フォト
無料ブログはココログ

MyList

« 会社という病 | トップページ | 中野四季の都市(6) <PICNIC GOHAN> »

2016年7月 8日 (金)

「わかる」ように、「できる」ようになる

 技術を修得しようとした場合、いきなりできるようになるわけではない。

 教育や訓練などの研修を受けたとしても、できるようになるのは一部の人だから、研修に関わる者としては頭の痛い問題だ。

「わかる」「できる」?

 技術=理論+技能+暗黙知とすると。

 技術を修得するということは、「理論とその理論を実施する方法」が分かって、さらにそれが実施できるようになることだろう。

 「わかる」と「できる」は別物だけど、完全に「わかって」から「できる」ようにする必要はなくて、並行して「わかるように」「できるように」することができる。

 「分かる」には、

  1. 分からないことが分からない
  2. 分からないことが分かる
  3. 分かったつもり
  4. 分かった

のステージを踏む必要がある。

 同じように「できる」には、

  1. できないことが分からない
  2. できないことが分かる
  3. できたつもり
  4. できた

のステップが必要だ。

 速く「わかる」人、速く「できる」ようになる人は、各ステップをクリアする方法を知っている人ではないだろうか。 頭の良し悪しもさることながら、1つのステージにハマらないコツを知っている人の方が、速く「わかる」ように、速く「できる」ようになるような気がする。

 「わかって」いなくても、マニュアルなどのHow-Toに従って反復練習すると、限定的に「できる」ようになる。それで十分な場合もあるので、訓練にはこの方法を使うことができる。 しかし、できても「わかっていない」ので、想定していないケースには対応できない。

「わかる」ように、「できる」ようにならない人

 「わかる」ように、「できる」ようにならない人がハマりやすいステージは、「分からないことが分からない」ステージと「分かったつもり」ステージだろう。

 「分からないことが分からない」ステージにいる人は、「分からないこと」がわからないので、「分からないこと」を「分かる」ための具体的な行動を起こせない。その結果、このステージの留まったままだ。

 「分かったつもり」ステージにいる人は、「分かったつもり」なので油断する。そうすると、その後成長しないので、やはりこのステージを抜け出せない。

 「わかる」から「できる」にするためには、勘やコツ、Know-Howなどの暗黙知を獲得しなければならない。暗黙知を獲得するためには、手や体を動かして体験するしかない。 わかっていてもできない人が結構いるのは、暗黙知の獲得に必要な反復練習をしていないのではないだろうか。

 経験ベースの「できる」を体験していない人の中には、知識ベースの「分かる」を「できる」と勘違いしてしまう人もいる。

研修に関わる人は

 研修に関わる人は、受講者がどのステージにいて、どのステージまでクリアするのかを認識しなければならないと思う。「分からないことが分からない」→「分かった」は、かなり大変だ。

 また、「わかる」ようにするのか、「できる」ようにするのかも認識しなければならない、「できる」ようにするには実習や訓練が必要だから長時間が必要になるからだ。 研修の期間がが決まっている場合に、実習や訓練に時間を取ると、「わかる」レベルは高く設定できなくなる。

 1回の研修にかけられる時間は決まっていることが多いから、受講者によってクリアできるステージは異なる。 1回の研修で、高度な技術・技能が「わかる」「できる」にようになるのは困難なことが多い。

 ところが、研修を修了すると全員が「わかる」「できる」ようになると思っている人は多いのではないだろうか。 研修担当も受講者も建前と世間体と大人の事情があるから、「『わかる』『できる』ようになりませんでした」とは、なかなか言いだせない。 その結果、「わかった」「できる」ことになっている人が増える。

 高度な技術・技能については、研修で、「わかる」ように、「できる」ようになる、という前提を変えればよいと思う。(研修担当や受講者の上司にとっては勇気がいることだけど)

 研修に関わる人に求められるのは

  • 受講者は、この研修で、「わかる」ように、「できる」ようにならないことを前提とする
  • 受講者が今いるステージを最低限クリアできるようにする
    (特に「分からないことが分からない」ステージ、「分かったつもり」ステージにいる人)
  •  「わかる」「できる」ようにならなかった受講者が、今いるステージをクリアするために継続的にサポートする

ことが必要だと思う。



最近の投稿】【最近のよしなしごと

« 会社という病 | トップページ | 中野四季の都市(6) <PICNIC GOHAN> »

よしなしごと」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 「わかる」ように、「できる」ようになる:

« 会社という病 | トップページ | 中野四季の都市(6) <PICNIC GOHAN> »