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2017年10月29日 (日)

オトナノチエ <問題を先送りする知恵>

 とあるところで、◯◯活動指針のような資料を目にした。
立案が実に縦割りなのは今に始まった事ではないのだがそれにも増して、部門間の関係性がよく見えない。よく読むと縦割りの壁を超えないようにしながらも実ははみ出していたり、それでいて統一感がない。えも言われないような違和感だ。

 担当さんをつかまえて聞いてみると、部門ごとの持ち寄りらしい。いろいろ問題はあるらしいのだが...

 今時、単独の部署や部門だけで解決できない問題が多くなってきた。
たいていの問題は、複数の部署、複数の部門、あるいは全体に関わっている。すぐに思いつくのは問題解決プロジェクトだ。しかし、縦割り組織で組織横断プロジェクトが成果を挙げるのは難しい。

 プロジェクトを作るのは、ツルの一声で簡単にできるのだが...

 それでも、期限が明確な問題の場合はナンダカンダでなんとかなる。
例えば、2020東京オリンピック関係の問題解決は前に進む。期限が明確だから。逆説的には、縦割り組織では期限が迫らないとプロジェクトは機能しない。

 問題は、少子化問題のように緩やかに進む問題だ。例えば、少子化→労働人口減少→新卒採用の破綻 →ライフ・スタイルの変化→縦割り組織と個人の不整合のように、ジワジワと深刻化するような問題だ。

 近い将来大きな問題になることに気がついている人はたくさんいるが、なかなか部門の課題、組織全体の課題として取り上げられない。

 取り上げられたときには、すでに手遅になっている。

 活動方針を縦割りで立案する人は、総じて事務処理能力が高いようだ。
組織横断プロジェクトの難しさをよく知っている。縦割り組織では部門間の調整が難しいのも知っているのだろう。そして、部門間で揉めないように方針を立案するには、課題を部門内に閉じてしまい、複数の部門に関わる課題や部門の境界にある問題には触れないようにする。

 オトナのチエというやつだろうか?

 複数の部門に関わる課題を単独の部門が課題として取り上げた場合、問題は解決されない。

 そもそも、課題の設定が適当ではないのだから。

 1つの部署の問題は、部門全体の問題であることはよくある。部門の問題は組織全体の問題であることは多い。身近な問題ででも、レベルを2段階上げて考えてみると、部署固有の問題なのか組織全体の問題なのかわかる。

 件の◯◯活動指針も2レベル視点を上げて考えると、全体で解決しなければならない課題だということがわかるはずだ。そして、組織全体の課題として対応すると決めれば、課題を部門ごと部署ごとにブレークダウンすればよい。当然他部門、他部署と連携が必要になるだろう。

 そうなっていないところを見ると、担当さんも部門の人も、視点を2段階上げなかったのだろう。いや視点を上げたけど元の戻したのかもしれない。

 皆オトナのチエを持っているのだ。

 この組織風土がなんとかならないものかと個人的に活動しているのでつい目に付いてしまった。


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