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2018年7月11日 (水)

失敗の本質 経験から、歴史から学んでいない

失敗の本質 
戸部良一、寺本義也、鎌田伸一、杉之尾孝生、村井友秀、野中郁次郎
ダイヤモンド社

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 この本を読むと憂鬱になる。10くらい年前に読んだ時もそうだった。

 合理的でない命令で大勢の人の命が失われたことだけでなく、命令する者が合理的に選ばれていないこと、失敗に学ばないことなど、この本で失敗の本質と分析されたことが、身近に多い。多すぎる。

 戦後70年経っても、失敗から学べない体質は変わらないようだ。

 10年くらい前に読んだ時は命令される立場だったから戦術に着目していた。 10年経って役職が上がったら戦略が気になるようになった。 そして、日本軍には戦略は無かったことがわかった。

 戦略が無い戦争に勝利することはない。

著者の先生方は

 戦略的思考は日々のオープンな議論や体験のなかで蓄積されるものである。海兵隊は、水陸両用作戦のドクトリンを開発したときには、海兵隊学校の授業をストップし、教官と学生が一体となって自由討議のなかから積み上げていった。このような戦略・戦術マインドの日常化を通じて初めて戦略性が身につくのである。

とおっしゃる。

 戦略を伝えるには分かり易いキャッチフレーズが必要だ。 ミドルのマネジャはトップは考え抜いて分かり易いキャッチフレーズに乗せた戦略を理解しなければならない。 ところが、深く考えないでキャッチフレーズを実行しようとしてしまう。思考が停止しているのだ。

 現場のマネジャが戦略を考える場を設けているのだが、現場レベルで戦術を考える必要はなく「上が戦略・戦術込みで分かり易く指示すべきだ」という意見は多い。 

著者の先生方は先の戦争での戦闘について

 第一線でかなりの程度までの命令遂行が行なわれたのは、戦闘部隊が練達した戦闘伎倆の瞬時における迅速果敢な展開により、抽象的な戦略布達を補って余りあるものを発揮したからである

と分析しておられる。

 現場レベルで見ると、戦略の無さを補うだけの戦闘の技量と、それを指揮する指揮官がいたということだろう。

 現場のマネジャが思考停止していては、戦略の無さを補うことはできないし、戦術の無さを戦闘で補うことはできないから、上と下を責めるだけでなく、自ら戦略を理解し採るべき戦術を考えなければならない。

 どうやって説明すると伝わるのだろうか...



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