働きやすい職場
働きやすい職場の要因
働きやすい職場の要因はいろいろ考えられる。
のようなモデルを考えてみた。
主要因は
- 価値観
- コミュニケーション
- 成果
である。
人は「価値観」「コミュニケーション」「成果」のバランスを取りながら仕事をしている。このバランスが職場の雰囲気とか空気と呼ばれるものだろう。
これらの要因は相互に影響を与えるので、働きやすい職場にするために、どれか1つを改善すればよいというものではない。
例えば、
仕事に対する価値観を重視しても、メンバー間のコミュニケーションが取れなかったり、成果があがらない場合には、働きやすいとは言えない。
また、コミュニケーションは良好であっても、仕事の価値観が曖昧だったり、成果があがらない場合も働きやすいとは言えないだろう。
同様に、成果あがっていても、仕事に価値を感じていなかったり、コミニュケーションが取れず孤立している場合も同様だ。
つまり、「価値観」「コミュニケーション」「成果」のバランスををどう取るかが問題である。
そして、バランスには働く者のバランスと経営する側のバランスがあり相互の関係を考えなければならない。
組織にとって「コミュニケーション」は価値観を共有するための手段や、成果をあげるための補助と考えることもある。 しかし、組織が複数の個人の集合であることを考えるなら、個人間のコミュニケーションは不可欠であることは言うまでもない。
「コミュニケーション」を「情報共有」と言い換えれば、組織にとって不可欠であることがよく分かる。
つまり、「コミュニケーション」は「成果」「価値観」と共にバランスをとるべき要素である。
「職場」は、会社や事業所、店舗、部、課、係であり、規模も形態も様々だ。
同様に「経営側」は、社長や所長、店長、部長、課長、係長である。
「個人」「従業員」は社員や従業員、バイト・パート、部下である。
バランス点
経営側にとって成果は最も重要である。「成果」がなければその組織の存在意義がないし、その組織が継続しない。極端な成果主義の組織ではメンバー間の「コミュニケーション」さえも機制される。
したがって、経営側のバランス点は「成果」に寄ることが多い。
一方、従業員が重要視する項目は多様だ、給与、肩書等の成果を重視する者、職場で孤立しないようにコミュニケーションを重視する者、使命や働きがいなど働くことの意義を重視する者がいる。従業員それぞれが優先する要因は異なる。
また、従業員は、正規雇用者と非正規雇用者でも異なるようだ。
正社員は経営側からの要求が強いから「成果」側に寄る。特に、組織の中でポストが上がるほどこの傾向は強い。
一方、バイトやパートで働いている人の話を聞くと、非正規雇用者が重視するのは時給と「コミュニケーション」(孤立しないこと)であることが多いようだ。
バイトやパートにとって給与は「成果」ではない。バイトやパートの時給が一定である場合、組織の成果を上げることは、自身の時給を上げることに直結しない。 しいて言うなら組織の成果とバイト・パートの成果は異なるということである。
バイト・パートの成果は、給料が成果とリンクしない年功序列型の企業や公務員にも適用できる。
したがって、従業員側のバランス点は従業員によって異なる。
働きやすさ
経営側にしても、従業員側にしても、どこかでバランスを取って働いているので、バランス点が存在する。そして、経営側のバランス点と雇用者それぞれのバランス点との距離の総和がその職場の働きやすさではないだろうか。
経営側のバランス点は1点だが、従業員側のバランス点は従業員の数だけ存在するので、これらのバランス点を一致させることは極めて困難である。
働きやすい職場
働きやすい職場は、経営側のバランス点と従業員それぞれのバランス点の距離が近い職場であろう。
従業員のバランス点は複数存在するので、従業員全員のバランス点を経営側のバランス点に近づけるすることは困難である。つまり、「働きやすい職場」が簡単に実現できないといいうことだ。
バランス点の距離を縮める方法
