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2016年4月 6日 (水)

撤退戦 <縮小する事業はどう選ぶか>

 人が減って仕事が増えたとき、つまりリソース以上の業務量がありながらリソースを増やすことができないときマネジャはどうすればよいのか?

 ウチは業種ICTで、分野もレイヤも広い。
物理層からアプリケーション層まで扱っていて、技術分野も広い。 人が減って業務量がリソース以上になって、しかもリソースが増える見込みがないときには、どれか事業を止める決断をする。
これがセオリーだろう。

 ところが、ウチのエライ人は止める事業を選択する際に、難易度で分けようとする人が多い。

 簡単な作業はアウトソーシングして、難しい作業だけ残すというのだ。
一見尤もらしいが、たいてい失敗する。 それは撤退戦だからだ。

 レイヤ間はインターフェースが規定されていることが多いので、止める事業をレイヤで分けることは容易だ。また、「無線」と「交換(古い^^;)」、「情報処理」のように技術分野で分けるのも容易だ。

 ところが、技術的な難易度は連続しているため、難易度で分けようとすると、技術者の成長、技術の伝承ができなくなる。

 簡単な作業をアウトソーシングすると、新人はいきなり難しい作業から始めなければならなくなる。

 簡単な作業はマニュアルを作ると、作業はできる。 しかし、技術力が向上するわけではないので、マニュアルでできる簡単な作業をいくらやったところで、マニュアルに無い、難しい作業ができるようにはならない。 また、簡単な作業をやっていないので、技術の伝承も困難だ。

 つまり、やる、やらないを技術の難易度で分けると、難しい作業ができる人がいるうちは良いが、いなくなった時点で事業が存続できなくなる可能性が高い。 そして、その組織・部署から技術が失われる。

 組織・部署が一旦技術を無くすると、復活には20年が必要だという。 技術を獲得するために10年、それを次の世代に伝承するのに10年が必要だからだ。リソースが足りない状況では、20年など悠長なことは言っていられないから、技術を無くした時点でその事業を再開できなくなる。

 技術で売っている部署において、「簡単な作業はやらない」は、撤退戦の始まりだということだ。

 撤退戦を承知の上で、将来事業を止める(難しい作業も止める)ことを見込んで、難易度で分けるというなら良いのだが...

 どうも場当たり的のように感じる。 昔、別の事業で一度失敗しているのに、同じ轍を踏もうとしているように感じる。失敗から学ばなければならない。

 撤退戦は最後まで指揮しなくてはならない。最後まで指揮しない撤退作戦は無策に等しい。


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