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2018年8月30日 (木)

バカほど「それ、意味ありますか」と問う(2)

バカほど「それ、意味ありますか」と問う <自慢じゃないが、問うよ!> (2017/5/20)

コメントを頂いたのでもう一度考えてみた。

 この記事は、バカほど「それ、意味ありますか」と問う PRESIDENT Online 宮台 真司 (2017/5/1) をネタに書いた感想と意見だ。

 元記事を書かれた宮台真司氏は同じ年代(2歳違い)なので氏の記事は納得できる部分が多い。
理解できなかった部分は

  •  なぜ、学問を追究するようにすれば、価値がある問題に注力できるのか?
  •  なぜ、マナーやルールの合理性を問う者の思考レベルが低いのか?

の2点だ。 
そして意見は、

  •  職場においてルールの合理性を問わない者は思考停止する。

だ。

【拒絶の姿勢】

 若者が「それって意味あるんですか?」と発言する意図は2つあるのではないかと指摘された。

  • 対象の意味を真剣に学びたいという学びの姿勢
  • 対象を見下す拒絶の姿勢

なるほど、若かったころを思い出すと心当たりがある。

他方、宮台真司氏の 「バカほど『それ、意味ありますか』と問う」 にも2つ意図があるのではないだろうか。それは、

  • 対象者を育てたいという育成の姿勢
  • 対象者を見下す拒絶の姿勢

だ。 若者が宮台真司氏の記事に反発するのは後者の姿勢を感じているからではないだろうか。 

 もう少し端的にいうなら「年寄りの驕り」を感じる。

 コメントの、

 「相手を見下す拒絶の姿勢」で「それって意味あるんですか?」と問う若者が増えると世代間の学びは生まれない

という指摘は正しい。

 同様に、「対象者を見下す拒絶の姿勢」で「バカほど『それ、意味ありますか』と問う」と言う年寄り増えると世代間の学びは生まれないと思う。

 宮台氏は、「対象を見下す拒絶の姿勢」の若者に対して、あえて「拒絶の姿勢」を示すことで、若者たちに自戒を促す狙いがあるのかもしれない。この問答はちょっと難解だなぁ。

 互いに拒絶の姿勢にならないようにするには、相手に求める前に、まず自分から行動することだ。 若者は、「対象の意味を真剣に学びたいという学びの姿勢」を、年寄りは「 対象者を育てたいという育成の姿勢」を見せることが必要だろう。

 おそらく、年寄りの方が謙虚になるのは難しいが、行動しやすいのは年寄りの方だ。

【学問の場と仕事の場】

 宮台氏はPRESIDENTの記事において、前半は学生のこと、後半は新入社員(企業人の初心者)について述べておられる。つまり、前半は学問のこと、後半は職場のことだ。

 学問における「通説」は武道における「型」と同じように長い歴史の中で、多くの人の評価に耐えて生き残っているから、無批判に受け入れる価値があるかもしれない。 一方、先行世代のルールやマナーの妥当性は十分に評価されているとは言い難い。少なくとも無批判に受け入れることはできない。

 つまり、仕事をしていく上で企業のルールを無批判に受け入れることが有効か否かは、自明ではない。 少なくとも、昨今の大手企業の不祥事は、社員が無批判にルールに従ったことに原因があるように思える。

 ここが、宮台氏の論理展開に付いていけなかった部分だ。

 宮台真司氏は、「通説」や「型」などを暗記したり反復練習することで、「意識の抽象度の上昇」が起こるとおっしゃる。 おそらく自身の経験に依るものだろう。

 では、若者が先行世代のマナーやルールを自動機械のように振舞えるようにすることで意識の抽象度は上昇するのだろうか。 不祥事を起こした大企業の社員は意識の抽象度は上昇していたのだろうかという疑問が解消できない。

 若い頃からKYで、つい「それ、意味がありますか」口に出してしまう性格だった。 30年以上働いた経験では、ルールやマナーの必要性について質問しても答えてくれる人は少なかった。多くの人は「決まりだから」とか「前からやってるから」とかだ。

 それでも、懲りずに多くの先輩や上司に聞いてようやく理由が分かることもあった。納得できる理由もあれば、「妥協の産物」や「必要悪」という理由もあった。

 「妥協の産物」によって生まれた不合理なルールは妥協する要因が無くなれば、合理的なルールに変えることができる。 しかし、不合理なルールが生まれた理由を知ろうとせず 「妥協の産物」だということを知らない人は不合理なルールを解消することができない。

 「通説」や「型」を変えることはほぼ不可能だ。しかし、企業の「不合理なルール」は変えることができる。いや、変えなければならない。

 これが、「通説」を無批判に受け入れられる学問と、「ルール」が無批判に受け入れられるとは限らない仕事との大きな違いではないだろうか。

【「30代の心がけ」3カ条】

 宮台真司氏の記事の最後にある

「30代の心がけ」3カ条

  1. 「仲間はずれ」を恐れてはいけない
    主体的な行動をとって、「他人の目線」から自由になれ。
  2. 他者に対して想像力を働かせろ
    「指示待ち人間」を脱して、みずから問題提起をしろ。
  3. 必要なことはまるごと「暗記」しろ
    暗記しておくことで、はじめて思考する余裕ができる。

は賛成だ。
 補足すると、3番目の「必要なことはまるごと「暗記」しろ」も賛成だ。 ただし、「必要なこと」に限る。 例えば、技能を扱う仕事は、武道の「型」と同じように無批判に反復練習する必要がある。 当然不合理なルールを丸ごと暗記する必要は無い。

 ところで、この3か条も一つの「型」と捉えることができる。

 しかし、この3か条を「通説」や「型」とするには抵抗がある。 当然、若者に対して無批判に憶えろとは言えない。もし、この3か条について若者から尋ねられれば少なくとも自分の見解を説明するだろう。 (この結論に至った過程についても話したいが鬱陶しがられるので端的に)

 30代の頃を思い出すと、この3か条は納得できなかったと思う。少なからず質問はあった。 歳を取れば分かることなのかもしれないが、若い人たちが早く分かればこの3か条の更に先まで到達できる。 それを手助けするのが年寄りの役割ではないだろうか。

 若者は年寄りのレベルを超えてほしいと思う。技術・技能でもマネジメントでも。
仕事をしている若い人たちアドバイスするとすれば、「若い時にスポイルされるな」かな。

閑話休題

【まとめ】

 職場において年寄りの役割は、
「それって意味あるんですか?」と尋ねる若者の真意が

  • 対象の意味を真剣に学びたいという学びの姿勢

であっても

  • 対象を見下す拒絶の姿勢

であっても、意味がある理由を真摯に答えることだと思う。

 更にいうと、それがたとえ「妥協の産物」であっても「必要悪」であっても、そこに至った思考過程を伝えるべきであろう。 そうすれば、次世代は今より良くなる。

経験と自戒を込めてそう思う。


 元記事は少々釣りっぽい。だからといって皮肉っぽい投稿で終わってはいけないと思った。 反省。


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