どうやって社員が会社を変えたのか
どうやって社員が会社を変えたのか 柴田 昌治, 金井 壽宏 日本経済新聞出版社
「なぜ会社は変われないのか」(2013//)はいすゞ自動車と北村三郎氏、柴田昌治氏がモデルの企業小説だが、企業風土の改革に携わった北村三郎氏、柴田昌治氏、稲生武氏がそれぞれの立場から体験を語っている。北村三郎氏は改革の仕掛け人、柴田昌治氏はコンサルタント、稲生武氏は元社長である。
北村三郎氏が学んだという元ソニー厚木工場長の小林茂氏が言う、「PDCAではなくSTPD(See→Think→Plan→Do)」は なるほど である。PDCAは自分自身に適用するなら問題は無いが、組織に適用すると机上の空論(Plan,Check)や押し付け(Do,Action)になりやすい。先ず観察して次に考えてから計画を立て実行することで全員が全てのプロセスにコミットできる。
北村三郎氏は人間観、情報観について、右肩上がりの時代と次の時代に次のように述べておられる。
右肩上がりの時代の人間観
- 自己開示はしない方が良い
- みなと同質な方が良い
- 上司の指示をきちんとこなす人が有能
- まじめなのがよいこと
右肩上がりの時代の情報観
- 情報はお上が持っている
- 情報は文字で伝えるもの
- 情報と機密は同義語である
- 情報は職制を通じて流すもの
創造と自立の21世紀の人間観
- 自己開示はした方が良い
- みなと異質な方が良い
- 上司に影響を与える人が有能
- まじめなの部分があってもよい
創造と自立の21世紀の情報観
- 情報は現場に転がっている
- 情報は膝詰めで伝えるもの
- 競争相手を利する情報だけが機密
- 情報は、それを必要とするネットワークの間で流すもの
ウチは未だ20世紀だ。
稲生武氏は開発部出身の元社長である。
常務時代、若い部下が深夜まで議論して作ったコンセプトを役員会で否定されたときに
「役員の皆さんに賛成していただこうとは思いません。われわれ技術者がわれわれの意見で実行するのです」
と啖呵を切ったり、営業サイドのいすゞトラックの安全性についてマスメディアでPRすべきと意見に対して、
人の命にかかわることを軽々しく宣伝材料にすると、かえって技術者の魂が汚されるような気がした
ので、結局、安全性の宣伝をしなかった。そのために売り込みのチャンスを逃したと批判されても技術者としての意地を通したとか
う~ん格好良すぎる。
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