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2015年10月27日 (火)

私たち「ユニクロ154番店」で働いていました

私たち「ユニクロ154番店」で働いていました。 大宮冬洋 ぱる出版

154

 ひさびさにBookoffに行き、あてもなく見て回っていたら目に付いたので買ってきた。

 この本が発行された2013年は「ブラック企業」が流行語大賞になった年で、ユニクロや和民が叩かれていたと記憶している。

 著者の大宮冬洋氏はこの本を書く10年前にユニクロを1年足らずでを退社している。10年が経過しているとはいえ、気持ちが整理できていない部分はあるようだ。もっと、淡々と過去を振り返ったノンフィクションかと思ったら、そうではないようだ。

 大宮冬洋氏の結構辛辣な記事が東洋経済にある。(ユニクロ社員が不幸になる”合理的な”理由 スタッフの足跡をたどって見えたもの)

この本の、

「やる気が空回ってしまうダメ社員でも、 一定の居場所が与えられるべきだと思う。 それが出来ない会社は、どんなに利益を上げていても、人間の組織としての資格がない」

安くて便利なものをいち早く提供する会社は、拡大競争には一時的に勝ち残るだろう。
でも、誰からも愛されない。真の危機を迎えたとき、自分の利益を犠牲にしてでも会社を救おうとする人はいない。「合理的」な判断をして逃げ出すだろう。それは、その会社が誰も愛してこなかった裏返しなのだ。

を読むと、何かスッキリしない。

 これらの意見は大宮冬洋氏の価値観だ。当然、ユニクロ(柳井正)の価値観とは大きく異なる。大宮冬洋氏とも柳井正氏とも関係がない自分にとってはドッチもドッチなのだ。

 スッキリしない人は他にもいるようだ。(『私たち「ユニクロ154番店」で働いていました』読了した)

ミスマッチ

 大宮冬洋氏とユニクロとの関係は、会社が求める人材と、社員が会社に求めることのミスマッチの問題だと思う。

 IT業界には「プログラマ35歳定年説」がある。若い頃はミスマッチを体力ややる気と根性でカバーするのだが、ミスマッチが顕在化して仕事を続けられなくなるのがプログラマでは35歳くらいだということだ。

このようようなミスマッチに由来する問題は多くの職場にある。ウチにもある(40歳限界説(2014/06/11))

 ユニクロではミスマッチが顕在化し仕事が続けられなくなるのが20代のうちにやって来るということだろう。

 ポジティブに考えればリスタートは早いほうが良いと思う。

 抜き差しならなくなって、ミスマッチが顕在化すると辛い、仕事が苦役以外の何物でもない状態になり、仕事の効率が下がる。当然、社員にとっても、会社にとっても不幸だ。

 そして、最低限のことだけする人や最低限のこともしない人が仕方なく残るとその組織は活力がなくなる。

職場の雰囲気

 筆者の大宮冬洋氏によると、ユニクロ町田店は職場の雰囲気が良かったようだ。

 インタビューで雰囲気が悪い別の店舗の様子が語られている。極端に売り上げ(利益)を重視する職場では雰囲気も悪くなるのが普通だ。

 単にコミュニケーションが良いというだけでは、職場の雰囲気は良くならない。

なぜユニクロ町田店は雰囲気が良かったのだろうか?考えてみた。

 ユニクロは、正社員、準社員、バイト・パートという区分があるようだ。
正社員は利益至上という会社の価値観ありきで働かざるを得ない。自分の仕事に対する価値観と会社の価値観との距離があったとしても、会社から正社員として利益を上げる責任を与えられるので、会社の価値観を無視することができない。

 一方、準社員やバイト・パート(非正社員)は会社の価値観から距離をとることができる。そして価値観が近い非正社員が揃い、コミュニケーションが良好な場合には、雰囲気が良くなるのではないか。

 店長の締め付けがキツイ場合のように、非正社員が会社の価値観を強要されると、当然職場が殺伐としてくるので雰囲気は悪くなり、ブラック企業と呼ばれるようになる。 また、非正社員それぞれの価値観が近ければ良いというものではない。会社にとって利益が得られない店舗は整理対象になるからだ。

 この本を読むと、ユニクロ町田店にはスキルの高い非正社員がいたことが分かる。これが、会社の価値観と非正規社員の価値観が離れていても職場の雰囲気が良かった原因ではないだろうか。

 会社は非正社員のスキルにより利益を得る。非正社員はスキルを提供して高い時給を得る。 つまり、双方の価値観の相違は問題にならなかったのではないだろうか。

 これは相当微妙なバランスが必要だ。
正社員が会社の価値観を非正社員に強制したり、非正社員のスキルが低く利益が出ない場合は成立しないバランスだ。

 そして、スキルをもった非正社員が「働きがい」や「働くことの意味」より「時給」優先していることが絶対条件だから長く続かない。少なくとも、恒常的にこのバランスがとれる職場は無いのではないだろうか。

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