ツブシがきく <違和感がある言葉>
「ツブシがきく」よく聞く言葉だ。
「どこに行ってもツブシがきく」とか「専門分野を極めると、ツブシがきかなくなる」とか。
「ツブシがきく」とは、「異る分野や部署でも有能でいられる」くらいの意味だろうか。
最近聞く「ツブシ」はネガティブな意味で使われることが多いような気がする。
今の部署はかなり特殊な領域なので専門性は高い。しかも、 成果をあげようとすると狭い領域の能力を高めなけれならないので、今の部署に長くいると「ツブシがきかなくなる」というのだ。
専門性の高い部署で狭い領域の能力を高めようとすると、本当に「ツブシ」がきかなくなるのか考えてみた。
「ツブシ」って何だろう?
「ツブシがきく」という人には、ゼネラリスト信仰があるのではないのだろうか。スペシャリストは冷遇されると言いたいのだろう。
今の職場は、確かにスペシャリストのキャリアパスは少ない。いや無い。 スペシャリスト用のキャリア・パスが必要という人は多いが改善される気配も無い。 スペシャリスト用のキャリア・パスを設計するのは、「ツブシ」のきいた連中だから、「ツブシ」のきかない連中のことまで構ってられないのだろう。 そう考えると、スペシャリストは確かに冷遇されているのかもしれない。
「ツブシ」の前提
「ツブシ」がきく、きかないの話をする人は、社会情勢や技術動向などの業界や職場を取り巻く環境、仕事への価値観、組織の構造は現状のまま変わらないことを前提にしているようだ。 一方で、仕事の分野や部署が変わるのは、自分を取り巻く環境の変化で、職場や業界を取り巻く環境の変化に比べたら微々たる変化だ。
業界や職場を取り巻く環境が未来永劫変わらないなら、いわゆる「ツブシ」がきいた方がいいこともあるだろう。しかし、将来、業界や職場を取り巻く環境がどのように変わるのか分からない。 業界や職場を取り巻く環境が変わったら「ツブシ」などきかなくなるのではないかと思う。
つまり、業界や職場を取り巻く環境の変化を考えると、スペシャリストを目指していない人も「ツブシ」はきかない。そして、業界や職場を取り巻く環境は確実に変わり初めている。
環境変化と「ツブシ」
業界や職場を取り巻く環境が変わっても有能でいられるために必要な能力は、「新しいことを学ぶ能力」と「マネジメント能力」ではないかと思う。
「新しいことを学ぶ能力」があれば、自分を取り巻く環境が変わっても対応できる。そして、「マネジメント能力」があれば学んだことを成果にできる。
よく考えると、この2つの能力は、スペシャリストに不可欠な能力だから、スペシャリストとして認められるようになれば、環境の変化には対応できる能力を持っているということではないだろうか。
本当の「ツブシ」
既に始まっている環境の変化でも「ツブシ」がきくためには、スペシャリストかゼネラリストはは関係なく、「新しいことを学ぶ能力」と「マネジメント能力」を持っていることが必要。 これらの能力が本当の「ツブシがきく」人の条件だ。
現状に付いていけなくなった、「昔スペシャリスト」も、環境が変わらないことを前提にした、いわゆる「ツブシがきく」連中も、業界や職場を取り巻く環境が変化する時代では「ツブシ」はきかない。
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