

1.「幕府は、1639年、ポルトガル人を追放し、大名には沿岸の警備を命じた。」
  - 幕府が主体であり、ポルトガル人を追放し、大名に沿岸の警備を命じたことを示しています。

2.「1639年、ポルトガル人は追放され、幕府は大名から沿岸の警備を命じられた。」
  - ポルトガル人が追放されたことが先に述べられ、その後に幕府が大名から沿岸の警備を命じられたことを示しています。この文では、幕府が命じたのではなく、命じられた側であることを示しています。

したがって、文の意味が異なります。

と答えた。
2023/2のChat-GTPは受け身文の解釈ができなかったようだが、2024/7のCopilotはできるようになっている。
つまり、AIは読めばわかる問題は分かるようになっている。
「教科書が読めない子どもたち」や「「教科書が読めないまま成長した大人たち」にとっては脅威だと思う。

〇嘘つき族と正直族と泉のパズル

古典的なパズル「嘘つき族と正直族と泉のパズル」のバリエーションとして「正直天使、嘘つき天使と分かれ道の質問」をChat-GTPに問うといずれも正解を出力していた。
もちろんCopilotも正解を出力する。

異なるのは

正直族と嘘つき族の問題と、分かれ道と旅人と2人の天使の問題は同じ論理構造ではありませんか?

に対して、
2023/3のChat-GTP

正直族と嘘つき族の問題と、分かれ道と旅人と2人の天使の問題は、一見すると似たような論理構造を持っているように見えますが、微妙に異なる部分があります。正直族と嘘つき族の問題は、主に相手の発言の真偽を判断することに焦点が置かれています。一方、分かれ道と旅人と2人の天使の問題は、ある条件を満たすために最適な選択をすることに焦点が置かれています。つまり、正直族と嘘つき族の問題では、相手の発言を正しく解釈することが肝心ですが、分かれ道と旅人と2人の天使の問題では、自分自身の選択に関する判断力が必要です。

と答え、
2024/7のCopilot

はい、「天使と分かれ道問題」と「正直族の村人と旅人問題」は同じ論理構造を持っています。どちらの問題も、真実を話す者(正直な天使や正直族の村人)と嘘をつく者(嘘つき天使や嘘つき族の村人)が存在し、どちらに質問しても正しい答えを得るための質問を考える必要があります。

両方の問題では、以下のような共通点があります:

  1. 真実を話す者と嘘をつく者がいる:どちらの問題でも、真実を話す者と嘘をつく者が存在します。
  2. 一回の質問で正しい答えを得る:どちらの問題でも、一回の質問で正しい答えを得る必要があります。
  3. 質問の工夫:質問の仕方を工夫することで、どちらに質問しても同じ答えが得られるようにします。

このように、両方の問題は同じ論理構造を持っており、質問の工夫によって正しい答えを導き出す点が共通しています。

と答える。

2024/7のCopilotは「論理構造」の差異に関する問いであることを正しく理解し、問題分の論理構造を理解しているように見える。

〇贋金と天秤のパズル

贋金と天秤のパズルは、見た目で違いが分からない9枚の金貨から、天板秤を2回使って、少し重い1枚の金貨を見つける、古典的な問題だ。

2023/3のChat-GTPは正しい手順を出力していた。
しかし、9枚の金貨を10枚に変えると誤った答えを出力していた。

Copilotoに対して

問題
目で見ただけでは違いが判別できない、10枚の金貨があります。
10枚のうち、少しだけ重い金貨が1枚あります。
天秤秤を2回だけ使って、重い金貨を判別する方法を教えてください

を問うと

10枚の金貨の中から少しだけ重い金貨を天秤秤を2回だけ使って判別する方法は次の通りです:

