技術力の低下 -今始まったわけじゃない-
技術力の低下を危惧する人が多い。最近もエライ人が言っていたが今更感がある。
組織の技術力は、技術者の教育・訓練だけではなく、採用やキャリアパスを含めて考えてはじめて向上、維持できるものだ。
なぜ技術力の低下が危惧されるようになったかというと、
- 技術者になろうとする者の採用が減った
- OJTという放ったらかし
- 技術者のキャリアパスがない
ということだけれど、昨日今日始まったことではない。10年以上前からこうなることは懸念されていたのに、問題を先送りしてきた結果だ。
いまさら、エライ人が「全員が○○できるようにせよ」などと号令をかけても、すぐにできるようになるものではないだろう。
技術は10年スパンで考えなければならない。そして、失った技術を取り戻すには20年が必要だ、技術を獲得するのに10年それを次世代に伝えるのに10年が必要だから、ICT業界では技術を失うと取り戻すことはできないだろう。
閑話休題
最近気が付いたのは、 若い人が平気で活線で作業すること。
ウチの事業はICTなので技術分野の幅は広い。高圧作業のように命にかかわることはないのだが、高圧であろうと、弱電であろうと、可能な限り活線作業を避けるのは基礎の基礎である。
現場は↓のようになっているのだろう。(Yahoo知恵袋)
電気工事の「活線作業」についてお聞きします。
ベストアンサーさんの
- 略 -
きつい良い方ですが、必要な知識を得てから
作業を続けてください。
聞けば済むという程度の話ではありません。
は正しいと思う。
ウチは昔でいう強電はではなく、弱電なのだが、よほどの事情がない限り活線作業しないようにというのは教えられたし、身をもって体験もした。
活線挿抜できる機器が増えてきたこともあるが、可能な限り活線作業を避けるという基礎の基礎は、見習いのころに先輩や上司からうるさく言われるものだが、うるさく言う先輩や上司が現場にいなくなったのだろう。
一事が万事である。活線作業の意味を伝えていけないことが技術力の低下を招いているのではないだろうか。
問題を感じている部署では、はんだ付けの講習をやっているらしい。
しかしである。はんだ付けができなくなったから技術力が低下したのではないと思う。
昔は回線を維持するために、はんだ付技能が不可欠であった。しかし、今時は回線維持にはんだ付け技能は不可欠ではない。業務に不可欠ではない技能の習得を後回しにするのは理に適っている。今時は通信機器にIPアドレスの設定ができないことのほうが致命的だ。
技術者として不可欠な知識・技能、次の世代に伝えなければならない知識・技能は何かを考えなければならないと思う。
オジサンたちのノスタルジーで教育・訓練をやってはいけない。
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