人材育成 <~させるとか信賞必罰は胡散臭い>
人材育成を語るときに、使役表現(~させる)と外的動機付け(信賞必罰)を使うと何故か胡散臭い。「~させる」と信賞必罰を使わないで語ると麗しい解決策は語れないのだが、胡散臭さは減り、まじめに考えました感は増える。
させる表現
「させる表現」を使う人は、「自己啓発させる」とか「修得させる」などが、人材育成の重要な部分を占めていたりする。
「させる表現」を使う人が人材育成する場合には、育成される人に何らかの行為を行わせなければならない。育成される人が他人の命令に従うのが好きならよいが、他人の命令に従うのが嫌いな人の人材育成できないことになる。(σ^^)みたいなヒネクレものは育成してもらえない。構わないけど)
動機付け
人の成長には動機付けが重要だ。
人は、詳しく知りたい、修得したいと思えば成長するものだ。しかし、環境が同じであっても、知ろうとしない、修得しようとしなければ成長することはない。
つまり、人の成長を促すのは内的動機付けが重要だ。
外的動機付けしか知らない人がいるようで、
人の成長でも外的動機付けが有効だと思っている人がいて、この人たちは決まって「信賞必罰」と言う。
成長した人に報償(アメ)を与え、成長しない人には罰(ムチ)を与えるというものだ。
人間は現金なもので、信賞必罰の大義の下に人に鞭を振るうことはできるけど、自分が鞭を振るわれるのは耐え難いと思うものだけど。
知識・技能の、習得、修得
基本的なレベルの知識・技能の習得は教育、訓練の方が効率が良いのだが、更に上のレベルの知識・技能の修得は学習、修行が必要である。
「教育・訓練」と「学習・修行」との違いは「教育・訓練」が他動的であり、「学習・修行」は自動的であるということ。
つまり教育・訓練は外的動機付けにより「無理やりやらせる」ことが可能なのに対して、学習・修行は内的動機付けにより「自らやる」という点で大きく異なる。
人材育成という切り口で考えると、教育・訓練は必要である。必ず持っておかなければならない知識・技能があるからだ。学校教育に例えるなら例えるなら義務教育である。
このレベルまで教育・訓練すると、指示どおり仕事ができるようになるが、一人前とはいえない。 自ら考え、自分で判断して仕事ができるようになるためには、更に上のレベルの知識・技能を修得しなければならない。しかし、上のレベルの知識・技能の習得は教育・訓練では困難で、自ら学習・修行して修得しなければならない。
高い知識・技術を持っている人に「あなたの持っている高い技術はどうやって身に付けたの?」と訊ねてみるとよい。「自分で勉強しました」と言うはずだ。
「○○さんに教えてもらいました」と言う人の知識・技術は大したことはない。
人材育成できる人
業績だけを評価して昇任させたり、知識・技能だけを評価して教育担当にしたりしがちだ。 しかし、人材育成を語るときに、使役表現(~させる)と外的動機付け(信賞必罰)を使う人は、人材育成のごく一部しか考えていない。ので、このような人がマネジャがになると、自分以上の知識・技術を持った人を育てられないのである。
つまり、
業績だけ評価して昇任させると、人が育たない。
知識・技能だけを評価して教育・訓練担当にすると、人が育たない。
ということだ。
自分以上の知識・技術を持った人を育てなければならないと考える人は、必然的に内的動機付けを考える。内的動機付けの方法は外的動機付けの方法に比べて明確ではないし、外的動機付けしか知らない人にとっては異次元の思考だけど、人材育成について深く考えていることは分かる。
人材育成できる人を探そうとするならば、
人材育成を語るときに、使役表現(~させる)と外的動機付け(信賞必罰)を使わない人
は、1つの指標となるのではないか。
なぜマネージメントは壁につきあたるのか:(2012/06/14)
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