ケーススタディ <経験に依らない問題解決能力の獲得>
マネジャクラス、マネジャ候補の研修でのケーススタディは「知識」の獲得だけでなく、その先の「問題解決方法」の獲得まで行うべき。
複雑で容易に正答を見付けることができない問題の検討には、ケーススタディ(事例研究)が有効だ。正答にたどり着けないにしても得るものは多い。
ケーススタディの場で得られる他人の成功例や失敗例などの経験談は参考になる。特に知識や経験が少ない場合には有効だ。 他人の経験談は言わば疑似体験だろう。
演繹法的に事例から法則を導き出そうとする場合には、体験・経験は多い方が良い。自分で体験ができることは知れているので疑似体験で補うことができる。
マネジャクラスやマネジャ候補の研修では、ケーススタディを疑似体験で終わらせてはならないのではないだろうか。
つまり、業務経験の少ない若年層なら疑似体験を増やすことは重要だが、マネジャ候補になると、疑似体験を含む事例から正答に近づくことを考える必要があるのではないか。
問題に直面したときに、過去の(疑似)体験から似たような事例を取り出して参考にする方法で問題を解決しようとすると、(疑似)体験を増やせばよい。 枯れた業界では新人より年寄りの方が問題を解決できるのは、体験の量が多いからだ。
ところが、経験したことが無い問題に直面したときには、過去の(疑似)体験から似たような事例を取り出して参考にする方法は使えない。
特に、若い業界では、年寄りが多くの経験を持っているとは限らない。 むしろ、現場に近い若手の方が多くの経験を持っていることもある。
このような業界でマネジメントしようとすると、(疑似)体験が無くても、正答に近づく方法、つまり、「未経験の問題を解決する」能力が必要となる。
しかし、マネジャになったからといって、いきなり「未経験の問題」が解決できるようになるわけではなく、マネジャになる前に、その能力を獲得しておく必要がある。
つまり、マネジャ候補のときに疑似体験を集めるだけではなく、「問題を解決する方法」を考えておく必要があるのだろう。
研修の講師は、単に「知識」の獲得を支援するだけではなく、「問題の解決方法」の獲得に向けた支援を行わなければならないのだろうと思う。
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