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2018年1月23日 (火)

ANAが大切にしている習慣

図解版 ANAが大切にしている習慣  田口昭彦 ANAビジネスソリューション

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 著者の田口昭彦氏はANAで航空機整備の一線で勤務された方だ。
前半はリーダーシップの話しで後半がヒューマン・エラーをどうやって防止するかという話。

 航空機においてヒューマン・エラーは人命に関わる。それは航空機を操縦するパイロットだけでなく整備士も同じだ。 航空機業界はヒューマン・エラーと向き合ってきた歴史があるから学ぶことがたくさんある。

 ヒューマン・エラーは航空機業界はに限らずどの職業にもあって、航空機業界のように人命に直結する業種やトヨタのようにヒューマン・エラー対策を品質向上の一環と捉える業種もある。 現場でなんとなく対応している業種は多い。

ダブル・チェック

 ご多分に漏れずウチの職場でもヒューマン・エラーは大きな問題だから、オフサイト・ミーティングのテーマに挙がることも多い。 その議論の中で、ヒューマンエラー防止策に2人によるダブル・チェックを挙げる人は多い。

 確かに2人によるダブル・チェックは一定の効果はある。しかし、人が減っている現場ではチェックのための1名を確保する負担が多いことや、効果が無くなるケースが考えられるから盲目的にダブル・チェックに頼るのは危険だと思う。

 日本人は、上位者の誤りを指摘できない。
ダブル・チェックしようにも、部下は上司の誤りに気付いたとしても、指摘はためらわれるものだ。 また、ベテランと新人のように技術と経験に差があるような場合でも、新人はベテランの誤りを指摘できない。

 今時は勤務年数が長いから業務経験が長いとは限らない。
業務経験の短い上司と業務経験の長い部下の組み合わせでダブル・チェックすると、互いに誤りを指摘できなかったり、互いに相手がチェックしているだろうと思いこんだりする。
そして事故が起こる。

 ANAでは

これを回避するため、ANAグループの整備部門では「セルフインスペクション」という制度を取り入れています。これは作業の担当者本人がチェックする、という仕組みで、自分が不安な部分を再度確認し、自覚と責任をもって作業を最後まで終わらせる、というものです。

ダそうだ。
ヒューマン・エラーの防止策がダブル・チェックだけというのは、思考停止している可能性がある。

事故防止

 ヒューマン・エラーによる事故を防止しようとすると、組織の風土が大きな障害になる。
「エラーや事故はあってはならない」という風土の組織は「事故の絶無を期し~」という指示が多い。

 この真意が「事故の絶無を期し、日々工夫改善せよ」ならばわからなくもない。
ところが、「気合と根性で事故を絶無とせよ」のことがある。
ヒューマン・エラーがゼロにならないように事故はゼロにはならないから絶無は不可能だ

 後者の場合、事故が発生したときに現場の当事者は気軽に相談できない。そして、ニッチもサッチも行かなくなって相談すると、何故早く相談しないのかと叱責される。叱責されるから、益々相談しにくくなる...エンドレス。

 指示した側はたいてい「相談するなと言った覚えは無い」と言うのだが、相談しやすい雰囲気を作る努力はしていないことが多い。

 失敗の相談には信頼関係が必要だから、まず信頼関係を構築しなければならない。事故が発生すると、信頼関係が有ろうと無かろうと事故の後始末しなくてはならない。ならば、信頼関係があった方が精神衛生上良いと思うのだが。

 風土は簡単には変わらないよなぁ...

と考えて、気がついた。

 ヒューマン・エラーは必ず発生し、それが原因の事故も必ず発生することを前提にして、事故の絶無を期して日々工夫・改善する。そのような風土を作り、維持するのはリーダーの役割だ。 だから田口昭彦氏は紙面の半分を割いてリーダー・シップについて説明されているのだろう。

  • ヒューマン・エラーを減らす方法
  • ヒューマン・エラーが発生してもダメージを最小にする対策
  • ヒューマン・エラーが発生することを前提に、それを減らすために日々工夫・改善する風土

を現場だけでなく組織全体で考えてこそヒューマン・エラーによる被害が防げるのだろう。


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