跡取り娘の経営学
日経ビジネスオンラインの 「跡取り娘」の経営戦略 を連載を書籍化したもの。
NETで大塚家具騒動の記事を読んでいると、現経営者-後継者という切り口より、父-娘という切り口がクローズアップされているように感じた。世の中には娘が事業を継いで成功した例もあり、何が違うのだろうかと疑問を持ったのが始まり。
以前、ホッピービバレッジ 3代目社長 石渡美奈氏 の著書
社長が変われば、会社は変わる! 石渡美奈 CCCメディアハウス
を読んだことがある。
最近はテレビなどで取り上げられた、
ダイヤ精器 2代目社長 諏訪貴子氏の著書「町工場の娘 諏訪貴子 日経BP」や石坂産業 2代目社長 石坂典子氏の著書「絶体絶命でも世界一愛される会社に変える! 石坂典子 ダイヤモンド社 」も読んでみた。
日経ビジネスオンラインの「跡取り娘」の経営戦略 で
タケダワイナリー 5代目社長 岸平典子氏 の記事
http://business.nikkeibp.co.jp/article/skillup/20080718/165807/
http://business.nikkeibp.co.jp/article/skillup/20080804/167096/
を読んだところで、「跡取り娘」の経営戦略が書籍化されていることに気が付いた。
勿論ここで取り上げられているのは成功例だから、世の中には失敗例も多くあるのだろう。
著者の河内桃子氏のまとめを読んで気が付いた。
ここで紹介されている女性達は大塚家具の大塚久美子氏を含めて同じ年代である。
先代の急逝を受けて事業を継いだ方ばかりではなく、先代が社長、会長として会社を経営しているうちに会社に入った方も多い。
共通しているのは、先代(父親)と衝突しながら最終的には、先代(父親)が娘に事業を任したということである。
父-息子の関係では息子は偉大な父を超えようとして様々な葛藤があり、息子が事業を継がず家を出ることがあるという。
一方、父-娘の関係では娘は偉大な父を超えようとはせず事業を継続することを第一に考えているという。
世代によるギャップは息子も娘も同じように存在するが、娘が着実に成果を上げると、父親も娘の経営者としての能力を認め自分の会社を任せようと思うのだろう。
大塚家具の騒動を、高級志向か低価格志向かなどの経営方針の違と捉える記事は多いのだが、事業継承に成功した例でも
- 経営方針の違いによる衝突は発生している
- 古参社員と社長の娘との関係に起因する問題も発生している
- 娘に外資企業勤務経験があるとか、海外勤務経験があるとか、MBAを取得している例もある
ことを考えると、父娘騒動の根本的な問題は他にあるのではないのではないか。
大塚家具の場合は父-息子の関係に似ている。
娘が父を超えようとし、父は創業者として娘に超えられたくないと思うことから軋轢が発生しているのではないか。
軋轢が致命的な衝突になった場合に、息子の場合は、家を出る出ないの問題になるが、事業継承に成功した娘の場合は致命的な衝突にならないように、うまく回避しているという。
つまり、同族企業では、いかにして先代に納得して退いていただくかが事業継承のカギだが、大塚家具の場合それにしくじってしまったということだろう。
上場企業はマスゴミに面白おかしく書きたてられるから騒動と捉えられるというハンデもある。
結局ブランドを棄損しただけの感があるなあ。
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大塚家具騒動に関する記事では、
大塚家具の対立、見逃された「3つの視点」
-決算書で読み解く父娘それぞれの経営哲学-
が分かりやすかった。
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