  1. 最初の計量
    - 10枚の金貨を3つのグループに分けます。例えば、3枚、3枚、4枚のグループに分けます。
    - グループA(1, 2, 3)、グループB(4, 5, 6)、グループC(7, 8, 9, 10)とします。
    - グループAとグループBを天秤にかけます。
  2. 結果の確認
    - ケース1:グループAとグループBが同じ重さの場合
      - 重い金貨はグループCにあります。
      - グループC4枚(7, 8, 9, 10)のうち、3枚(7, 8, 9)を選び、次の計量に進みます。
    - ケース2:グループAとグループBのどちらかが重い場合
      - 重い方のグループに重い金貨があります。
      - 重い方のグループ(例えば、グループAが重かった場合、1, 2, 3)を使って次の計量に進みます。
  3. 次の計量
    - 重い金貨が含まれている3枚の金貨を2枚ずつ天秤にかけます。
    - 例えば、1と2を天秤にかけます。
  4. 最終結果の確認
    - ケース1:1と2が同じ重さの場合
      - 重い金貨は残った1枚(3)です。
    - ケース212のどちらかが重い場合
      - 重い方が重い金貨です。

この方法で、天秤を2回使うだけで重い金貨を特定することができます。

と答えた。

文章理解の精度は向上していても、思考しているわけではないようだ。

〇結論

  • 文章理解の精度は向上して、読めばわかる問題は正しく答えられる。
  • 思考していないので、解答例のない問題は誤った答えを出力する。


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2024年7月19日 (金)

続・技術者への転職のススメ

続・技術者への転職のススメ、人月商売からの脱出に向け勇気を出せる話をしよう
木村 岳史 日経クロステック/日経コンピュータ (2024/06/24)

木村岳志氏から若い技術者に向けたエール。

木村岳志氏は

人月商売のITベンダーが手掛けるシステム開発や保守運用の仕事、つまりIT業界の大勢の技術者が取り組んでいる仕事の多くは、社会的に無意味、あるいは無価値なものである。

と容赦無い。

〇保守運用

保守運用を仕事にしている人は、自分の仕事に価値が無いと言われたら、カチンと来るだろう。
それでも、ちょっと冷静になって、自分の仕事は価値を生み出しているのか、もっと大きい価値を生み出す方法はないのか、客観的に考えてみるとよいと思う。

今現在は需要があるかもしれないが、昭和99年を維持する仕事に価値は無い。
昭和99年を維持する仕事は、大企業の古いITシステム以外にも結構ある。

再雇用や定年延長したような年寄りは「価値のない仕事」が無くなっても路頭に迷うことはないだろう。
しかし、「価値の無い仕事」をやっている若い人は、かなり大きなリスクを抱えている。

特に「価値の無い仕事」をあたかも価値があるかの如く刷り込まれた人は危ない。
「価値の無い仕事」をしている年寄りは、新しい技術を習得しようとしないだけではなく、新しい技術を習得しようとする人の邪魔をするから、新しい技術が習得できない体質になっている可能性がある。

昭和99年を維持する経営者や管理職が真っ当な経営者や真っ当な管理職に代わったら、もっと大きな価値を生み出す方法を選ぶだろう。
そうなった時にには、もっと大きな価値を生み出すための能力を持っていない者の仕事は無くなる。

若い人は、いつ辞めてもいいような年寄りと同じマインドで働いてはいけない。

〇1人情シス

情シス部門が置けないような職場では、低レイヤから高いレイヤまで何でもそこそここなせる人材は貴重だ。
つまり、需要がある。

ところが、新しい価値を創造していない仕事も多い。
そこそこできる情シスがいなければ、効率化や合理化を考えるだろう。
そこそこできる情シスがいるために、新しい価値を創造しない仕事が続いているという見方もできる。

「ほぼ1人情シス」を3年やってそんなことを思うようになった。


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2024年7月 7日 (日)

情シス担当者のための相談所

Dell主催のセミナー「情シス担当者のための相談所」を聞いてきた。

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〇クライアントPC
クライアントPC分野はコモディティ化しているから差別化は難しい。
Microsoft Copilotの試用会をやっていた。

