アメリカ陸軍リーダーシップ リーダーシップは進化している
アメリカ陸軍リーダーシップ フランシス ヘッセルバイン、リチャード キャバナー 生産性出版
日経ビジネス 2010.9.13 「軍隊式マネジメント 戦場の指揮官から学ぶ」 (指示しないマネジメント(2018/04/28))で紹介されていたので読んでみた。
「マネジメントとリーダーシップの違い」でジョン・コッター氏は、戦時下の軍隊ではあらゆる階層で優れたリーダー・シップが必要になるとおっしゃる。 軍隊はいかにも官僚的組織の象徴のように例えられることが多い。これは戦時下ではなく平時のことだろう。
戦時中、特に戦闘中には官僚組織の逆機能は命取りになる。
大量の指揮官が必要な軍隊では、指揮官にふさわしい人材の確保が問題になる。
「日本型リーダーはなぜ失敗するのか」(16/01/05)や「不死身の特攻兵」(2018/07/05)を読むと先の戦争では、日本軍は指揮官にふさわしい人材が十分に確保できていなかったようだ。 育成できなかったというべきか。
日本は先の戦争以降戦争を経験していないから、この教訓を忘れてしまったのだろう。
今でもリーダーにふさわしい人材の育成について考えられていないような気がする。
一方アメリカは今でも戦争をしているので、この問題は切実で、その解決策が リーダーシップの原則「Be Known Do」や自主的討議AAR(fter Action Review)なのだろう。
「Be Known Do」
- 「Be」とは
- リーダーとして「どうあるべきか」と」いう品格
具体的には、忠誠、義務、尊敬、無私の奉仕、名誉、高潔、個人的勇気 - 「Known」とは
- リーダーとして「何を知るべきか」というスキル
具体的には、対人スキル、概念的スキル、技術的スキル、戦術的スキル - 「Do」とは
- リーダーとして「取るべき行動」
具体的には、影響、実施、改善
戦場ではリーダーとして判断を求められたときに、誰の助けもなく決断しなければならないことがある。 ところが、これまで経験したことがない状況では、たくさんの正解や最適解を知っていても正しく判断し決断することはできない。 そのときに、少なくとも判断を誤らないために、立ち戻る原則が必要だ。
それがこの原則で、判断に困ったら、「Be Known Do」に照らして判断すれば、誤ることはない。
硬直化した官僚組織の原則は、「困ったら上に聞け」だったりする。 戦場では死んでしまう。
AAR
AARの要点は
- 出来事の途中か、その直後に実施される。
- 特定の標準へ関連づけ、意図された目標へ集中する。
- 兵士、リーダー、部隊の遂行へ焦点を当てる。
- 参加者全員を討議へ参加させる。
- 「解放型質問」を使用する。
- 強みと弱みを確定する。
- 遂行を、引続く訓練へと関連づける。
で、重要な点は、階級に関係なく出席できて発言が許されていることだ。
具体的にはファシリテータは4つの質問を使うらしい。
- 「われわれは何をやろうとしたのか?」
- 「実際に行動した結果、どんなことが起きたのか」
- 「なぜそうなったのか?」
- 「この失敗を踏まえ、次に何をするべきか?」
これが、アメリカ陸軍が、命の懸った戦場で学んだ、「現場における最適な学習方法」ということだろう。
軍隊以外への応用を考えると
このマネジメント手法は合理的な思考を尊重する風土があったり、小規模で意思決定が速い組織ならなら有効だろう。
では、肥大化して意思決定者が増えすぎた組織ではどうか?
残念ながらそのような組織は合理的ではないから、このマネジメント手法を導入すること自体が難しいのではないだろうか。
しかし、組織全体で導入するのは難しくても、所属、部、課、係などの小さな単位ならばリーダー次第で導入は可能だろう。
オペレーションが成功しても失敗しても結果から学び次の成功に繋げる風土を作るのはリーダーの仕事だ。
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