技術を武器にする経営 <日本企業に必要なMOTとは何か>
技術を武器にする経営 <日本企業に必要なMOTとは何か>
伊丹 敬之、
宮永 博史
日本経済新聞出版社
「MOT(Manage Of Technology)」を目にすることがある。「技術経営」と言えばいいものを、カッコ付けてる感じはいなめないなあ。
他人のブレークスルーをパクって参考にして改良して安く売るというビジネスモデルはとうに破綻している。ようやくイノベーションをマネジメントするための考え方や方法を体系的に教えるようになったのは良いことだと思う。
伊丹 敬之氏は「技術経営」(MOT)を行う者は、CTOであり、研究所長であり、プロジェクトリーダーであり、現場の技術者一人一人であるという。
つまり、技術に携わる者は全てMOTが必要だということだ。
技術経営者になるためにはタコツボに引きこもってはならないという。
担当者としての優れた業績をあげた技術者が昇進してリーダーになる。ところが、リーダーになった技術者は、リーダーとしての役割を認識せずに、つまり技術外交などの必要性はまったく理解せずに、担当者時代に成功した仕事のやり方をそのまま踏襲してしまう。
リーダーに対する社内教育もせいぜいプロジェクトマネジメントまでで、おそらく技術外交という科目は存在しないであろう。過去に技術外交を実践してきた優れたリーダーたちも、技術外交という言葉を持ち合わせていないために、後輩たちにその真髄をうまく伝えることができない。だから、技術外交が組織として蓄積されにくいのである。
-略-
優秀な技術者であっても、三つのタコツボに引きこもったままで、マネジメントの世界に上手に脱皮できないと、その結末は悲惨である。もちろん、タコツボから出ただけですぐにマネジメントを上手に行えるわけではない。しかし、まずはタコツボから出ないことには、一流の技術経営者となる第一歩を踏み出せない。そのためには、自分がタコツボに(いるかいないかではなくて)いるとはっきり認識することだろう。
三つのタコツボとは、「学会」、「専門分野」、「開発プロジェクト」だ。
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技術力とマネジメント能力を兼ね備えたマネジャは極わずかであると以前書いた。(技術者とマネジメント)
技術力の無い技術者はそもそも使えない技術者だが、技術者として独り立ちした後も、タコツボに引きこもるため、技術力を持ったマネジジャになれないのだろう。
「マネジメント」は汎用的な概念だから誰でも知識を得ることはできるが、「技術者のマネジメント」は「マネジメント」を技術者を対象に実装しなくてはならない。
実装の段階で技術や技術者の知識が必要となる。マネジメント・チームを作って役割を分担するならばマネジメント対象の技術や技術者を知らなくても可能かもしれないが、現場のマネジャのように1人で部下の技術者をマネジメントしなくてはならない場合には、技術や技術者に対する理解が必要だ。
成果に対する貢献度の評価ができなければ、マネジメント対象の技術者を評価できない。
評価できないマネジャは貢献度に依らず評価を一律にしたり、長時間作業した者を高く評価したりする。 元技術者なら誰でも技術者の評価ができるわけではない。 正当に評価されない技術者は、やりがいという自己満足を求めるようになり、 タコツボに引きこもるようになる。
そして、タコツボに引きこもった技術者が成果をあげてマネジャになり、タコツボへの引きこもりを生むという悪循環が生まれる。
技術や技術者のマネジメントができないマネジャが、技術者をタコツボに押し込めようとするケースもある。マネジャ自身がタコツボに引きこもっているので、マネジメント対象の技術者がタコツボから出るのが心配なのである。
- タコツボを出よう。
- タコツボを出るための方法を考えよう。
- タコツボに引きこもらない仕掛けを考えよう。
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