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2024年10月

2024年10月21日 (月)

帝国ホテルと人材育成

※この投稿は村上信夫氏を非難しているわけではありません。

↓の文章はFacebookのいたるところで見かける。
異なる投稿者が全く同じ文章を投稿していたり、ネットでも見かける。

帝国ホテルの料理長を26年間勤め重役になった
村上信夫さんという方がいます。
厨房から初めて
重役になった唯一の人です。
十代のときに
帝国ホテルの厨房に入ってからは
3年間、仕事が鍋磨きのみだったそうです。
一切、料理に触れることが許されませんでした。
何人もの少年が入っても
1年以内にほとんどの人が
辞めてしまったといいます。
その中で
村上さんだけは辞めなかった。
「日本一の鍋磨きになろう」と決意して
3年間鍋をピカピカに磨くことにしました。
自分のところに回ってくる鍋には
料理が残っていても、ソースの味がわからないように
洗剤などが入れられた状態で来るのだそうです。
それを全部、きれいに磨いた。
自分の顔が映るくらい
ピカピカに磨いたといいます。
そうして3、4カ月経ったところで
「今日の鍋磨きは誰だ」
と先輩が聞くようになったそうです。
「今日の鍋磨きはムラ(村上さんの愛称)です」
という答えが返ってくると
そのときだけは洗剤が入っていない状態で
鍋が回ってくるようになった。
村上さんはそれを舐めて
隠し味を勉強するようになり
周りから認められる
立派な料理人になられたそうです。
今おかれている状況に
文句を言わずに黙々とやっている人に
神様は微笑んでくれるんですね。

誰も教えてくれないどころか、後輩の成長の邪魔をする。
組織的な育制度もない職場では、重要な処世術かもしれない。

昔は先輩が後輩の成長の邪魔をする職場は多かった。
優秀な後輩の能力が自分より高くなれば、先輩としての立場がないのは分かる。

管理者は何故
悪しき風土を是正しようとしないのか?
それは、管理者が技能を磨くことよりも、先輩に阿ることを重視していたからだろう。
残念ながら、人は自分とは異なる価値観を評価できないものだ。
だから、年配者に阿ることで技能を習得した管理者は、年配者に阿る後輩を評価しがちだ。
そして、それは悪き組織風土になる。

村上信夫氏の成功事例は、昔の悪き職場に適応したものと見ることもできる。
だから、この投稿の最後にある

今おかれている状況に
文句を言わずに黙々とやっている人に
神様は微笑んでくれるんですね。

は、間違っているとは言えない。

しかし、

「文句を言わずに黙々とやること」よりも、
「文句を言わずに黙々と何をやるか」が重要だと思う。

年配者に阿る後輩を評価している年寄りには「文句を言わずに黙々とやること」が重要としたほうが都合が良い。
部下や後輩が育たない原因を、年寄り自身の指導力の不足ではなく、年少者の努力不足にできるから。

帝国ホテルは何故
新人を育成しようとしないのだろうか?
考えてみた。

「帝国ホテル」は誰もが認めるブランド価値がある。
帝国ホテルを退職して独立したときに、「帝国ホテルで働いていた」という経歴にも価値がある。
だから「育成」を前面に出して求人する必要がないのではないか。

ブランドがない職場は真似をせず、新人はちゃんと育成した方が良いと思う。


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2024年10月 6日 (日)

プログラミングと「写経」 <バグ対応経験が重要>

初心者がプログラミングを学ぶときに最も効果的な方法は「写経」だと思う note (2024/9/4)

Xに投稿された、
 プログラミングの勉強方法で最も効果がない方法は「写経」です。
という投稿に対する意見。

この議論はプログラミングとコーディングを区別していないように感じる以下の意見は、「プログラミング」は「プログラミング言語」の意味で使用します。

自分の意見

効果があるのは、
 写経ではなく、多くのエラーに遭遇し、それを解決すること
だと思う

この議論を最初に見たの30年くらい前だった。
その頃は、ようやく雑誌にFDが付録なったころで、「写経」しなくてよくなろうとしていた。

それまでは、雑誌や書籍に印刷されたコードを「写経」していたから、「写経」する方法と「写経」しない方法どちらも経験した。
その経験から言えるのは、

「写経」の効果の有無であれば、効果はある。
しかし、重要なことは「写経」ではない。

ということ。

プログラミング言語の勉強に重要なことは、コードの入力ではなくデバッグだからだ。
「写経」するとタイプミスが発生する。
括弧'('、'['が対応していないとか、変数名をタイポするとか。

入門書に書いてあるよう文法エラーがたくさん発生するし、論理的なエラーも発生する。
そのエラーメッセージを見て、エラーの個所を特定して修正する経験を積むことで、プログラミング言語の記述能力が向上する。
そして、別のコードを書いたときにエラーメッセージを見ると、アタリをつけることができるようになる。