働きやすい職場にするために、経営側と従業員側のバランス点の距離を縮める方法を考えてみる。
- 経営側のバランス点を移動させる
経営側のバランス点を移動させるためには、経営トップや経営側に近い者の判断が必要である。職場において権限を持つマネジャであれば、その職場のバランス点を移動させることもできるが、マネジャに権限が与えられていない場合には、経営側のバランス点を、その職場のバランス点にするしか選択肢はない。
- 従業員のバランス点を移動させる
従業員個人のバランス点を経営側のバランス点に近づけるためには、直接従業員個人に働きかける方法が簡単だ。
例えば、コミュニケーションを活発にするために、挨拶をしたり、飲み会を企画したり、価値観を近づけるために、毎朝社訓を斉唱したりだ。
しかし、考えなく、これらを強制するだけでは、決してバランス点は近づかない。
経営側は「成果」寄りであることは先に述べた。
経営側が考える「成果」を従業員に与えて、バランス点を引き寄せる方法もある。ニンジンをぶら下げる方法だ。価値観が柔軟な(^^;者はなびくが、強固な価値観を持った者の距離は縮まらず、むしろ離れていく。
バランス点の距離を縮める人
バランス点を近づけるための活動は、多くの場合、経営側のマネジャが行うことになるが、従業員側のリーダーが行うこともできる。従業員側のリーダーがリーダーシップを発揮した方が良い場合も多い。
少数の正社員と多数のバイト・パートで構成されている職場は多い。(小売や飲食店)
正社員は経営側の要求を強く受けるので、経営側のバランス点に近づこうとする。一方で、バイト・パートの中にリーダーシップを持った者がいる場合には、リーダーが示したバランス点に集まることができる。
この場合、経営側のバランス点とバイト・パートのバランス点には距離があるのだが、経営側の利益とバイト・パートの時給の利害が一致する場合には、働きやすい職場になることがある。同床異夢だけど。
バイト上がりの店長がいるような職場は経営側とバイト・パートのバランス点の距離が近いのだろう。
働きにくい職場
経営側のバランス点と従業員のバラン点が離れている
経営側のバランス点と従業員のバラン点が離れると働きにくい職場になる。
職場がこのような状態になると、成果があがらなくなる(売れなくなる、儲からなくなる、評価されなくなる)ので経営側は、働きにくい職場になっていることを容易に発見できる。(はずだが...)
経営側が発見できない(働きにくさが改善されない)場合、その職場はかなりヤバい。
働きにくい職場では、単に働きにくいだけでなく従業員は経営側からバランス点の是正を求められ、場合によっては教育され、叱責され、さらには懲戒処分を受けることもある。
これで、是正されることもあるが、やり方によっては、ますます働きにくくなる。
経営側のバランス点が移動が速い
経営側のバランス点が移動が速い場合、働きにくい職場になる。
良心的な従業員は経営側のバランス点に近づこうとするものだが、経営側のバランス点の変化が速いと従業員側は追いつけない。
組織を取り巻く状況は日々変化しているわけだから、経営側のバランス点が変わること悪いことではなく、むしろ、変わらない方が危うい。しかし速すぎてはいけない。
経営側のバランス点の変化が速すぎると、従業員は経営側のバランス点を追いかけないようになり、別のバランス点に集まる。
つまり、ダブルスタンダードができて、組織が衰退するきっかけになる。
働きやすい職場にする
経営側にいるマネジャが、自らの職場を働きやすくする方法について考える。
- 経営側のバランス点が離れた者を雇用しない
簡単な方法だ。事業所や部署(課・係)を考えると、バランス点の離れた者を他の部署に異動させ、バランス点の近い者を自部署に異動させる。
自部署においてバランス点が離れていても、他の部署では経営側のバランス点に近いこともある。適材適所が必要だ。
- 経営側のバランス点を中央に近づける
バランス点が離れた者を簡単に異動できない場合には、経営側のバランス点を中央に近づけることで距離を縮めることができる。
