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2015年8月 2日 (日)

情報共有(4) <ありがちなケース1>

 階層的な組織の情報共有について考える。

ありがちな2つのモデルと理想のモデルを考えてみる。
(左:ありがちなモデル1 中:ありがちなモデル2 右:理想のモデル)

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前提

  • 情報とは
    「判断を下したり行動を起こしたりするために必要な、種々の媒体を介しての知識」(広辞苑に倣う)
  • なぜ「情報共有」が必要か?
    組織内の「情報」を有効利用して、より多くの成果をあげるため。

簡単に言えば、「成果を上げるために、組織内の知識再利用すること」である。

モデル1

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 このモデルは、「情報共有」について深く考えていない階層型の組織に良くある情報の流れである。このモデルにおいて上位階層、下位階層の立場から考えてみる。

上位階層の立場では

 上位階層は下位階層に対して「指示・通達」し、下位階層から上位階層に「報告」する。
このとき、下位階層1から上位階層に対する「報告」は上位階層にとっては「情報」だが、同列の下位階層2、下位階層3にとっては「情報」ではないことが多い。

 「報告」は上位階層が下位階層を管理するためにを利用するための重要な「情報」である。 「報告」の主目的は組織管理だから、下位階層が共通して利用できる情報の「報告」を求めていないことが多いし、集めた情報を集積・分別して、下位階層で利用しようというモチベーションは低い。

 下位階層1は他の下位階層2や下位階層3が利用できるであろう「情報」を上位階層に「報告」することもできる。

 しかし、「指示・通達」&「報告」は階層組織の管理のために使用しているシステムであるから、「報告」は自組織の評価が上がるように「選択した情報」になる。少なくとも自組織の評価があがる方向にバイアスがかかっているのが普通である。 端的に言えば、良くないことは割り引いてあるし、良いことは盛ってある。

 つまり、下位階層からの「報告」は、他の下位階層の活動には利用できないことが多い。

下位階層の立場では

 このモデルでは、下位階層には上位階層からの「指示・通達」しか来ないので、下位階層が欲しい情報は、自ら探さなくてはならない。 問題は「情報」が集約されていないことである。

 上位階層への問い合わせは、正規のチャネルでは困難なことが多い。(主に心理的障壁)
下位階層は上位階層に集約した再利用可能な「情報」があると期待しているが、このモデルで上位階層が集めている「情報」は上位階層が利用するための情報だから、下位階層が再利用できる「情報」は少ない。

 同じ階層への問い合わせも、正規のチャネルでは困難なことが多い(縦割りの障壁)ので、個人的なチャネルを利用した「情報」の収集となることが多く、属人的になりやすい。

 定常業務が大半を占める(10年前も20年前も同じ仕事をしてるような)部門の場合には、生き字引的な特定の個人を通じて細々と「情報共有」しているともいえる。

 下位階層にとっては「情報」収集のコストが高いので、組織的な「情報共有」の要望が出てくるが、「情報」は文書化されていないことも多く、「情報」は人の記憶にあったり、暗黙知であることも多い。

 見落としがちなのは、「情報共有」を言う人の真意が「オレは情報出さないけど、オレに情報をよこせ」だったりすること。

図のモデルの問題点は

  1. 組織に「情報共有」の意識が無い。
  2. 「情報」が流通し難い形態である。
  3. 「情報」が分散している。

であり、誰かが「情報共有が必要」と騒いでいる段階だ。

 問題点の2と3、「情報の集約と流通」はITを利用すると安価に解決できそうだ。ただし、情シス部門が障壁にならなければ!

 厄介なのは、問題点1「情報共有の意識」だ。経験では、せっかく「情報共有」が必要だと気がついた人も「情報共有の意識」を考えないで失敗することが多い。(つい最近も...)

 ナレッジ・マネジメントと大上段に構える必要はなくて、なぜ「情報共有」が必要か考えればよいと思う。

結論

 組織管理のための仕組みを使用しての「情報共有」は極めて困難。

ありがちなモデル2 につづく


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