最近は、AIを使用してコーディングするだけでなく、エラーがあるコードの修正にもAIを使用することができるが、この方法はプログラミング言語を習得しているわけではない。
AIを活用すると、プログラミング言語を習得しなくてもプログラミングできるのだから、良い時代になったものだ。

「プログラミング」を「プログラミング言語」と同一視している人は未だ多い。
重要なことは「プログラミング言語」より「プログラミング」を学ぶことだ。


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2024年10月 3日 (木)

VTuber学

VTuber学 
編著者:岡本 健(オカモト タケシ)
    山野弘樹(ヤマノ ヒロキ)
    吉川 慧(ヨシカワ ケイ)
発行所:株式会社 岩波書店

Vtuber

VTuberに関する学術書。
VTuberの歴史、ビジネスモデル、エンターテイメント性、存在論に関する哲学的思考などを網羅している。

VTuberの儒烏風亭らでん氏と哲学研究者山野弘樹氏の対談で知った。

儒烏風亭らでん氏は、これまでの VTuberの主な活動である、歌、ゲーム、雑談の他に学術的な内容を扱っておられる。
自身の専門分野である美術の解説や専門外の分野の識者との対談などの活動で、これまで多くのVTuberがターゲットとしていなかった層の視聴者を増やしている。

この書籍は、哲学研究者山野弘樹氏との3時間に亘る配信の中で紹介された。

定義
この書籍でVTuberのバーチャル美少女ねむ氏のVTuberの定義3要件が紹介されているう。

  1.  アバター活動:アバター技術を利用して,バーチャルキャラクターとして動画配信・ライブ配信・静止画配信等で情報発信活動をすること(後述するように,活動するプラットフォームをYouTubeに限定して語る意味はないと私は考えている)
  2. インタラクティブ性:ライブ配信やSNS(X(旧Twitter)が使われることが多い)等を通じてキャラクターとして視聴者と双方向にコミュニケーションをとること
  3. 自己同一性:キャラクター設定として統一された個性と名前を持って継続的に活動し,中の人(声優)としてではなく,「生きた」バーチャルキャラクターが実際に存在するかのように振る舞うこと

この投稿で「VTuber」は上記↑の定義を使用する。

配信者とモデル(中の人とアバター)
3名の哲学研究者が「VTuberは如何なるものか」についてそれぞれの説を述べておられる。
哲学研究者の諸説で共通している認識は、配信者とモデルは一体であるということ。

キズナアイさん(書籍の表紙の人)を初めて見た時に、配信者(中の人)とモデル(アバター)は分離していると思った。
「アニメのような」とか「初音ミクみた」と言う人は、配信者とモデルは分離している思っているのだろう。

アニメのキャラクタと声優は別の名前と個性で活動しているが、VTuberは統一された個性と名前で活動している。
また、アニメキャラクタの声優は、台本通りに演じているが声優の意思で言葉を発しているわけではなく、アニメのキャラクターに声を操られている存在と見ることができる。

初音ミクはボーカロイドソフトおよびソフトを使用したバーチャルシンガーだ。
一見、歌をメインに活動するVTuber(VSinger)のようだから、VTuberを「初音ミクのような」と感じる。
初音ミクを構成するのは、呼ばれる楽曲を提供する人(ボカロP)と、ダンスなどの動きを担当する(モーションアクター)で構成される。
初音ミクミクは、ボカロPの指示どおり歌い、モーションアクターと同じように踊る。
つまり、初音ミクには意志はなく、ボカロPと、モーションアクターに操られる存在だ。

つまり、アニメキャラクタと声優や、初音ミクとボカロP、モーションアクターは、分離しているから、VTuberとは異なる存在だ。

今後のVTuber
VTuber界隈では6年も活動していれば古参と呼ばれるほど変化が早い界隈だ。
ようやく世間に認知され、一過性の流行りではなくなりつつあるから、哲学的に存在論について議論する価値がある。

昔々、歌手、役者、芸人など表現者は鑑賞者と空間・時間を共有していた。
放送技術の進歩により空間を共有する必要がなくなった。
次に、録音、録画技術の進歩により、時間を共有する必要がなくなった。

初期のVTuberは視聴者と空間・時間を共有しない動画投稿が多かったが、最近VTuberは視聴者と時間を共有する配信が多い。
一方で、奏みみさんや七海うららさんのようにライブの臨場感を志向するVSingerは空間と時間を共有するために、リアルな姿で活動している。
リアルな姿になると、VTuberに対応した設備がない小規模のライブハウスで活動できるメリットもある。

今後VR技術が普及すると、視聴者もアバターとモーションキャプチャを使用してVTuberと同じ空間と時間を共有できるようになる。
VRを使用すると、距離を超えられるから小さいライブハウスでなくても、VTuberのまま臨場感を保ちながらライブができる。

視聴者もアバターとモーションキャプチャを使用して参加するようになると、配信者とモデルは一体化しているのか分離しているのか明らかになるだろう。



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