ミドルの自己学習
ミドルの自己学習 濱中淳子 Works Review Vol.3
リクルートワークス研究所の研究論文集「Works Review Vol.3」に発表された濱中淳子氏の論文。
濱中淳子氏の著書「学歴の効用」でも自己学習は重要なファクタとして取り上げられている。 「学歴の効用」では学生時代の自己学習習慣がその後の所得に与える影響について論じている。
「ミドルの自己学習」では大手商社のミドル(35~45歳)を対象に調査した結果である。 濱中淳子氏も調査の限界と述べているように、対象は商社社員なので結論は一般的でない可能性はある。
時短が浸透していて自己学習に対する障壁が低い商社を調査の対象としたらしい。
調査対象であるミドルの自己学習については、ABOの3つのタイプに分類できるという。
- タイプA 業務に関することのみを学習
- タイプB 業務に関すること以外に、きっかけとなることを学習
- タイプO 自己学習しない
3つのタイプのうち、タイプAを標準としている。自分が担当する業務に関する知識を得るために自己学習するのは普通のことだとしている。
そして、自己学習しないでタイプOになるかどうかは新入社員時代に、学習したかどうかが影響しているという。
また、業務以外のことまで自己学習するタイプBには自身のキャリアを明確に描いている人に多い。
というのが結論だ。
考えてみた。
タイプOに関して、
新入社員のときに、業務に関する知識を得るために自己学習しない新入社員というのは、つまり、言われたことしかやらない社員だろう。 この調査から、新人のときに、言われたことしかやらない人は、10年後にやはり言われたことしかやらないミドルになっているのではないか。
タイプBに関して、
将来のキャリアを明確に描いている人は、きっかけを得るために自己学習をしているのではないかという。
ミドルになると転職しなくても、仕事をマネジメントに変えなければならないことがある。 これもキャリア・チェンジだ。マネジメントに関する知識は業務に関する専門知識とは異なることが多い。将来マネジメントの仕事をすると明確に考えている人は、業務に関すること以外の自己学習をしているのではないだろうか。
困るのは、将来キャリアが変わることを意識せず、時間に流されて、心太方式で押し出されてマネジメントの仕事をやるようになった人だ。
言われたことしかやらないタイプOの存在よりも、キャリア・チェンジを意識せずマネジメントに必要な自己学習をしなかったミドルマネジメントの存在の方が影響は大きいと思う。
これが、ミドルマネジメントの弱さの原因かもしれない。
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