情報共有(6) <理想的なケース>
階層的な組織の情報共有について考える。
ありがちな2つのモデルと理想のモデルを考えてみる。
(左:ありがちなモデル1 中:ありがちなモデル2 右:理想のモデル)
前提
- 情報とは
「判断を下したり行動を起こしたりするために必要な、種々の媒体を介しての知識」(広辞苑に倣う) - なぜ「情報共有」が必要か?
組織内の「情報」を有効利用して、より多くの成果をあげるため。
簡単に言えば、「成果を上げるために、組織内の知識再利用すること」である。
理想的なモデル
ありがちなモデル1、ありがちなモデル2では「情報共有」は困難である。そして、最後にこのモデルに行き着く。
シンプルに「情報」を持っている者が「情報」を提供し、必要な組織がその「情報」を利用する。このモデルでは、上位階層、下位階層の区分は組織管理のため存在するが、「情報共有」に上位、下位の区別は無い。つまり、全ての組織が情報を利用する権利を有し、情報提供の義務を負う。実にシンプル。
実際は
残念なことに、このモデルは階層的な組織とはマッチしない。マネジャや管理者はこのモデルを構築できないのだ。
マネジャや管理者の存在は組織構造が前提だから、彼らが階層構造に依らない情報共有構造を積極的に構築するのは階層的な組織の否定に繋がる。そして、階層的な組織構造を否定するのは、自分のポジションを否定することに繋がる。
一方、現場レベルで「情報共有」の意識がある者の間ではこのモデルでの運用が可能だが、非公式感(アングラ感)が拭えない。現場レベルでも階層型の組織を意識していて、情報は、ありがちなモデル1のルートでなければ流通できないと思っているからだ。
また、「人の褌で相撲を取る」輩はいるので、このモデルが成立するか否かは、その組織のモラルにかかっている。人の褌で人を出し抜こうとする風土、その風潮を良しとする風土がある組織でも無理である。つまり、目先の報酬にとらわれる組織では無理である。
その他にも問題を挙げればきりがない...
図のモデルの問題は
- 階層的な組織の管理者はフラットな構造を作ることに心理的障壁があること
- 現場レベルで実現すると非公式感があるから情報の提供に心理的障壁があること
- 情報を提供した者にメリットがないこと
である。
具体的な行動を起こさなければ問題は解決しないのだが、簡単に解決できそうにない問題にたどり着いてしまった。(思考が発散気味になっている。)
しかし、諦めているわけではない。
(たぶんつづく)
- なぜ日本企業では情報共有が進まないのか(2014/05/01)
- 情報共有(2014/05/05)
- 情報共有(2) 何を共有するのか?なぜ共有するのか?(2014/05/11)
- 情報共有(3) <どうやって共有するのか>(2015/07/31)
- 情報共有(4) <ありがちなケース1>(2015/08/02)
- 情報共有(5) <ありがちなケース2>(2015/08/04)
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