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2013年1月31日 (木)

コンピュータが仕事を奪う

コンピュータが仕事を奪う 新井紀子 日本経済新聞
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 これまでコンピュータは決められたことを素早く正確に処理すること、情報を記憶し短時間で検索するなど演繹的処理が得意であるとされていたが、記憶容量が増大したことにより、これまで人間でなければ処理できなかった帰納的処理が可能となった。
 大量の情報にタグを付加し学習させ、パターンマッチすることにより確からしい結果を導くことが可能となった。1テラを聞いて十を知る時代だそうだ。

 新井紀子氏は、これからのホワイトカラー(ちょっと古い表現だが)の仕事は上下に二分化されるという。

  • 人間であれば多くの人ができるがコンピュータにとっては難しい仕事
  • 人間の中でも一握りの人々しか行えない、文脈理解・状況判断・モデルの構築・コニュニケーション能力等を駆使することで達成できる仕事

 問題解決のために人間が処理すべき作業とコンピュータが処理すべき作業を考え、適当なツールを選択してコンピュータで処理する方法と、決められたアプリを使うためにデータのコピーや正規化などの前処理とコンピュータの処理結果の整形をする方法では 一見同じように見えるが、前者は知識・技能が必要であり、後者は知識・技能が必要でない。
 ちょっと前までは、知識・技能が{ない|なくなった}者を雇用しておくためにあえて手作業を残すことがあったけど...

 この本を読んで、40年以上前に読んだ星新一の「ちぐはぐな部品」に収められている「神」を思い出した。いずれコンピュータは神をも取って代わる存在になるのだろうか。

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 著者の新井紀子氏は教育者らしくこれからの教育についてもふれている。

 日本の教育が暗記偏重であることは、ゆとり世代に始まったことではなく古くから続いていることである。古くは中国、明治維新後にドイツ、戦後は米国と時と時代をこえて常に外国から学んでおり、先行している者から知識・技術を学ぶには暗記することが最も効率が良かった。
 これからは誰でも高性能のコンピュータが使用できるようになっているのであるから、コンピュータに使われる人ではなくコンピュータを使う人間を育てなければならない。
 そのためには、論理的に考え、それを文章化する能力が必要である。

たしかに、理系・文系に依らず論理的思考が苦手な人が書いた文章は論理的ではない。

 学校教育の数学は手計算に拘る。進学塾の先生に言わせると数学は反復練習だそうだ。正答率を上げるためには、思考能力は重要でなく公式の記憶力と計算速度が必要であり、トレーニング方法は1つの問題を深く考えるより、たくさんの問題を解く方法が効果的なのだそうだ。
 現在の学校教育では理系・文系に分けるけれど、極論すれば、理系とは高校まで数学で落ちこぼれなかった者であろう。しかし、理系といっても論理的思考能力が高いとは限らない。公式が記憶できて計算能力が高ければ何とかなる。一方で数学的な問題の独創的な解法を思いつくけれど、計算能力が低い者が落ちこぼれている可能性はある。

 社会に出ると手計算でなければならないことはほとんどない、、コンピュータを使って仕事ができるようになると、処理速度が必要な部分はコンピュータにやらせて、人間は問題を解くアルゴリズムを考えるという戦略をとることが普通だ。不必要に手作業している者はハッキリ言ってイタイ子だ。

 小学校のとき算数の授業で算盤を習った。担任の先生は、「君たちは社会に出て算盤を使うことはないだろうから電卓を使います。」と、おらく学校にあった唯一の電卓(さすがに手回し計算機ではなかった)で授業をされた。先見の明をお持ちだったと思う。

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 どうしても制限時間内に、問題を解かなくてはならないとしたら数独を選ぶかクロスワード・パズルを選ぶかという問いに対して。数学が得意だった人は数独を選び、苦手だった人はクロスワード・パズルを選ぶそうだ。
数独は必ず解ける解法があるが、クロスワード・パズルはカギに対する単語を知らなければ解くことはできないからである。

 コンピュータが使える人は間違いなく数独を選ぶであろう。数独は虱潰しで解いても今時のパソコンを使うと瞬時に解ける。しかもプログラムは再帰で書ける。
 一方、クロスワード・パズルの解法を考えると、単語の意味を形態素解析したデータベースを用意して、カギを形態素解析し、共起パターン、既知の文字、語長で単語を検索すると解けそうだ。シソーラスが必要かも。(日本語シソーラスは存在するらしい。書籍版\15,000 CD-ROM版\9,975だそうだ。)
 本当にパソコンでクロスワード・パズルを解くプログラムが作れるかも。

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