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2018年5月 6日 (日)

失敗の防止 <とどの詰まりは風土>

 失敗への対応は、個人、組織を問わず大きな課題だ。

 個人では、失敗の原因を考える人と対策を実施する人が同じだから、考え方や心がけ次第で失敗が減ったり被害を回避できたりする。 ところが組織では原因を考える人と対策を実施する人が異なることが多いから、原因は分かっていても失敗が減らなかったり、失敗したときに防げるはずの被害を被ったりする。

 組織的な失敗の防止、被害の回避について考えてみた。

よく見かけるのは、 管理部門が失敗の原因と対策を考え、現場が実施するパターン。 これは、たいていうまくいかない。 原因は。

原因1:管理部門が神目線になっている

 原因を究明するために事実の検証をする場合は後知恵になりやすい。
客観的に考えるために第3者的な観点は重要だ。事実としてとらえられるわずかな兆候を察知して対策することが可能になる。 ところが、客観性をこえて神目線になると、事実が無い状況で次に起こる失敗さえ防ぐことができると考えてしまう。

 神目線になった人は、失敗の対策として「思い込みで作業しない」などとおっしゃる。
しかしである、そもそも思い込みで作業している者は自分の行動が思い込みによるものかどうか判断ができない。

 思い込みで作業していることが認知できると考えるのは、現場の作業を神目線で見ているからだ。つまり、思い込みで作業している者がいて、このまま作業を続けると失敗してしまうのが分かるのは神くらいのものということだ。

 思い込みで作業をしている者を第三者が認知するにはどうするかが本当の対策だろう。

原因2:現場が責任転嫁しようとする

 管理部門が思い込みで作業しないように指示するのは、現場で作業する者からすると管理部門の責任逃れのように感じる。 ところが、現場の管理者は、管理部門の指示どおり作業したその上での失敗だという理由で責任転嫁したいという誘惑に駆られる。 誘惑に負けると責任逃れの指示と思っても素直に実行してしまう。

 いくら責任転嫁したところで、現場で失敗が起こり、被害が出た場合には、現場の管理者が後始末をしなければならないことに変わりはない。

 しかし、悪運が強ければ被害に合わないのである。 その結果、人は易きに流れる。

原因3:職場の風土

 失敗の防止や被害の回避は、管理部門、現場の管理者、現場の作業者が失敗の防止を自らのこととして捉えられるかにかかっている。それはおそらく職場の風土に根差している。 とても厄介だ。

 失敗は無いことになっていて、しかも減点主義の職場は、失敗の原因究明や失敗の対策を自らのこととして捉えられない。

 このような職場で、失敗事例から真因を究明し、数ある問題の中から解決すべき課題を決めて、課題を解決する対策を立案し、対策を実施し、効果を検証するのは、口で言うほど簡単ではない。

 人は、風土や職場の雰囲気、リーダーからの強い要請がなければ、これらの行動をしようとしないものだ。

 言い換えれば、組織的に失敗を防止し、被害を回避しようとするなら、各階層にリーダーシップを発揮する者が必要ということだろう。 評論家ではなくリーダーがいれば、職場の雰囲気が変わる、職場の雰囲気が変わると風土が変わる。

 旧国鉄で働いていた人に指差し呼称のことを聞いてみたら、どの職場でもあらゆる場面で必ず指差し呼称しているそうだ。 人の命を預かる仕事で、しかも歴史もあるから、そういう風土ができているのだろう。  とあるところで、失敗の防止の話をしたときに、作業時に指差し呼称している人に手を上げてもらったら、1人だけ手を上げた... 残念ながらそういう風土だ。

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 またまた、とあるところで「失敗を防止しようとする風土が無い」と発言したら、体制批判だという意見があったらしい。(陰で ^^;)  批判を恐れずに問題点を指摘しただけではなく、合わせて具体的な提案もしたのだけれど...

 人は問題点を指摘したところで考え方が変わるわけではない。 でも、1人にでも届いていればそこから広がるだろう。きっと。


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