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2014年1月16日 (木)

技術者になるということ

技術者になるということ 飯野弘之 雄松堂出版
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 NPO法人神田雑学大学の講義録に高田敬輔氏の講演「元気な大学と技術者教育」がある。高田敬輔氏は大手電機メーカを退職後金沢工大で非常勤講師をされていた方で、金沢工大では1年次「技術者入門」という科目が必須だそうだ。この本は「技術者入門」で教科書として使われていると講演の中で紹介されている。

構成は

第1章:技術者になるということ
第2章:これまでとこれからの日本
第3章:研究開発
第4章:個人の自立と技術者の資質
第5章:技術者の倫理
第6章:世界の人々の生活とイノベーション(革新)
第7章:全体のまとめ

「技術者になるということ」では、技術者として働くことの意味、大学で技術を学ぶことの意義
「これまでとこれからの日本」では、義務養育では教えてくれなかった歴史、現状
「技術者の倫理」では、エンジニア、テクノロジスト、テクニシャン(テクノロジストはドラッカーのいうテクノロジストとは異なるようだ。)
についての説明がある。
 技術者を目指している人、技術者になろうとしている人、技術系の職業に就いた人はぜひ読んでほしい。

 エンジニア、テクノロジスト、テクニシャンは、

エンジニア :広範で問題の多い新しい仕事や設計をするる人々
テクノロジスト :製造管理者や専門技術を活用して人々の生活を具体的に豊かにする人々
テクニシャン :開発、製造、施工、保守等の現場において技術者の指示のもとで働く

と定義されていて、その特徴は表のとおりである。

技術関連就業者のタイプ別の特徴
  エンジニア テクノロジスト テクニシャン
問題の種類 稀に起こる複雑な問題 よく起こる類の問題 よく起こる問題で実務範囲
問題解決法 簡単な解が無い 対処法あり 標準の解決法
必要知識レベル 深い工学技術や抽象思考 原理の知識 限定的原理の理解、実務知識
仕事での利害の衝突 工学技術とその他との利害の衝突 一部であり 問題はあるが原則としてなし
使用資源 広範囲な資源(人、物、金、情報) 色々な資源 限られた資源
革新 工学技術の原理の新規な方法での創造的活用 革新的方法で新材料、方法、工程の活用 他に問題を起こさないで限定的技術問題の解決
高等教育の期間 4年以上の認証された教育 3年以上の認証された教育 2年以上の認証された教育
仕事の結果の重大性 問題について重大な結果 おおむね狭い範囲の結果 局部的に重要な結果

 技術系の職業に就いていてもエンジニア、テクノロジスト、テクニシャンについて考えていない・考えたことが無い人が多いのではないだろうか。

 著者の飯野弘之氏がいうように

したがってその前提として第4章で述べた自立した(自立できる)責任感のある個人が求められるわけです。逆に技術に関する仕事はやりたいが、そのような難しい判断や局面に遭遇し、その判断による責任を負いたくないと考える人は、自分の修得技術や技能を使い法令やマニュアルに忠実に従うテクニシャンや技能者の仕事が向いていると思います。しかし、その仕事の範囲が拡大し、管理者になった時は、技術者倫理の勉強と実行が必須になります。になろうとする人は、責任と倫理については学んでおく必要があると思う。

は重要だ。

 IT業界には「デジタル土方」という言葉があるが、自分が目指しているのは、エンジニアかテクノロジストかテクニシャンか技能者なのかについて考えないで職を選んだ結果なのかもしれない。

技術者(エンジニア、テクノロジスト)を目指すならば、責任、倫理、技術の習得について考えなければならない。また、エンジニアをマネジメントする人もまた同じだ。



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