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2016年4月 2日 (土)

発達障害の素顔 <脳の発達と視覚形成からのアプローチ>

発達障害の素顔 脳の発達と視覚形成からのアプローチ 山口 真美 ブルーバックス新書

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「まえがき」が現代ビジネスの、豊かな「個性」としての発達障害 〜多かれ少なかれ誰もがもっている 山口真美 (2016/02/18) にある。

 この分野の研究はかなり進んでいるようだ。
発達障害と呼ばれる特性と脳の働きの関係は解明されてきている。しかし、ある程度適応した人や適応できない人に対するケアや対応については書かれていない。(当然だ)

 他人と話す際に、相手の顔を見て話すのは正直苦手だ。
山口真美氏が指摘するように、日本人は会話する際に視線を合わさないので、視線を合わさないように、しかも、相手の顔(表情)から感情を読み取りながら会話しなければならない。 これは、極めて難しい。

 相手の顔を見ようとすると「ガン見」になるし、感情を読み取ろうとすると会話ができなくなる。会話しようとすると、相手の顔が見えなくなる。(見なくなるのではなく、相手の顔が意識から無くなる感じ) 周りの会話に付いていこうとすると、どれかが疎かになる。

 会話をしながら、視野の端っこにいる人を注視しないで行動を把握し、隣で話している人達の会話も聞くなんて芸当は到底無理だと思う。

 例えば「りんご」といわれたら、自閉症者はあらゆる事例をサーチして、どんな種に属しているかまで考え出す。あらゆる可能性をひとつひとつつぶしていく、すべての可能性の情報処理を行うため、情報処理が極めて多量となる。結果として処理に時間がかかるが、最終的には解へと到達するのである。自閉症者は先入観でトップダウンに判断を絞らず、機械的でフェアな見方をしているがために、時間がかかるといえよう。

 「そもそも論」は好きな方だから、会話中に難しい質問をされると、脳内会議が始まってしまう。山口真美氏がいう多量の情報処理を行っている状態だ。困るのは、コミュニケーションが止まってしまうこと。 娘たちには「ねえ、聞いてる?」とか「脳内会議やってんの?」とか言われ、挙句に「そんなに真面目に考えなくていいから」と言われる。

 困るのは、コミュニケーションが滞らないように、情報を処理しようとするとたいてい脊髄反射になることだ。
後で独りになって脊髄反射した情報処理が正しかったのかを考えると、歳を取ったせいか、経験があることなら誤ることは少なくなったが、経験がないことを脊髄反射で答えてしまうと後悔することが多い。

 脳内会議する人(ときどき会話がストールする人)に即断・即決を求めると危険だと思う。

 こういう点を考慮に入れると、自閉症者に対しては学習の仕方だけでなく、テストの設定にも気を遣う必要がある。回答までに費やす時間がはるかに長いことを前提にして、能力を評価すべきといわれている。含みを持たせた表現は禁じ手だ。

 日本の教育と能力評価は、知識の量と知識を短時間で引き出すことを偏重しているから、最初から覚えろと言われたら、定型の人以上の能力を発揮できる人もいるようだ。

 興味がないことはさっぱり覚えられない(覚えようとしない)性格で、考え始めると時間がいくらあっても足りないので、学校の成績は良くなかった。特に、漢字、英単語、年表は覚えられないので壊滅的だった。

 「記憶に頼るのはアホのすること」と思っていたが、社会に出て、本当に頭のいい人は、記憶能力と思考能力両方優れているということが分かった。

 興味があることしか覚えられないのなら、興味がある分野で勝負すればよいということだ。 友人から「お前は趣味と仕事が連続している」と言われるのだけれど、興味がある分野の仕事に就けて本当にラッキーだったと思う。


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