経営側のバランス点が中央に近づくと、従業員は経営側のバランス点に近づきやすくなる。
この方法は、一見「成果」から離れるので、経営側にとっては勇気のいる決断だ。働きやすい職場にして、尚且つ「成果」をあげるという強い意思が必要だ。
- 雇用側のバランス点を経営側のバランス点に近づける
従業員の教育が重要とか、社員教育に金をかけているという経営者はこの考え方だろうか。
従業員側にとっては近づける距離には限度があるので、まず、経営側は従業員が近づける距離にバランス点を設定しなければならない。
そうでなければ、○○研修は地獄の特訓と言われるようになる。地獄の特訓はブラック企業の代名詞だ。
経営側はバランス点を示しているか
ここまでは、経営側は合理的な判断を行うことを前提だ。
その前に経営側が確認しておかなければならないことは、そもそも、「経営側はバランス点を示しているか」である。
経営側のバランス点が示されないと、経営側と従業員のバランス点間の距離を測ることができないから、従業員が経営側のバランス点に近づくこともできない、経営側であるマネジャもバランス点間の距離を縮める活動ができない。
経営側がバランス点を示すことができない組織の特徴は
- 組織の「成果」が明確になっていない
盲目的に仕事をさせて、その結果を適当にいじって御都合主義で成果にしていると、従業員は自ら動こうとせず指示されたことしかやらなくなる。当然の結果だ。
「成果」が示されていないのだから、良かれと思って行動したことが「損失」になるかもしれない。リスクを負わず「何もしないことがベスト」の組織だ。
- 組織に共通した価値観が無い
組織ののバランス点が大きく変わることなく続くと、それは組織の風土や文化になる。一方、働きにくいバランス点で変わることなく続くと、悪しき風土、悪しき文化になり、変えることが困難になる。
マネジャのバランス点により組織のバランス点が動くことはある。むしろ、動かなければ環境に対応できなず、硬直した組織になる。 とはいえ、マネジャが変わるたびに、バランス点が変わると、組織風土や組織の文化が形成されない。風土や文化のない組織は刹那的だ。
- コミュニケーション能力に著しい欠陥がある者をマネジャにする
働きやすい職場に「コミュニケーション」は重要だ。にもかかわらず、コミュニケーション能力に欠陥がある者をマネジャに据えるのは、経営側の判断が、著しくバランスを欠いている。
経験則では、コミュニケーション能力に欠陥がある者をマネジャにすると、パワハラが起こりやすい。個室が与えられているマネジャが、個室から出たとたんに私語や笑い声が消えたら危機的状況だ。
従業員に経営理念やビジョンを語らない経営トップも立派なコミュ障だ。このようなトップになると部門最適になりやすく、部署内の雰囲気は良いが、働きにくい職場になる。
マネジャがとるべき行動
働きやすい職場にするためにマネジャが取るべき行動は
- 経営側のバランス点から自所属のバランス点を決めること
- 経営側のバランス点と自所属のバランス点を部下に示すこと
- 部下のバランス点が自所属のバランス点に近づくように行動すること
- 自所属のバランス点からあまりに離れた点にいる部下は適所に異動させること
ではないだろうか。
(自所属のバランス点からあまりにも離れた上司も異動できればベストだ!)
« 私たち「ユニクロ154番店」で働いていました | トップページ | 気楽にまじめな話 <懲りずにオフサイトミーティング> »
「よしなしごと」カテゴリの記事
- コロナワクチン予約サイト(2022.04.30)
- 子供とネットワーク社会での問題解決 2題(2022.02.24)
- スマホ用拡大鏡(2022.01.28)
- 個人的な能力でサービスを提供してはならないのか(2021.10.27)
- デジタル庁に期待?!(2021.10.14)
« 私たち「ユニクロ154番店」で働いていました | トップページ | 気楽にまじめな話 <懲りずにオフサイトミーティング> »
コメント