〇サーバー
サーバー分野は、DellがVMWareを手放したことで困惑している顧客は多い。
Azure stack HCIを売ろうとしているようにも見えるが、ユーザは使い慣れたESXiから移行するのは難しいかもしれない。

クラウドブームに乗ってオンプレサーバをクラウドに移したけれど、思ったように効果が出ず、オンプレに回帰するユーザを取り込もうという戦略だろうか。

〇ブースセッション
日本AIコンサルティング
「具体的な導入テーマでわかる!ローカル生成AIから始める企業DXの「今」」
を聞いた。

自社のオンボーディング(新たに加わる人をなじませる取り組み)にローカル生成AIを使用した事例を紹介していた。

客観的データから意思決定の助けとなる情報を見つけるためにローカル生成AIが使用できる。
つまり、様々な場面でローカル生成AIを活用できる。

〇だって楽しじゃない
この会社では、プロンプトからSQLを発行するシステムを作っているらしい。
最近は賢いBIツールがあるから、わざわざ作らなくてもよさそうだけれど、
「だって楽しいじゃないですか」
らしい。👍


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2024年7月 1日 (月)

Goole検索を使いこなす子供

「Google検索使いこなす子供」に潜む"大きな問題"
検索で出た答えは正しい?若者に必要な視点
前田 圭介 : かえつ有明高等学校・社会科教員 (2024/05/22)

前田 圭介氏は

「タイパ」を意識する若者は粘り強く考えることができなくなっていて、倫理や哲学など答えがない問いを深く考えることが重要ではないか

とおっしゃる。

東洋経済だからだろうか「若者は」というスタンスに違和感を感じる。

若者論
「タイパ」を重視するのは若者だけではないと思う。
年寄りに効率が良い方法と悪い方法どちらを使うか尋ねたら、わざわざ効率が悪い方法を使うという人はいないだろう。

若者はICT機器が使えるから、検索エンジンやAIを使用することで効率を上げることができる。
年寄りは今時のICTの習得ができない(しようとしない)。
効率が良い方法がありながらそれを使えないから、若者論にすり替えているだけではないだろうか。

考えること
タイパを上げるためには、思考を省略しなければならない。
それは例えば、前田氏が指摘する「ネットの情報やAIの出力は正しいとする」ことだ。
「ネットの情報やA Iの出力は正しい」とすれば、それの妥当性を検証しなくて良いから効率的だ。
そして、短時間で情報を引き出す作業は練習すれば早くなる。
つまり、深く考えることなくタイパを上げることができる。

タイパを求める姿勢は、今時の若者に特有の特性でないと思う。
年寄りが若かった頃は、NETもGoogleもChat-GTPもなかったから、本を読むしかなかったけれど、本に書いてあることを鵜呑みにする人は多かった。
「本に書いてあることは正しいと」して、思考を省略していたのだ。

思考の省略
思考を省略しているのは、若者だけではなく年寄りも思考を省略しようとする。

自称評論家の中には、何かにつけ「海外では、欧米では」という「ではの神」がいる。
また政治家や役人は、欧米の施策を真似て「日本版◯◯」という施策を提唱する。
「海外の流行や、施策は正しい」として思考を省略しているのだ。

学校の勉強
受験のための勉強では、理解しなくても正解を答えればよいという風潮がある。
多くの人は理解に必要な期間より受験準備期間の方が短いから、効率良く正答するテクニックを磨くことになる。
それは、最近始まったことではなく何代も前から始まってたのだ。

結論
問題解決のツールとして検索エンジンやAIは積極的に使うべきだと思う。
ただし、学校の勉強とは違って実社会では、検索エンジンやAIの出力をそのまま適用できるケースは稀だから、検索エンジンやAIの出力を参考にして、正解を見つける能力を獲得する必要がある。


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