「率直に言ってくれたらよかったのに」に潜む無意識の権力
〈本誌報道で更迭〉松本文明おにぎり本部長に熊本県庁が激怒 週刊文春 2016/5/5・12
1社だけのの報道なので、この発言が真実かどうかは分からない。
特定の個人の発言ではなく、権力を持つ者が言う 「率直に言ってくれたらよかったのに」を一般論で考えてみた。
これは無意識の権力というものだろう。
「率直に言ってくれたらよかったのに」が、
- 「率直に言ってくれたら」議論に応じる準備がある
- 「率直に言ってくれたら」そのとおりににする
- 「率直に言ってくれたら」後腐れない議論に応じる
- 「率直に言ってくれた」ことが正しいなら、後腐れなく、そのとおりにする
- 「率直に言ってくれたら」...覚えとけヨ
のか不明だ。
権力は公明正大、公平中立に使用されるとは限らないことは誰でも知っている。だから「率直に言わない」のだ。 だから、権力のチェック機能として、「率直に言う」機能としてジャーナリズムがある。(往々にしてジャーナリズムは歪んだ権力になることがあるけれど。)
会議の席で「本音で話そう」や酒の席の「今日は無礼講で」は、無意識の権力を無視した発言だ。
権力を持った(与えられた)者が本気で「率直に言ってくれたら」や「本音で話そう」、「今日は無礼講で」にしようとするなら、意識的に、無意識の権力を取り払う努力をする必要がある。
そして、無意識の権力を取り払う努力をしたことがある人は、「本音で話そう」、「今日は無礼講で」がいかに難しいか分かっているはずだ。 とても気楽には言えない。
権力に対して、率直に意見が言えるのは、
- 権力のチェック機能であるジャーナリスト
- 権力の影響が少ない人(退職間際のオヤジなど)
- 空気が読めない人
など、3つのタイプの特異な人達だ。
このような特異な人達に自分の意見を代弁させようとする人もいる。匿名化すると「本音」が出てくるものだ。
自分はこれまで、他人の本音を代弁させられることがあったように思う。特異な人Type3だからだろう。 本音を代弁をさせられそうになったとき、その本音が自分と同じ意見ならば「率直に言う」が意見が違う場合には言わない。Type3は他人を慮って他人の本音を代弁することができないのだ。
閑話休題
無意識の権力を軽減する方法として、酒席は良く利用される。「本音で話す」方法として酒席しか思いつかない人もいる。
「無礼講」がウソと知っていても、酒が入れば心理的障壁も下がるので、つい本音で喋ってしまうこともある。
しかし、酔っぱらうと、せっかく聞き出した本音を覚えておけなかったり、論理的な思考ができなくなったり、「お前愚痴だけだな!」とつい本音で応戦してしまうという問題(酒癖)がある。 酒席は懇親には利用するが、本音のリサーチには使わないようにしている。
「率直な意見」や「本音」を聞きたいのであれば、先ず無意識の権力を持っている者が「率直な意見」や「本音」を聞いてどうするかを明らかにしなければならないと思う。
そして、
- 「率直に言ってくれたら」「本音を言ってくれたら」後腐れない議論に応じる
- 「率直に言ってくれた」ことが正しいなら、後腐れなく、そのとおりにする
を実践することは、権力の有無に限らず覚悟が必要だ。
後出しのように言う「率直に言ってくれたら」という発言に覚悟があるとは思えない。
「この会議は本音で」と言いながら「後でその意見を偉い人の前で」と言うのも同じだと思う。
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