リクルートのすごい構〝創〟力 <企業風土あってこそ>
リクルートのすごい構〝創〟力 アイデアを事業に仕上げる9メソッド
杉田浩章 日本経済新聞出版社
リクルートの価値観と考え方仕事のやり方が書いてある。
一見ハウツー本だが、9つのメソッドをまねてもうまくいかないだろう。
例えば、5章のまとめに
・大企業病に陥らずに組織の「若さを保つ」ためには、常に内部での競争を奨励し、成功者を称え、全員がそこから学べる仕組みを埋め込んでおくことが有効である
という項目がある。 正論で一見すぐに実現できそうだ。
しかし、よく考えてみると、
競争すると、勝者と敗者が露わになる。
敗者は居心地が悪いものだ。 人には得手、不得手があるから全てにおいて勝者になるわけではない。 全てにおいて敗者になるわけでもないけど。
昔昔オヤジが子供の頃は算数ができるのと、足が速いのと、絵が上手なのは同じように勝者だったような気がする。つまり、価値観に多様性があった。 そして、価値観が多様なら競争を奨励できる。苦手分野で競争に負けたとしても、得意分野で勝てば良いから、おてて繋いでみんなで一等賞でなくて良かった。
いつ頃からだろうか、価値観の多様性がなくなったような気がする。
価値観が固定化すると、固定化した価値観を前提にした競争で負けると挽回するチャンスが無くなる。 このような社会は生き難い。 価値観が固定化した社会では勝者はわずかで大部分は敗者だ。 少ない勝者も、いつ敗者になるか気が気ではない。
生き難い大部分の人は考える。
勝敗を明らかにしないようにしようとか、競争の結果ではなく競争の過程で頑張ったことを評価しようとかだ。 勝敗を明らかにしないのは勝者を褒めないということ、頑張ったことを評価するのは成果を出した者を褒めないということだ。
敗者になる痛みは減るが、成果が出ない組織になる。
競争に負けたものが挽回するには、職を変わらなければならないこともあるだろう。ところが、価値観が固定化した組織では転職するのは負け組だ。
リクルートは競争を奨励して勝者を褒める一方で、敗者が挽回できる風土があるのだろう。そして、転職することは負け組ではなく、自らの成長には当然のことととらえられているのだろう。
大企業病に罹っていないなら参考になると思う。
風土は重要だ、リクルートのような風土が無いのに形だけ真似ても上手くはいかないだろう。
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