GIGAスクール構想でChromebookがシェアを拡大する一方でiPadが苦戦している理由 @DIME 2021.05.16
GIGAスクール構想で導入されている端末は、Chromebookが44%、WindowsとiPadがそれぞれ23%くらいらしい。思いの外Chromebookが多い。
ICT業界にいる人は配布されるハードウェアに目を奪われてがちだが、ChromebookかiPadかWindowsかは些細な問題だ。問題は他にたくさんある。
◯結論を先に
大人が、GIGAスクール構想を理解しなければならない。
- 保護者、特にICTに詳しい保護者は教育現場を知る努力をすべきだ。貢献できることが沢山ある。
- 教育者、特にICTに疎い教育関係者は外部の知識を活用する努力をすべき。
- 教育行政に携わる人は、目的とビジョンを、役人言葉でなく平易な言葉で説明する努力をすべき。
◯ハードウェア
GIGAスクール構想の整備は国が全て面倒見てくれるわけではなく、1人あたり4,5000円の補助なので、あとは自治体の負担だ。
国から昨年度中に全員に1台配布するように指示されているので、自治体の財政状況と、児童生徒数で選択肢が限られる。予算と折り合うのはChromebookが多かったということだろう。
◯教育支援ソフト
配布される端末(H/W)に目を奪われてがちだが、ソフトも重要だ。
教師が資料を児童・生徒のPCの表示したり、教師、生徒・児童が情報を共有したり、課題を配布・提出する機能が必要だ。この機能がないと検索専用端末になる。(最初は検索にしか使われないのでは)
◯オフィスソフト
また、今時はオフィス・ソフトも必要だ。
MSOffice(デスクトップ版/オンライン版)にするのか、それとも、google アプリにするのか、iOS付属のアプリにするのかで金額が変わる。自動・生徒全員分だから馬鹿にならない。
現在、社会はMS-Office全盛だからMS-Officeが良いだろうと考えるのは早計だ。教えるべきはWord、PowerPointを使って印刷物を作る技能ではなく問題解決にワープロ・ソフト、プレゼンテーション・ソフトを使う方法だ。
◯後年度負担
さらに、今回の整備は国の補助があるが、リプレース時に補助があるかどうか分からない(国民の関心次第)ことを考えると、初回整備で無理をするとリプレースできなくなるかもしれない。
リプレース時期を延延ばしても子供に4年も5年も使わせるのは無理だろう。と考えると、持ち帰りを許可せず、たくさん制限して使いにくくせざるを得ない。 +_+)
◯回線
回線も問題で、Wifiモデルにすると学校の設備が必要だが、帯域保証すると回線料金が高いのでベストエフォートにせざるを得ない。実際20MBpsくらいしか出ない回線はあってこれを数百人が使うことになる。(授業で使用すればするほど使えなくなる。)
遠隔授業で先生の講義を配信しようとすると家庭の回線環境にに左右される。兄弟姉妹がいて、両親がテレビ会議で使っていたら、従量制や上限がある回線契約ではすべての授業で映像を配信するのは難しい。
LTEモデルにすると校外学習で使えたり、家庭で家族に気兼ねなく使えるのだが、ランニングコストが高い。
先進的な取り組みをしている学校では既に学年単位で1人1台PCを整備した学校があるようだが、GoogleやMS、キャリアに協力してもらっていたようだ。さすがにキャリアは全て面倒見れない。
◯予算
予算の制限があるなら、何を重視するかは自治体(教育委員会)次第だ。ところが、教育委員会には現場を知る人が少ないらしい。いたとしても教師には予算獲得、契約などの役人仕事は難しいだろう。
「将来の日本のために教育は最優先課題」は超正論で若い世代には受け入れられやすい。しかし、高齢者や高齢者率が高い自治体にとっては高齢者福祉政策の方にに関心があるだろう。
だから、トップのリーダシップが必要だ。
環境整備が進んでいるのは教育に力を入れている地方の自治体で、コロナの前から1人1台配布されていたりする。子供が少ないので予算額が少ないから、トップが裁量できる範囲におさまる。自動・生徒の数が多いと選択肢は少なくなる。
Chromebookのシェアが多いのは、予算という制限の中での妥協の産物かもしれない。
◯結論
環境を整備する人、教える人、保護者など、全ての大人に、GIGAスクール構想を理解している人が少ないように思う。子供たちがパソコンを使うことが目的ではないし、授業でICTを使うことが目的でもない、ハードウェアは道具に過ぎない。
ネットを見ていると、手段や道具についての議論が多いようだ。自分が詳しいところについて、行政や教育現場を批判する人は多い。しかし、目的を理解した上での批判でなければ、世の中は変わらない。
- 保護者、特にICTに詳しい保護者は教育現場を知る努力をすべきだ。貢献できることが沢山ある。
- 教育者、特にICTに疎い教育関係者は外部の知識を活用する努力をすべきだ。ICTを使うことでできなかったことができるようになる。
- 教育行政に携わる人は、目的とビジョンを、役人言葉でなく平易な言葉で説明する努力をすべきだ。一般時は役人言葉を理解できない。
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