働きやすさ
「働きやすさ」について考えてみた。
「働きやすさ」とは
厚労省の「働きやすい・働き甲斐のある職場づくりサイト」にある「働きやすい・働きがいのある職場づくりに関する調査結果」の「雇用管理制度等の実施と「働きがい」「働きやすさ」との関係」によると
「働きやすさ」は「自己効力感」に加え、「相談できる体制」や「福利厚生」に関する雇用管理がなされた場合に高まる傾向がみられるといえる。
らしく、具体的には
- 【評価処遇・配置】
特に「本人の希望ができるだけ尊重される配置」が実施されている - 【人材育成】
特に「自分の希望に応じ、特定のスキルや知識を学べる研修」「上司以外の決められた先輩担当者(メンター)による相談」を実施されている - 【業務管理・組織管理】
特に「従業員の意見の会社の経営計画への反映」「提案制度などによる従業員の意見の吸い上げ」「会社の経営情報の従業員への開示」を実施されている - 【福利厚生・安全衛生・精神衛生】
特に「保養施設の利用補助など余暇活動の支援」「フィットネスクラブの利用補助など健康づくりのための支援」を実施されている場合、それらが実施されている
らしい。これはアンケートベースだから働く側の意識だ。アンケートはこのページにも説明があるように
中小企業における雇用管理制度の実施状況や、働く従業員の「働きがい」「働きやすさ」に関して実施した調査(企業に対する郵送調査と従業員に対するWEB調査)の調査結果をまとめました。「働きやすい」「働きがいのある」職場づくりを進めていく上で参考にしてください。
(強調は筆者)
アンケートで働く側の意識を調べることは目的でない。言うまでもなく目的は「働きやすい」「働きがいのある」職場を作ることである。これを履き違えると働く側の失望を買ってしまう。
「働きやすい」職場を考えると給与体系やキャリアパスを含めて考える必要があるのだが、問題は「働きやすい」職場改革担当に権限を与えず問題だけ丸投げする輩がいること。働く側は、権限を伴わない改革はポーズだと気がついている。
「働きやすさ」と「働きがい」
厚労省の調査もそうだが「働きやすさ」と「働きがい」は一緒に語られることが多い。
「働きやすい」から「働きがい」があるとか、「働きがい」があるから「働きやすい」というように主従の関係ではなく互いに重要な関係になっているので切り離すことができないのだろう。
「働きやすさ」と「働きがい」の違いが、PRESIDENTの『「働きやすさ」と「働きがい」はどこが違うの』にある。
働きやすさは仕事と職場の再設計を通じて確保し、また働きがいは、正統派の人材マネジメントを通じて確保すること
と結論付けているが、但し書きがある
ただ、この結論に一つだけ注をつけておきたい。それは、おうおうにして、働きがいにしても、働きやすさにしても、企業から従業員に与えられるもののように思われることについてである。確かに、企業や経営者の役割は重要だが、働きがいや働きやすさは、本来決して、与えられるものではない。働きがいや働きやすさの確保は、企業側や現場リーダーだけの責任ではない。働き手の参加がなければ、とても難しいのである。
これは重要だ、身近な例で考えると仕事に追われている人は「働きがい」や「働きやすさ」について考える余裕はないし、経営側に期待もしていない。
経営側は『ちょっと立ち止まって「働きやすさ」と「働きがい」について考えてみようよ』と言わなければならないが、経営側と働く側との信頼関係が必要だ。
「働きやすさを」 表すキーワード
朝日学情ナビにも「成長期態度から企業を探そう 「働きやすさを」 表す6つの成長キーワード」がある。
キーワードは
- [アットホームな社風]
- [チームワーク・団結力がある]
- 「離職率が低く安定」
- 「育児支援制度が整備されている」
- 「ワークライフバランスが重視されている」
- [異動・配置転換の自主申請制度がある]
だそうだ。就職サイトだからだろうか、何か綺麗事のように感じる。
「働きやすさ」改善の取り組みにこのようなキーワードが踊り始めると怪しくなるのかもしれない。
「働きやすさ」の定量的評価
「働きやすさ」改善の取り組みを行うと、それを評価するためには何かの指標(数値)が必要だろう。アンケートは定性的で定量的ではないので、取り組みによる効果が評価できない。
例えば「働きやすさ」も日本地図センターの「『暮らしやすさ』評価スコア」のような定量的評価を考えなければならないと思う。
定量的に評価すれば「がんばりましたo」という経営側の自己満足が減る。
このあたりを働く側は感じ取っていて「また思いつきで何かやるのか。それより超勤払ってよ」と思っているので、経営側の自己満足ではないということを示さなければならないだろう。
「働きやすさ」について考えた
評論はさておき自分の考えた結論は
「働きやすさ」は「報酬を得るためのコスト」に比例する
ということ。具体的には、
- 「報酬」を「金」と考える人にとっては
「楽に高給」である。働いた分だけ給料がもらえる(青天井)でない場合は「楽」な職場が働きやすい。 - 「報酬」を「地位」と考える人にっては
「成果より評価」である。成果を上げた人を正当に評価する仕組みがあれば良いのだが、評価基準を示さないなど不透明な方法で評価が行われていると、経営側に方針に無批判に行動することで評価してくれる職場が働きやすくなる。(目標達成もハイハイ、転勤もハイハイ) - 「報酬」を「生活の充実」と考える人は
「金」より「自由」である。仕事にしても、休暇にしても、自由裁量を与えてくれる、選択肢が多い職場が働きやすい。 - 「報酬」を「自己実現」と考える人は
自分で考えるので、お仕着せの「働きやすさ」など必要ない。
個人が考える「報酬」は多様だから異なる「報酬」全てに対応することは無理だろう。
重要なことは、まず、経営側が譲れない経営理念を示して、経営理念に反する「働きやすさ」はありえないことを説明することから始める必要があると思う。
「働きやすさ」は「経営理念を実現するためのコスト」と同じだと。
個人が考える「報酬」と「経営理念」が近ければ働きやすいし、離れていれば働きにくい。
個人が考える「報酬」は多様だけど「経営理念」と重なる部分は少なからずあるので、重なる部分を広げることが「働きやすく」することだろう。個人が考える「報酬」と「経営理念」が重ならない人は残念だけど転職するしか方法はないと思う。誰でも転職する自由がある。
自分の「働きやすさ」は、歳とともに変わってきたような気がする。この歳、このポジションで感じる「働きやすさ」は経営方針の透明性だ。
経営幹部に対する不信感が募ると「働きにくさ」を強く感じるようになった。
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