看護倫理教育 <倫理の衝突のケアが重要?>
教育者側に焦点を当てた看護倫理教育に関する研究の動向と課題
遠藤由美子 つくば国際大学医療保健学部看護学科
医療保健学研究 3号:125-135項
によると、
1976年までは「看護倫理」の授業があったが、単に看護婦の礼儀作法や処世術を教えているにすぎないのではないかという批判があり、看護学校で単一科目として教えることを止め「看護学総論」で触れるだけになったらしい。
看護業界において看護倫理教育は大きなテーマらしく、ネットで看護師の倫理教育に関する論文を探すと結構な数の論文が見つかる。ところが、看護倫理教育について論じている論文は少なく多くは現状の看護倫理教育に関する調査論文である。
遠藤由美子氏は「教育者側に焦点を当てた看護倫理教育に関する研究の動向と課題」で
筆者は、約10年間、看護倫理を教授してきた。
看護は看護倫理そのものであるという強い思いから、看護行為の根底にある人間に対する尊厳や生命に対する畏敬の念を大切にできる人間になってほしいと願い、講義・演習を組み立て実践してきた。しかし、どれだけ学生に伝わったのか確信が持てないでいる。どのようにしたら現代の学生が、卒業後、自分で考え判断し倫理的行動がとれるようになるのか試行錯誤しているのが実状である。教育方法の確立以前の問題として、看護倫理という言葉の概念規定も不明確なままであり看護界においてもコンセンサスを得ていない。倫理教育の目的も曖昧なままである。倫理的判断や倫理的感性の成熟が求められる昨今の医療界で、その責任を充分に果たせるだけの能力を培ってきたとは言い難い。社会のニーズに的確に対応できる看護職を育成するため、看護倫理教育の体系化、教育方法の確立は、早急に取り組まなければならない課題である。
と述べておられる。考えている人がいないわけではなさそうだ。
さらに、ネットで検索すると、「新人看護職員研修における看護倫理教育」というテーマも多く見つかる。
看護師は、国家試験を受ける前に現場に研修に出る。すると、学校で教えていることと、現場で行われていることのギャップに直面する。看護師の仕事は人の生命に関わる。そして、現場は忙しく過酷だ。現当然倫理的な問題もあるようだ。
現場での研修を行う者の年齢は20才前後だ。20才前後しかも未就業時で倫理の衝突を経験するわけだ。この経験が看護師人生に大きく影響することは想像に難くない。
この点は、技術者と大きく異なることではないだろうか。もう一つ技術者の育成と異なる点は、
看護師を育成する教師は臨床経験が必要らしい。 つまり、看護師の教育には実務経験者が携わっているということである。。
20才前後しかも未就業時に経験する倫理の衝突に対するアドバイスは実務経験者にしかできないだろう。この点については、看護師育成システムはよくできていると思う。
« 新しい時代の技術者倫理 | トップページ | すべての「学び」の前に鍛えるべきは、「教わる力」である。 »
「よしなしごと」カテゴリの記事
- コロナワクチン予約サイト(2022.04.30)
- 子供とネットワーク社会での問題解決 2題(2022.02.24)
- スマホ用拡大鏡(2022.01.28)
- 個人的な能力でサービスを提供してはならないのか(2021.10.27)
- デジタル庁に期待?!(2021.10.14)
「人材育成」カテゴリの記事
- コーチに求められること <部下の指導に求められることと同じ>(2021.09.15)
- 普通は今だけ(2021.09.12)
- 即戦力人材より貴重な人材(2020.12.21)
- 職人技の8割は言語化できた(2020.07.20)
- 組織の器を超えた人材を引き止める術はない <「ラスト一滴の前」「無難な口実の向こう」に応える>(2020.03.09)
コメント