フォト
無料ブログはココログ

MyList

« 『男はつらいよ』の幸福論 <寅さんが教えてくれたこと> | トップページ | 老化の宿命をどう乗り越えるか <「老いゆく者」のすべきこと> »

2017年2月 3日 (金)

誤信念課題 <大人向けテスト>

 発達障害のテストとしては「サリーとアン課題」が有名だ。(誤信念課題)

 「サリーとアン課題」は子供用で4~7歳で答えられるようになるらしい。大人用の課題もあるらしく、興味があったので早速やってみた。

 この課題は、2012/5/18にNHKの「情報LIVEただイマ!」で放送されたようだが、既にNHKのサイトから消えている。ウェブ魚拓に残っていた。

恵さんの家におじさんが遊びに来ました。
恵さんはお母さんに手伝ってもらって、チーズケーキを作りました。
恵さんは食卓で待つおじさんに言いました。「おじさんのためにケーキを作っているの」。
おじさんは「ケーキは大好きだよ。チーズが入っているのはダメだけどね」と言いました。
ここで質問です。気まずいことを言ったのは誰ですか?
また、なぜ気まずいのでしょうか?

というもの。これを「チーズケーキ課題」と呼ぶことにしよう。

 「まったく悪気なく「ひどいこと」を言ってしまう理由  奥村隆「息子と僕のアスペルガー物語」【第9回】(2012.12.22)」 にも紹介がある。奥村隆氏の記事では『「おじさんのためにチーズケーキを作っているの」と言った』となっているが、これは誤りだろう。

 答えは、なんとなく(経験則から)分かったのだが、釈然とせず2日間くらい考えていた。そして、わかったことは。

 この問題で尋ねているのは、「気まずいことを言ったのは誰ですか?また、なぜ気まずいのでしょうか?」ということ。重要なのは「なぜ気まずいのでしょうか?」の部分。

 これなら簡単だ。

 人は、善意の行為でも報酬を求めるから、報酬が得られないないと不満を感じる。つまり、「チーズケーキ課題」で、恵さんがおじさんのためにチーズケーキを作るのは善意の行為、それを手助けするお母さんも善意の行為だ。おじさんは、ケーキを作るという善意の行為に対して、「ケーキは大好きだよ。チーズが入っているのはダメだけどね」と、恵さんやお母さんに善意の行為に対する報酬を与えなかった。その結果、恵さんとお母さんが抱く不満が、気まずくなったと原因だと理解できる。

 σ^^)はKYだからここまで考えないと経験則の判断が正しいと思えない。経験則だけで判断するのは不安だから。

 ところが、解説が理解できない。

 気まずいことを言ったのは「おじさん」です。その理由は「恵さんやお母さんの気持ちを傷つけてしまうから」です。
 ASDの人は、最初の質問で「おじさん」と答えられない。誰も気まずいことを言っていないと答える。つまり、「チーズは苦手」と恵さんに告げることが気まずいとは感じないのです。恵さんの気持ちに立つことができないからです。

 KYは時々ストレートな発言で周囲を気まずくさせることがある。気まずい雰囲気は感じることができるので、次回は気まずくならないようにしようと思う。そのためには、原因と対策を明らかにしなければならない。

 解説では、「おじさんが恵さんやお母さんの気持ちを傷つけてしまう」としている。たしかに、直接的には、恵さんやお母さんの気持ちを傷つけてしまったのはおじさんの発言だ。

 しかしである、自分がおじさんの立場で、恵さんやお母さんの気持ちを傷つけないようにしようとすると、困ってしまう。何しろ、おじさんは故意に恵さんやお母さんの気持ちを傷つけてはいないのだ。

おじさんにできることは、

  • 恵さんは、自分が嫌いなチーズケーキを作っているかもしれないからチーズケーキは嫌いと言わない。
  • 嫌いなチーズケーキが出されたら無理して美味しそうに食べる。

う~んムズイなあ。
一方、恵さんやお母さんにできることは、

  • あらかじめ、おじさんにチーズケーキは好きか聞いておく。

だ。

 おじさんにできることと恵さんやお母さんにできることを比較すると、おじさんにできることのほうがハードルが高いと思うのはσ^^)だけだろうか?。

 もう少し抽象化すると、世間の常識は「善意の行為は故意でなくても否定してはならない」ということだ。

 善意を施す側が、あらかじめケーキの好みを聞く方がよほど簡単で合理的だと思うのだが、善意を施される側が忖度するのが「普通」のようだ。

 試しに、おじさんの発言は故意ではないではないから、おじさんだけ責めるのは酷ではないかと、娘に聞いたら、娘曰く「へ~~。そんな風に考える人いるんだあ!!」だったので、この考え方は一般的ではないようだ。

 「善意の行為は故意でなくても否定してはならない」ことが世間の常識だということは分かった。しかし、実践する自信はないなあ。このような 状況に遭遇するとピンチだなぁ...

 普通の人は深く考えないでできることなんだけど、こんなメンドクサイことを考える人がいる。そして、失敗しないようにしようとすると、たいてい、即答できなくて固まったように見られる。

 だから、はみ出したくらいがちょうどよい。



最近の投稿

« 『男はつらいよ』の幸福論 <寅さんが教えてくれたこと> | トップページ | 老化の宿命をどう乗り越えるか <「老いゆく者」のすべきこと> »

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

コメント

こんにちは〜
ご無沙汰しています。
我が家のWiFiが(海外からのアクセスのため)
ココログのブログにコメントできないので、LETを使って書き込んでいます。

チーズケーキ課題、興味深く読ませていただきました。
うちの父だったら、「チーズの入っているものはダメ…」と、言った後、
実はチーズケーキだと告げたとしたら、
「どうして前もって聞かないないんだ!
相手の食べられないものを出すなんて!
おもてなしがなっとらん!」
と、怒鳴りつける事でしょう。

そんな父のいる家庭で育ったので、
私は気まずいのはわかるんだけれど、どうしてなのかは答えられなかったです。


yuukiさんコメントありがとうございます。

普通だと思っていることは説明できないことが多いですよね。
チーズケーキ課題の場合、わざわざ行動した、「おじさんのために」だから気まずくなったような気がします。
その場ではここまで考えられませんね。

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 誤信念課題 <大人向けテスト>:

« 『男はつらいよ』の幸福論 <寅さんが教えてくれたこと> | トップページ | 老化の宿命をどう乗り越えるか <「老いゆく者」のすべきこと> »