技術者のマネジメント(2)
技術者のマネジメントについて、「蕎麦打ち名人としっかり者のおかみさんモデル」を紹介した。
技術者をマネジメントしようとするとすると、技術に関する知識とマネジメント・スキルが必要だ。技術に関する知識も無くマネジメント・スキルもないマネジャは論外として、技術に関する知識もありマネジメントもできるマネジャ(しっかり者のおかみさん)はなかなか見付からない。
たいていは
- 技術に関する知識は無いがマネジメントはできる
- 技術に関する知識は有るがマネジメントはできない
だ。この2つのパターンについて考えてみる
- 技術に関する知識は無いがマネジメントはできる
このタイプのマネジャが本当に困ることは、技術が理解できないことではなく、技術者の力量の評価ができないことである。
マネジメント対象である技術者を自分で評価できないので、与えられた人的リソースが分からない。
成果を数値目標で測ると技術が分からなくても成果は評価できるようになるので、成果主義を取り入れるが、それが原因で魅力的な製品が造れなくなって経営が傾くメーカが見受けられる。 - 技術に関する知識は有るがマネジメントはできない
典型的には技術者上りでマネジャになったタイプ。顧客意識、目的意識が低く局所最適になる。
官僚型の組織では、マネジメントに関する組織的なトレーニングを行わず、マネジメント能力は昇任に考慮しないで、経営層や経営幹部が直接マネジメントするようになる。
後者のパターンについて考えてみると、マネジメントに関する知識は自力で得ることはできるが、知識があったとしても実戦を踏まなければ満足なマネジメントができるようにはならない。これは技術の修得と同じことである。
マネジャとして未熟な期間は組織的なサポートが必要だが、技術者上がりの集団では十分なサポートが受けられない場合が多い。その結果、マネジャの能力のバラつきが大きくなり、
- 技術に関する知識も有り、マネジメントもできる
- 技術に関する知識は有るがマネジメントはできない
という2つのタイプに分かれるのだが、後者の方が多く、これが原因で、負の連鎖が起こり、「技術に関する知識も有り、マネジメントもできる」マネジャが育たない。
「技術に関する知識も無くマネジメントもできない」マネジャは論外と冒頭に書いたが、
「技術に関する知識は無くマネジメントはできる」ように見えるが実はマネジメントではなく管理をしているだけの「管理者」
や
「技術に関する知識は有るがマネジメントはできない」ように見えるが実は今時の技術に付いて行けない「技術者崩れ」
が一定確率で存在するのは事実である。
「技術者崩れ」と呼ばれたくはないので、組織的なサポートが期待できないとしても、まず行動しよう。
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