- 上司を評価するなら、部下からの評価を受け入れなければならない。
- 他人を評価を自分の外に出すなら、客観的でなければならない。
ヒラメ部下
管理職は業務として部下を評価しなければならない。 その評価により、給料が増減したり、昇任に影響したりする。
部下にしてみれば殺生与奪を握られているともいえるから、上司と意見が食い違ったときに、忠言することをためらったり、明らかに誤っている命令を実行したりすることがある。
年功序列型組織のように役職が実力で決まっていない組織では、上司の評価が悪くなると挽回のチャンスがなくなるので、上司の評価を気にするようになる。
そして、上司の評価をことのほか気にするヒラメ部下が増殖する。 ヒラメ部下は評価は良いが仕事はできない。
ゴマすり上司、ダンゴ虫同僚
この弊害を防ぐ手法として360度評価がある。
ヒラメ部下が発生する原因は、評価が対象でなく、上司→部下の一方向で評価されているからだ。 そこで、非評価者は上司だけでなく、同僚、部下からも評価されるという仕組みが360度評価だ。
合理主義の欧米人が考えそうなことだが、360度評価で全てが解決するとは限らない。
上司が部下を評価するとヒラメ部下が発生するように、部下が上司を評価するとゴマすり上司が発生する。 デキナイ自覚がある上司は部下に阿ることで評価を上げようとするのだ。
親身になって相談に乗るとか、職場の労働環境を改善するとか建設的な行動ならまだ良いのだが、命令に手心を加えたり、厳しい目標を設定しないなどは業務に支障が生じる。
ゴマすり上司は評価は良いが、その部署の業績は悪化する。
同僚を評価する場合は互いに悪評価しないように談合するダンゴ虫が発生する。
同僚が失敗した時に悪い評価しない代わりに、次回自分が失敗した時に悪い評価をしないように取引する。
ものの本によると、3年に1回くらいの頻度で抜き打ち的に360度評価すると良いらしい。
信頼関係と公正性
人の評価は、評価者と非評価者との信頼関係とフェアな評価にかかっている。
ヒラメ部下が発生している職場は、おそらく、評価者が信頼されていないかフェアな評価がされていない。
理想的にはフェアな評価ができることを昇任の要件にすることだ。 しかし、一人でも見逃すと悪貨は良貨を駆逐するので、ヒラメ部下が大発生する。 本当にフェアな評価ができている組織はどれくらいあるのだろうか?
ヒラメ化した人を責めても詮無いことだ。 非合理的な組織においてはヒラメ化することが合理的だから。
上司が部下を評価する場合も、逆に部下が上司を評価する場合でも、 他人を評価するときに主観が入ると力関係が生じる。 力関係はその職場の雰囲気大きな影響を与える。
多くの職場は管理職が権限を持っているから、職場の空気は管理職が作り出している。 360度評価を実施して力関係が逆転したら、職場の空気は部下が作り出すことになる。
どちらが作り出した方が良いかは一概には言えない。
ただ、ヒラメ、ゴマすり、ダンゴ虫が多い職場は概して空気が悪い。
360度評価されてみた
以前、 自分の評価を部下と同僚にお願いして、自主的に360度評価をやってみたことがある。 誰が書いたか分からないようにするために、無記名で、パソコンで入力し、利害の無い第三者を経由して評価を集めた。
酷評されたらどうしようと思わなかったわけではない。しかし、思いの外建設的で、評価も悪くなかったので安心した。 評価が甘くなるのは仕方ないだろう。心を鬼にして上司を評価する動機は無いから。
ある部下が評価を直接を持ってきてくれて評価について詳しく説明してくれた。 この部下の評価はストレートで分かり易かった。 以降、自分の判断に自身が無いときや判断に迷ったときには、その部下に相談していた。
まとめ
- 上司を評価するなら、部下からの評価を受け入れなければならない。
上司は評価したいが、部下には評価されたくないと考えるなら、黙っておいた方が良い。最初は客観的評価でも誹謗中傷に発展する可能性がある。
- 他人を評価を自分の外に出すなら、客観的でなければならない。
人の評価を自分の心の中に留めるなら主観的な評価で良いが、誰かに知らしめるなら、その評価が客観的か、主観的か自分に問うことが必要。
主観的な評価は、少なくとも公の場で外に出すべきではない。主観的評価は他人を惑わす。
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