活線作業 < 一事が万事 >
基礎がないこと、基礎を伝えていない組織であることを自覚しないと、大きな事故につながる。
技術力の低下 -今始まったわけじゃない-(2016/01/17)で
最近気が付いたのは、 若い人が平気で活線で作業すること。
ウチの事業はICTなので技術分野の幅は広い。高圧作業のように命にかかわることはないのだが、高圧であろうと、弱電であろうと、可能な限り活線作業を避けるのは基礎の基礎である。ウチは昔でいう強電はではなく、弱電なのだが、よほどの事情がない限り活線作業しないようにというのは教えられたし、身をもって体験もした。
活線挿抜できる機器が増えてきたこともあるが、可能な限り活線作業を避けるという基礎の基礎は、見習いのころに先輩や上司からうるさく言われるものだが、うるさく言う先輩や上司が現場にいなくなったのだろう。
一事が万事である。活線作業の意味を伝えていけないことが技術力の低下を招いているのではないだろうか。
と書いた。
具体的には、電源(電池)と電子機器を(負荷)を配線して接続する際に、電源に接続されている(充電している)電線をいきなり負荷に接続しようとするのだ。
充電している電線をいきなり負荷に接続すると
- 配線作業時(多くは電源端子への接続時)にショートする
- 配線の接続を間違えて負荷を損傷する(逆接)
- 電源端子に接触したときに過大電流が流れ負荷を損傷する
- 作業員が感電する
等のリスクがある。
電子・電気を生業とする者は、活栓作業のリスクについて、見習いの頃から教えられる。また、失敗を経験することで身をもって学ぶ。
回路にヒューズを入れるか少なくともSWを入れて配線して、すべての接続を終えたら、もう一度配線を確認して、異常があったら直ちにSWをOFFにする準備をしてからSWをONにする。
短絡事故、過電流による機器や配線の損傷というリスクを減らすために行うべき、基礎的な手順だ。
オジサンにとっては「基礎の基礎」だ。現場では「基礎の基礎」を若い人に伝えなくなっているのだろう。疑問は、「できるだけ活線作業を避ける」という基礎が現場で必要無くなっているのかそれとも、伝えるオジサンがいなくなっているのか?である。
例えば、はんだ付けは、昔の電子、電気、回線、無線の現場にいる人なら必須の技能だったが、最近は必須の技能ではなくなっている。つまり、伝える必要のない技能になりつつある。 しかし、活線作業の考え方は技能ではない。伝えるべき基礎だと思う。
ウチはICTを扱っているので、物理層からアプリケーション層まで幅広いレイヤを扱っているから、上位のレイヤしか扱わない(キーボードだけで済んでしまう)部署もある。
しかし、一次が万事である。
活線作業だけの問題ではなく、物理層だけでなく他のレイヤでも「基礎」が伝わっていないのではないだろうか。
今後とも物理層を扱うなら、技術者の育成を憂う前に「基礎の基礎」を伝えなければならない。
今後物理層を扱わないなら、このレイヤは専門ではないことを自覚しなければならない。
基礎がないこと、基礎を伝えていない組織であることを自覚しなくては、大きな事故につながる。
少なくとも自分が関わるレイヤに関しては、基礎を伝える活動をしなくてはならないと思う。
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