徴兵以下のIT奴隷制度を作るよりマネジメントを学ぶべき 狐志庵
記事の中で引用してあるのがこちら
五輪にはボランティアで働けるエンジニアが必要」発言の真意を聞く DZNet Japan
「五輪そのものに対して、ボランティアで対応できるエンジニアが必要で、今後5年間で4万人のエンジニアを育てなくてはいけない」
とする荻原紀男氏に対して
[日本のプログラマ、情報技術者のレベルは高い。マネジメントが必要。」
と狐志庵氏は主張する。
よく「日本は技術立国だから技術者を育てることが重要」なんてことを言い出す人たちがいる。それは大間違いだ。日本の技術者は他国に比べてもとても優秀で、個々人の力は他の国々の一般エンジニアを見てきた人たちからは信じられないレベルにある。日本語の書籍も充実してるし、ネットでの意見交換も活発だ。日本のプログラマ、情報技術者のレベルはかなり高い。
ではなぜ日本はITで世界に太刀打ち出来無いのか。70年前の敗戦を思い出してみるといい。日本の航空エンジニアも船舶エンジニアもとても優秀だった。なのになぜ勝てなかったか。マネジメントができてなかったからだ。
技術者のマネジメントができないのはウチだけではなく、IT業界全体の問題だろう。
IT業界は技術者を消費する構造になっているのではないだろうか。日本のプロ野球とサッカーのJリーグに例えると分かり易いかもしれない。
野球やサッカーに限らずプロスポーツ界でプレーヤーでいられる期間は短い。サッカー界では選手が引退した後のことまで業界全体で考えているのに対して野球界は考えていないように見える。
サッカー界には現役時代無名であった人が、監督・コーチで実績を上げている人がいるのに対して、野球界では極めて少ない。(現役を引退して即監督になる業界である。)
IT業界にも「プログラマ35歳定年説」(40歳限界説 2014/06/11)という都市伝説があるようにプレーヤーでいられる期間は短い。そして、野球界と同じようにIT業界もマネジャになるためのトレーニングまで面戸を見てくれるわけではないので、若い才能を消費し続ける業界になっているのではないだろうか。
狐志庵氏がいう「マネジメント」が「プロジェクトマネジメント」なのか「技術者のマネジメント」なのかは不明だ。「プロジェクトマネジメント」と「技術者のマネジメント」では求めている成果が異なる。
「プロジェクトマネジメント」はプロジェクトを完遂することが成果なので、多くの場合経営側の利益に繋がる。一方「技術者のマネジメント」は技術者自身の働く目的を実現することが成果なので技術者の利益に繋がる点で全く異なっている。(もしかして、プロジェクトマネジャも足りないのか)
荻原紀男氏と狐志庵氏の意見の食い違いは、「技術者のマネジメント」という観点で考えるとどちらも正しく、どちらも足りないように思う。
つまり、IT業界は若い技術者を消費し続けているから、五輪のような大きなイベントがあると、実戦配備できる若い技術者が足りなくなる。
「技術者のマネジメント」ができるマネジャを増やすことで、技術者がプレーヤーでいられる期間は長くなるので、日本の優秀な技術者の能力を発揮できる。
五輪までの残された期間を考えると「技術者のマネジャ」の育成は厳しいような気がする。IT業界は技術者のマネジャを育てる具体的な方法を持っていないからだ。
と考えると、現状では五輪までに技術者を育成する必要があるのだろう。五輪は、政府から補助金を引き出す機会にはまたとないチャンスだ。ただし、育成すべきは「技術者のマネジャ」である。「技術者のマネジャ」を育成しなければ、先の大戦末期に特攻目的で航空機の搭乗者を育成した愚を繰り返すことになる。
他人ごとではないなぁ...
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