ググる <調べる+学ぶ>
今の職場は、現場の技術サポート業務だ。
簡単な相談から難しい相談までいろいろな相談がある。 簡単な相談(こちらにとって)は、ググったらすぐに分かるというものがけっこうある。 相談している人にとっては簡単ではないのだろう。 しかし、ググったらすぐに分かることだから、東京でググっても地方でググっても、検索結果は同じはずだ。
同じ検索結果から、目的の情報に辿り着ける人と、辿り着けない人がいるのは何故か考えてみた。
- 検索キーワードの違い
検索エンジンを使用して目的の情報を得ようとすると、問題になるのは検索結果に含まれる関係のない情報(ノイズ)だ。
ノイズを減らすには、適切なキーワードで検索すればよい。しかし、相談してくる人は、ノイズが少なくなるようなキーワードが分からないため、ノイズが多くなり、検索結果から必要な情報に辿り着けないのではないか?
- 検索結果の精査
検索結果にノイズが含まれるのは避けられないので、検索結果から必要な情報とそうでない情報とを選別しなければならない。
目的の情報に辿り着ける人は、検索結果を選別する際の判断基準を厳しくするか、甘くするかを使い分けているようだ。 最初は判断基準を厳しくして、関連性の高い情報を調べ、目的の情報が見つからない場合には、徐々に判断基準を甘くして調べている。
判断基準を甘くすると、検索結果と目的の情報との関連性は低くなるが、関連性の低い情報を辿って目的の情報に辿り着いたり、複数の関連性の低い情報を総合して必要な情報に辿り着けることもある。
目的の情報に辿り着けない人は、判断基準が厳しく関連性が高い(ドンピシャの)情報しか見ていないのではないか?
- 検索結果の評価
Wikiペディキュアの情報を無評価で受け容れる人は多い(それもどうかと思うけど)。さらに、評価が必要な個人のブログやSNSの情報まで無評価で受け容れる人もいる。「そんなに簡単に他人を信じて大丈夫か?」と思ってしまう。
ググったらすぐに分かることを、相談する人は、情報には辿り着いているが、その情報の評価に自信がないから相談しているのではないか?
と考えた。
ググったらすぐに分かることを相談してくる人に足りない能力は、「ノイズ交じりの情報の中から必要な情報を見つける能力」ではないだろうか。
ノイズ交じりの情報の中から必要な情報を見つけられる人は、暗黙知に拠るノウハウを持っている。 そして、このノウハウを獲得できない人は「調べていても学んでいない」のではないだろうか。
情報を集めることが目的なら情報に辿り着くだけでよい。 例えば、終電の時間を調べる場合は終電の時間が分かれば目的は達成される。 しかし、学習の一部として調べる場合には、情報に辿り着くだけでは目的は達成されない。
たどり着いた情報を自分なりに解釈してみることが重要だ。 そうすると、かならず疑問がうかんでくる。 つまり、分からないことが分かる状態になる。 すると、新たな疑問について更に調べる、新たな疑問に関する情報を発見して、その情報を解釈すると、また新たな疑問がうかんでくる...→エンドレス。
エンドレスに調べなくても、検索結果から少しでも学習すれば、次回同じような内容を調べるときに、ノイズの少ないキーワードを思いついたり、ノイズの中から必要な情報を見つけられるようになる。
これが、ノウハウの正体ではないだろうか。
特に仕事でググるときには、他人の情報をパクろうとしているのか、自ら成長しようとしているのかの違いは重要だ。
そして、このちょっとした違いの積み重ねは、気がつくととても大きくなっているのではないだろうか。
- ググる <調べる+学ぶ> (2016/07/29)
- 「ググる」の功罪 <考えることが必要> (2016/07/04)
- ググれカス <ググったらカス> (2017/09/10)
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